スポ根
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この項目では、漫画などの一ジャンルであるスポ根について説明しています。その他の用法については「スポコン」をご覧ください。

スポ根(スポこん)は、日本漫画アニメドラマにおけるジャンルの一つ。「スポーツ」と「根性」を合成した「スポーツ根性もの」の略語[1][2]。このジャンルの作品を「スポ根漫画」「スポ根アニメ」「スポ根ドラマ」と呼ぶ。
定義

狭義のスポ根とは、1960年代から1970年代の日本の高度経済成長期に一般大衆の人気を獲得したジャンルであり[1]メキシコ五輪が開催された1968年前後に人気のピークを迎えた[1]。定義について漫画評論家の米澤嘉博は『戦後史大事典』の中で次のように記している。スポーツの世界で根性と努力によってライバルに打ち勝っていく主人公のドラマ ? 『戦後史大事典』[2]

これに対し漫画編集者の南信長は「等身大の主人公が根性と努力で勝利を目指す」ものを正統的なスポ根としているが[3]、漫画評論家で編集者の村上知彦らは「特訓の成果として編み出す必殺技」の要素[1][4]や「努力型主人公と天才型ライバルの対比」の要素[1][4]京都精華大学教授で京都国際マンガミュージアム研究員の吉村和真は「過激な特訓」の要素を加え次のように記している[5]。努力型の主人公が血のにじむ特訓を重ね超人的な必殺技を編み出し天才型のライバルに勝利するといった図式化されたストーリー ? 『大衆文化事典』[1]いずれの主人公も、身辺の苦難に耐え、過激な特訓を自らに課し、いくども挫折を味わいながら、不屈の闘志と根性で乗り越えていく ? 『スポーツの百科事典』[5]

主人公が努力と根性でひたむきに競技に取り組み、特訓を重ね、あらゆる艱難辛苦を乗り越えて成長を遂げてライバルとの勝負に打ち勝っていくのだが[6][7]、主人公が背負った苦労を強調させるために、スポーツ選手としての天性の素質を持ち容易く主人公を打ち破ることが出来るライバルの存在は必須であり[7]貧困層出身の主人公に対し富裕層出身のライバル、といった対比構図も盛り込まれた[7][8]。こうした弱者が強者に努力と根性で立ち向かうストーリー構成は高度成長期に一般大衆が抱いていた「欧米諸国に追いつき追い越せ」という価値観と一致するものであり[1][6]、当時の読者に支持された[1]。なお、教育評論家の斎藤次郎は「スポーツの世界に生きるヒーローの世界をそれぞれの固有の面白さで味つけした程度なら単に『スポーツもの』で、『スポ根』となると悲劇的なまでに苦行が描かれなければならない」としている[9]。また、1980年代以降に少年層や女性層の人気を獲得した『週刊少年ジャンプ』の中心テーマ「友情・努力・勝利」とスポ根を同一視する例もあるが[10]桃山学院大学准教授の高井昌吏は「『週刊少年ジャンプ』における『男の物語』は、1970年代前後のような『禁欲的な男たちの物語』ではない。その点には注意が必要である」としている[11]

広義のスポ根とは、実際の選手が「あるスポーツに打ち込んでやり遂げようとする[12]」「一つのスポーツにひたすら打ち込み、努力を重ねる[13]」などの精神、「主人公がスポーツの勝負を通じて技術的・精神的に成長する姿を描いたビルドゥングスロマン[14]」とされる。なかには、思考能力を競うマインドスポーツを扱った作品や[15][16]、スポーツの範疇を超えて競技志向の強い文化系部活動を扱った作品を「スポ根」[17]や「文化系スポ根」として紹介する例や[16]、「スポ根風青春コメディ」「スポ根コメディ」などの言葉で紹介されている例もあるが[18][19]、本記事では狭義のスポ根作品について紹介する。
背景詳細は「根性論」を参照

根性」とは元々は仏教用語で「その人が生まれながらに持ち合わせる性質」を意味する言葉だが[20]、日本のスポーツ界において「困難な状況にあっても屈することなく物事をやり通す意思や精神力」を意味する言葉として用いられてきた[21]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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