スポールブール
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 スポールブール
スポールブール
統括団体国際スポールブール連盟
起源 フランス
特徴
カテゴリ球技
ボール専用真鍮球
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ティールの様子

スポールブール(Sport-Boules)は、ヨーロッパ、特にフランスイタリアで盛んな球技である。ブール・リヨネーズ(Boule Lyonnaise)とも呼ばれる。「スポール」とはスポーツの意味、「ブール」はボールの意味で、いずれもフランス語。日本においては日本ペタンク・ブール連盟が統括する。
目次

1 概要

2 歴史

3 コート

4 用具

5 ゲームの形式

6 トラディショナル競技の進行

7 ティール

8 用語

9 主な大会

9.1 歴代世界選手権

9.2 歴代女子世界選手権

9.3 歴代ジュニア(U23)世界選手権

9.4 歴代ジュニア(U18)世界選手権

9.5 歴代ワールドゲームズ大会


10 関連項目

11 外部リンク

概要

全長27.5mのコート内で、小さい目標球(ビュット)に向かって金属製のボール(ブール)を転がし、自分のボールを相手よりもビュットに近づけたり、自分のボールを投げてほぼノーバウンドで相手のボールに当てて弾き飛ばし、相手ボールの方をビュットから遠ざけることで得点を競うのが原型である。またこれから派生し、ボールを投げてほぼノーバウンドで標的球に当てることを競う種目もある。

似たスポーツにペタンクがあるが、これはスポールブールやプロヴァンサルゲームをベースに1907年にフランスで考案されたスポーツである。

スポールブールの国際組織としては、1946年に設立された国際スポールブール連盟(Federation Internationale de Boules)があり、現在は世界67ヶ国・地域が加盟している。日本は1983年から加盟しており、アジア加盟12ヶ国・地域を代表する国際スポールブール連盟アジア代表のポストを保有している。

また、スポールブールやペタンクなどは「ブールスポーツ」と総称され、この国際的組織で、国際スポールブール連盟の上部組織でもある世界ブールスポーツ連合(Confederation Mondiale des Sports de Boules)は国際オリンピック委員会(IOC)加盟団体である。スポールブールはオリンピック種目への格上げの動きがされている。オリンピックの補完的な競技大会であるワールドゲームズ(次回は2021年開催)の加盟種目となっている。
歴史

ボールを目標球に近づけること自体は、原始的な発想であり、古代エジプト古代ギリシャの文献によりスポールブールの原型は約5,000年前まで遡ると考えられており、それゆえ世界で最も古い球技の一つという説がある。当時は石を研磨したボールが用いられていた。古代ギリシャではスファエラ(球形の意味)と呼ばれる球技が行われていたことが文献で示されている。古代ローマでもカラカラ寺院等には、今のスポールブールと同じようにボールを投げている人や、得点を測定している人のフレスコ画が残っている。中世においてもラブレーディドロスペインの画家ゴヤなどもスポールブールで楽しんでいたとの記録があり、中世のフランスでは、この球技の人気があまりに高まりすぎたため、14世紀に国王シャルル5世がブール禁止令を出したほどであった。

近代に入り、スポールブールが徐々にスポーツとして扱われ始め、1850年にはスポールブールの初めてのクラブ組織として「le Clos Jouve」がフランスで設立された。ルールが統一化された競技として組織化された後での最初の大会は、1894年6月3日から5日にかけて1,200人が参加してフランスリヨンで行われた大会である。20世紀に入り、フランス各地でスポールブールのクラブ組織が設立され、1922年にはそれら地方クラブ組織の統括団体として「Union Nationale des Federations boulistes(UNFB)」が設立された。1933年には、フランスのスポールブール全国統括連盟として「Federation nationale des boules (FNB)」設立に発展した。1946年には、国際スポールブール連盟(Federation Internationale de Boules)が設立された。
コート

コートは長さ27.5m、幅2.5m?4mと規定されている。なるべく平坦な地面である必要がある。ヨーロッパ大陸や南米各国、中国等には屋内の専用コートがあり、特にフランス国内には410ヶ所の屋内専用コートがあり、コンクリートの上に砂を撒いたコートが完備されている。コートラインの各名称は以下の通り。
フットライン(Ligne pied de jeu)
コートの全長27.5mの端から7.5mのところに引かれる。このラインの手前から投球を行う。
ファーストライン(1ere ligne)
フットラインから12.5mのところに引かれる。
セカンドライン(2eme ligne)
ファーストラインから5.0m(女子は3.5m)のところに引かれる。ファーストラインとセカンドラインの間に最初にビュット(目標球)が置かれる。
サードライン(3eme ligne)
セカンドラインから2.0m(女子は1.5m)のところに引かれる。このサードラインを越えたボールはアウトになる。
エンドライン(Ligne extreme)
サードラインから0.5m(女子は2.5m)のところに引かれる。このエンドラインが27.5mコートの端になる。
サイドライン(Ligne laterale)
幅2.5m?4mのコートの左右に引かれる。このサイドラインを出たボールはアウトになる。

これらのコート様式や用具、競技の進め方は、全57条の項目からなるスポールブール国際競技規則(国際スポールブール連盟が制定)にて規定されている。
用具

用具は以下の通り。
ボール(Boule)
直径90?110mm(女子は88?110mm)、重さ900?1200g(女子は800?1200g)。材質は真鍮製。
ビュット(But)
直径35?37mm、重さ23?27g。材質は木製。
バゲット(Baguette)
長さ50センチ、太さ4ミリから6ミリの棒状のメジャー。長細いフランスパンに形や大きさが似ていることからこの名前がつけられた。ボールやコートの距離を測定したり、マーキング(ボールの位置を印しておく)したりする際に用いる。
マット (Tapis)
ティール競技で使用される。プログレッシブ用と、プレシジョン用とで異なる。
ボールスタンド (Porte-boule)
ティール競技で、ボールを置く台。
ゲームの形式

ゲームは、ビュット(目標球)に向けてボールを転がして近づける「ポワンテ」と、ターゲットボールに向かって自分のボールを投げ、ほぼノーバウンドで当てて弾き飛ばす「ティール」の組み合わせで進められる。

以下の6種類の種目がスポールブールでは一般的である。
シングルス(Simple)
1人対1人で各自4球のボールを投げて進めるトラディショナル競技。
ダブルス(Double)
2人対2人で各自3球のボールを投げて進めるトラディショナル競技。
プログレッシブ(Tir Progressif)
5分間でなるべく多くティールでターゲットに当てることで得点を競う種目。
ラピッド(Tir Rapide en Double)
5分間、2人で4球ずつ交互にティールを行って得点を競う種目。
プレシジョン(Tir de Precision)
11種類のターゲットに対して、それぞれ1球ずつティールを行い、それらの難易度に応じて設定された得点の多さを競う種目。
コンビネ(Combine)
一方がポワンテを行い、もう一方がティールを行って進める種目。
トラディショナル競技の進行

トラディショナル競技は、上記6種目のうちシングルス、ダブルスがこれに該当する。まれにトリプルス(3人対3人で1人2球ずつ)やフォアーズ(4人対4人で1人2球ずつ)も行われる。名前の通りスポールブールの種目の中で歴史が古いもので、ビュット(目標球)に相手よりいかに自分のボールを近づけるかを競うものである。

このゲームの進め方は以下の通りである。

コイントスまたはジャンケンによって、先攻のチームを決める。

先攻チームがビュットを転がし、コートの有効範囲内で止まったところをターゲットにする。

先攻チームが、ビュットに近づけるべくポワンテを行う。

次に後攻チームが、相手ボールよりもビュットに近づけるべくポワンテを行う。または、相手ボールがビュットにかなり近くそれ以上自分のボールを近づけることが難しい場合は、ティールを行い、相手のボールを弾き飛ばす。

自分のボールが相手ボールよりビュットに近づくまで、連続でポワンテまたはティールを行う。自分のボールを全て使い、相手ボールのみが残っている場合、相手がこれを使いポワンテまたはティールを行う。

両チームがボールを全て投球した時点で、得点を数える。相手チームのボールよりもビュットに近いボールの数が、そのメーヌ(セット)で得た点数になる。これで得点を得た方が次のメーヌでビュットを転がす。これをいずれかのチームが13点を獲得するまで続ける。

ゴルフなどのスポーツと同様、スポールブールのトラディショナル競技は元来、審判員が存在しないセルフジャッジ(試合を行っている両チームの選手自身が競技規則に照らして判定する)の競技であり、フェアプレーの精神はスポールブールに欠かせない要素とされている。また、相手チームの失投を喜んだりそれを態度に出したりすることは、慎むべき行為として忌避される。 ティール・プログレッシブ


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