スペースシャトル外部燃料タンク
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ディスカバリー号(STS-124)で分離された後、軌道を漂う外部燃料タンク

スペースシャトル外部燃料タンク(スペースシャトルがいぶねんりょうタンク、Space Shuttle External Tank, ET)は、アメリカ合衆国宇宙船スペースシャトルの、燃料液体水素酸化剤液体酸素を搭載する容器である。発射の際には、ここから軌道船の3機のメイン・エンジンに燃料と酸化剤が送られる。外部燃料タンクは発射からちょうど10分後、メイン・エンジンが停止された後に切り離され大気圏に突入し、ほとんどの部分が強烈な空気抵抗によって分解・消滅する。固体燃料補助ロケットとは違い、再使用されることはない。燃え残った部分は、船舶航路からは離れたインド洋上に落下する(軌道への直接投入が行われた場合は太平洋上になり、こちらの方式も利用可能である)。

外部燃料タンクは飛行のたびに投棄されているが、軌道上で再使用することは可能で[1]国際宇宙ステーションの居住区や実験区画に改造したり、火星などへの惑星間飛行をする際の宇宙船の燃料タンクとして利用したり、あるいは軌道上で人工衛星を製造する際の資材として活用するなどの案が出されていた[1]
概要スペースシャトル1号機(STS-1の発射。最初の二回の発射ではETは白色に塗装されていたが、STS-3からは重量削減のためオレンジ色になった。

外部燃料タンク(以下ETと記述)はシャトルを構成するパーツの中では最も大きな部分で、また燃料・酸化剤を搭載した際には最も重くなる部分でもあり、以下の三つの要素から構成されている。

前部液体酸素タンク

電子機器のほとんどを搭載する、中間部非加圧タンク

後部液体水素タンク(ここが最も巨大になる部分だが、水素の比重が軽いため重量はそれほどにはならない。)

ETは発射の際にはシャトルの「背骨」となる部分であり、固体燃料補助ロケット(SRB)や軌道船をここで支えている。SRBとは前部接続点(中間部タンクで交差梁を使用)および後部支持梁で接続し、軌道船とは機首部1箇所および機尾部2箇所の支柱で接続している。また後部支持梁の中には、軌道船との間で燃料・ガス電気信号および電力をやりとりするコードやパイプが通っている。軌道船とSRBの間で交わされる電気信号を伝えるケーブルも、この中を通っている。
外部燃料タンクの進化.mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}

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何年間にもわたり、NASAは全体効率を高めるためにETの重量削減に取り組んできた。ETの自重を1ポンド減らすごとに、シャトルの搭載能力も約1ポンド向上すると言われている。 ⇒[1]
標準重量タンク

初期型のETは、非公式には標準重量タンク(Standard Weight Tank)として知られている。シャトルの最初の二回の飛行(STS-1およびSTS-2)では、極低温の液体酸素や液体水素が太陽光で暖められて蒸発するのを防ぐため全体が白色に塗られたが、あまり効果がなかった。そのため制作元のロッキード・マーティン社はSTS-3からは塗装を廃止し、オレンジ色の断熱材がむき出しになった。これにより重量はおよそ272kg削減された。[2]

STS-4以降は、煮沸防止管が取り除かれたことによりさらに数百ポンド軽量化された。これは液体酸素の供給管と平行して設置されている循環ラインで、地上での発射準備作業でタンクに液体酸素が注入される際、供給管にたまったガス化した酸素を除去するためのものである。地上での試験や実際の飛行で得られたデータを分析した結果、煮沸防止管は必要ないと判断され、その後の飛行では廃止されることになった。これによりETは全長や直径には変更はなかったものの、STS-7以降では乾燥重量が35,000kgになった。
軽量タンク組立棟に向かう外部燃料タンク

STS-6以降、軽量タンク(Lightweight Tank)が導入された。これは空中分解事故を起こしたSTS-107までのすべての飛行で使用されたもので、ミッションによってわずかに差はあるものの、乾燥重量は30,000kgにまで減少した。

標準タンクからの重量の削減は、支持桁(タンク内を縦に走る構造桁)や横方向に支える支持リングの数を減らすなど、液体水素タンクの骨組みのほとんどを改良したことによって達成された。また重要な部分は厚みを減らすために切削(大きな金属の固まりを削りだして部品を作ること)で加工し、SRBとの後部接続部にはより軽量で強度の高いチタン合金を使用するなどの工夫がなされた。


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