スペースシャトル固体燃料補助ロケット
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スペースシャトル固体燃料補助ロケット。クローラー・トランスポーター上にある状態。 切り離し後のSRB(写真下)とオービタ(写真上) SRB解剖図

スペースシャトル固体燃料補助ロケット(スペースシャトルこたいねんりょうほじょロケット、英語: the Space Shuttle Solid Rocket Boosters, SRBs)は、スペースシャトルの発射時、離床とそこから2分間の間その推力を生む固体ロケットブースターで、2基(2本)ひと組で使用される。[注 1] 発射時には赤茶色の外部燃料タンクの両側に装着され、スペースシャトル全体の推力(つまりオービタが備えるSSMEと当ブースタとを合計した推力)のうち、その83%が当ブースタによるものである。(またその1基の推力を比較した例としては、アポロ計画で使用された史上最大のロケットサターンVの第一段ではF-1エンジンを5基も使用して発生していた推力の、40%にも相当する)。SRBは固体燃料ロケットとしては史上最大のものであり、また人間が搭乗するロケットに固体燃料が使われるのもシャトルが初めてであった[1]。使用済みの機体はパラシュートで海に着水したあと回収され、点検し、燃料を再充填して再使用される。
概要

2機のSRBは、スペースシャトル本体を発射台から高度約150,000フィート (46km) まで打ち上げる際の、ほとんどの推力を生みだす。1機あたりの推力は海面レベルで1,268.4トン (12.5MN) で、上昇するとともに増加し、最高で1,404.3トン (13.8MN) に達する。

発射台に設置されている間は、軌道船および外部燃料タンクを含む機体すべての重量を、移動式発射台の支持構造の上で支えている。点火されるのは3機のメイン・エンジン (SSME) の推力が規定の水準に達したことが確認された後で、その後上空で切り離され、切り離し後も上昇を続け、切り離し75秒後に最高高度67kmに達し、そして落下に転じ、発射地点から226km離れた大西洋上にパラシュートで着水し、回収される。そしてSRBの外殻は、何度も再使用される。[注 2]

本体および固体燃料の開発・製造は、ユタ州ブリガム・シティ(英語版)のサイオコール社が担当した。 SRBの基本構造図 詳細。固形燃料の断面や、外殻の接合やシーリングの詳細まで分かる図。
サイズ、重量

直径は3.71mで、全長は45.46mである。直径が3.71mに決まった経緯は鉄道での輸送時における車両限界に起因する[2]。SRBは固体燃料ロケットとしては史上最大のもので、またこれだけの大きさのロケットが再使用することを前提に開発されたのもこれが初めてであった。

1機の重量は590トン(うち燃料は500トン)で、2機を合計すると発射時の機体全重量の約60%を占める。
基本構造

機体の基本構造は、エンジン部(外殻、燃料、点火装置およびノズルを含む)、支持構造、分離システム、操縦装置、回収用電波発信機、火工品、減速装置、推力偏向装置、周辺地域安全確保のための自爆装置などである。

機体の外殻は、それぞれ別個に製作された七つの(主に状の)鋼鉄製の部分によって構成されている。各部分は工場内で接続され、最終的な組立のために列車でケネディ宇宙センターに搬送される。接続部分はそれぞれ、円周型のリングをU字ピンで締めつけて固定し、(機体の直径の大きさの、つまり直径3.7メートルほどの大きなラバー製の)Oリング3つ(1986年チャレンジャー号爆発事故が発生するまではOリングは2つしかなく、ここに設計上の弱点があり、氷点下の低温で劣化し壊れた、とされ、事故後3つに増やされ、低温の制限も厳密にされた)を用いて密閉され、耐熱パテが埋め込まれる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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