スペインの言語
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州公用語を持つ自治州での母語[注釈 1]話者の割合[1]自治州[注釈 2]州公用語[注釈 2]カスティ
ーリャ語州公
用語両方他
カタルーニャカタルーニャ語アラン語55.0%31.7%3.8%9.6%
ヴァレンシアバレンシア語60.8%28.8%9.5%0.8%
ガリシアガリシア語30.1%52.0%16.3%1.6%
バスクバスク語76.1%18.8%5.1%n/d
バレアレス諸島カタルーニャ語47.7%42.6%1.8%7.9%
ナバーラバスク語89.0%7.0%2.0%2.0%
スペインでの言語分布

スペインでは様々な土着の言語が話されており、カスティーリャ語またはスペイン語はスペイン全土の公用語であり、スペインのほぼすべての自治州において最も母語話者[注釈 1]の多い言語である。一方スペインを構成する17の自治州のうちの6自治州においては、カスティーリャ語と並んで別の言語が公用語となっている。これらの自治州に居住する人々にとってカスティーリャ語と他の言語との間での様々な程度および様々なコミュニケーション状況における二言語併用主義は日常的な出来事である。

2005年に実施された言語調査によると、スペインの人口の89%がカスティーリャ語を母語としており、9%がカタルーニャ語あるいはバレンシア語[注釈 2]を、5%がガリシア語を、1%がバスク語を母語とし、3%のものがそれら以外の外国語を母語としている(スペインへの移民の結果)[2]

スペインで話されている土着語のうち、孤立言語であるバスク語を除くすべてはインド=ヨーロッパ語族に属するロマンス語の下位グループのイベロ・ロマンス語に属する言語である[注釈 3]
カスティーリャ語詳細は「カスティーリャ語」を参照

カスティーリャ語(castellano)またはスペイン語(espanol)は全スペインにおける唯一の言語であり、スペインの住民の大多数の日常語であり、母語である。また、スペインはコロンビアと並んで、メキシコアメリカ合衆国に次いで世界第3位のスペイン語(カスティーリャ語)人口を持つ[3]

カスティーリャ語はアストゥリアス州カンタブリア州ラ・リオハ州アラゴン州カスティーリャ・イ・レオン州マドリード州カスティーリャ=ラ・マンチャ州エストレマドゥーラ州アンダルシーア州カナリア諸島州ムルシア州、そしてセウタメリージャ、その上ナバーラ州の大部分とヴァレンシア州[注釈 2]の内陸部のいくつかのコマルカにおいて唯一の公用語の地位にある。

また、カタルーニャ州バラアース諸島州[注釈 2]ヴァレンシア州の沿岸部、ガリシア州バスク州ナバーラ州のバスク語地域など州公用語としてカスティーリャ語以外の言語が使われる地域においても、州公用語とともに公用語の地位にある。カスティーリャ語はガリシア州を除くすべての二言語併用州においてそこの住民の過半数以上の母語であり、家庭での日常使用言語となっている。

このカスティーリャ語の優位性は中世にすでに始まっていた。レコンキスタの過程で、カスティーリャ王国(Reino de Castilla)が誕生し、やがてレオン王国ガリシア王国の版図をもその勢力下に統合(Corona de Castilla)し、イベリア半島において政治的、文化的、経済的に他を圧倒し始めた。その結果、カステーリャの文化的威信が高まり、もともとはカスティーリャのブルゴス周辺の言語に過ぎなかったカスティーリャ語が、当時ナバーラ・アラゴン語(Navarro-aragones)と呼ばれた言語の話されていたアラゴン連合王国(Corona de Aragon)やナバーラ王国の版図においてさえも、16世紀から17世紀にかけて補助的な言語(行政、商業・貿易、情報伝達・通信、外交のための)として使用されるようになった。また20世紀後半には国内の人口移動がかつてなく激しくなり、そうすると、カスティーリャ語の共通語的性格もあったことにより、この優位性は国内の隅々にまで広がっていった。
州公用語
カタルーニャ語、バレンシア語詳細は「カタルーニャ語」、「バレンシア語」、および「バラアース方言」を参照

カタルーニャ語(catala)はカスティーリャ語とともに、カタルーニャ州バラアース諸島州の州公用語であり、同様にバレンシア語(valencia、言語学的にはカタルーニャ語の西部地域変種(方言)である)もカスティーリャ語とともにヴァレンシア州の州公用語とされる。ヴァレンシア州のバレンシア語/カスティーリャ語二言語地域(緑色)

カタルーニャ州においては主要な2地域変種(方言)が存在する。中部方言はバルセロナ県ジローナ県、そしてタラゴナ県の東半分で見られる。レリダ県タラゴナ県の西半分で話される地域変種は北西方言と呼ばれる。2008年にカタルーニャ自治州政府が実施した調査によると、カタルーニャ州ではカスティーリャ語を母語とするものが人口の過半数(およそ55.0%)で、カタルーニャ語を母語とする割合は31.6%で、約3.8%のものが両言語を母語としている[4]。また州人口の76%が居住するバルセロナ都市圏(アンビト・マトルプリター・ダ・バルサローナ(カタルーニャ語版))地域とカム・ダ・タラゴーナ(カタルーニャ語版)地域ではカスティーリャ語が優勢で、自治州の残りの地域がカタルーニャ語優勢地域となっている。

バラアース諸島州で話されるカタルーニャ語(バラアース方言[注釈 2])はカタルーニャ語東部方言の下位変種で、いくつか本土の言葉とかなり異なる特徴(定冠詞el/laがes/saとなることなど)があり、balear(発音: [b????a] バラアー、バラアース方言、バラアース語)と呼ばれる。バラアース諸島自治州政府(Govern de les Illes Balears)が2003年に実施した調査によると、バラアース諸島ではカスティーリャ語は人口の47.7%の母語となっており、42.6%が、カタルーニャ語、そして1.8%が両言語を母語としている。パルマ・デ・マリョルカ都市圏とアイヴィーサ島(イビサ島)ではカスティーリャ語が優勢で、一方マノルカ島(メノルカ島)とマリョルカ島の農村部ではカタルーニャ語が支配的である。

ヴァレンシア州では、伝統的にバレンシア語と呼ばれる、言語学的にはカタルーニャ西部の変種が話されている。19世紀から20世紀の間バレンシア語はカタルーニャ語とは別の言語か、カタルーニャ語の地域変種であるかというヴァレンシア言語対立(スペイン語版)が繰り広げられた。ヴァレンシア州は言語的には2つの地域に分けられる。カスティーリャ語単一言語地域(州の面積の25%の地域で、人口の13%が居住する)とバレンシア語/カスティーリャ語二言語地域(州の面積の75%の地域で、人口の87%が居住する)である。2003年のヴァレンシア自治州政府の調査によれば、二言語地域においては、人口の54.5%の人は主にカスティーリャ語を話し、36.4%の人は主にバレンシア語を話し、6.2%の人は両言語を同じように使う。[5]ヴァレンシア都市圏、アラカント=エルチェ都市圏、カステリョー・デ・ラ・プラーナ都市圏ではカスティーリャ語が優勢で、一方アラカント県北部、ヴァレンシア県南部、そしてカステリョー県の大部分ではバレンシア語が支配的である。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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