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スプリットブレインシンドローム(split-brain syndrome)またはネットワークパーティション問題とは、複数のコンピュータ(ノード)を相互接続して1台のサーバのように動作させるシステム(密結合クラスター)において、ハードウェアやインターコネクトの障害によりシステムが分断され、1つのサービス(仮想IPを含む)がクラスタ内の複数のノード群で同時に起動してしまい、サービス供給が停止してしまう状況のこと。
スプリットブレインシンドロームが発生すると、クラスター外からのサービスへのアクセスが不能な状態に陥ったり、複数のノードのデータベースへの書き込みが競合し、データベースを破壊したり一貫性を喪失するなど、さまざまな致命的現象を引き起こすことになる。
ミッションクリティカルな密結合クラスターには、障害が発生した場合もクラスターを動的に再構成してサービスを維持する対障害機構が備わっており、スプリットブレインシンドロームはこの機構によって発生する副産物といえる。 多くの密結合クラスターではスプリットブレインシンドロームを防ぐために、ある生存ノード群はそのノード数があらかじめ定めたクラスター定足数(多くの場合は全ノードの過半数)を占めているときにのみ、Vote(ラテン語の投票)によるマスタノードの決定を行い、マスタノードの制御に従って処理を継続する。 一方、ノード数がクラスターノードの定足数に対して1/2となる場合、Voteによるマスタノードの決定や生存ノードの決定時の均衡を破る機構(機能からタイブレーカと呼ばれる)を利用して、自らをマスタノードとしてよいかどうかを判断する。 判りやすい例として、2ノードクラスタにおいてインターコネクト障害などによりノード間通信が停止した場合、このタイブレーカ機構により、マスタノードとなった方が生き残り、スレイブとなった方が緊急停止(強制パニック)してサービスの継続を図る。 なお、このマスタノードはマジョリティノード/マネージャノードなど、各クラスタパッケージにおいて呼び方が異なる。多くの場合、Voteからマジョリティノードと呼ばれる。 商用Unix系の高可用クラスターパッケージにおいては、Vote数が同票の場合、それぞれマスタノードを決定するスキームがある。特に2ノードクラスターの場合、サバイバルノードを決定する方法に特色がある。各パッケージのサバイバルノードを決定するスキームは以下の通り。 パッケージ名称対応OSベンダ実装方式クラスタノードの強制移行の名称 そのため、ハートビート (KA) の異常停止に弱く、N+1クラスタ構成や両現用構成を取った場合、ノード間通信が阻害された時にスプリットブレインシンドロームが発生しやすいというデメリットがある ⇒[1])。DGSP
生存ノードの決定と方法
タイブレーカ機構の実装
HACMPAIXIBM共用ディスクがある場合、ディスクを使用したキープアライブチェック機構をサポートしている。ちなみにスプリットブレインシンドロームを防ぐため、優先ノードを生存させるノード間調停機構 (DSGP) はあるが、状況を判断してシステムの強制停止を行うようなロジックはサポートされていない。
MC/ServiceGuardHP-UX・LinuxHP(日立製作所・NEC)接続方式によらないクォーラムサーバ機構とSCSI/FC接続のロックディスクをサポート。LVM(VERITAS製)のVG管理領域にロック管理情報を持ち、対応する。TOC
Oracle Solaris ClusterSolarisオラクルSCSIロックとロックディスクによるタイブレーカ機構をサポート。LVMとしては、VERITASのVxVM
CLUSTERPROLinux/Windows/商用UNIX(予定)NECSCSI/FC接続のロックディスクをサポート。LVM(VERITAS互換)のVG管理領域にロック管理情報やDisk管理領域に独自の設定方法を持ち、対応する。強制パニック
ClusterPerfect
VxClusterServer各商用UNIX/LinuxVERITASSCSI/FC接続のロックディスクをサポート。LVM(VERITAS互換)のVG管理領域にロック管理情報を持ち、対応する。不明
LifeKeeperLinuxSteelEye TechnologySCSIロックをサポート。FC接続の場合、仮想SCSI上にフェンシング機能を実装する。不明
Red Hat Cluster SuiteLinuxRed Hat共有ディスクにvoteを持たせるquorum diskによるタイブレーク機構を持つ。quorum diskはノード間通信経路としても利用され、ノード間通信の可用性を高める。不明
関連項目
密結合クラスター
コンピュータ・クラスター
アムネジア