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.mw-parser-output .pathnavbox{clear:both;border:1px outset #eef;padding:0.3em 0.6em;margin:0 0 0.5em 0;background-color:#eef;font-size:90%}.mw-parser-output .pathnavbox ul{list-style:none none;margin-top:0;margin-bottom:0}.mw-parser-output .pathnavbox>ul{margin:0}.mw-parser-output .pathnavbox ul li{margin:0}物理学 > 量子力学 > オブザーバブル > スピン角運動量
スピン角運動量(スピンかくうんどうりょう、英: spin angular momentum)は、電子をはじめとする量子力学上の素粒子や複合粒子の固有の「角運動量」とされる波動特性である。単にスピンとも呼ばれる。
スピンという呼称こそは古典的な物体のスピンすなわち自転に由来する。量子力学上のスピンには何かが回転しているといった意味は無いが、物体の回転と関わりがあることは否定されていない。単位は古典的スピンと同じ[N m s]や[J s]であり、多くの場合、換算プランク定数 ℏ {\displaystyle \hbar } との比である量子数で表す[1]。
なお、粒子の回転運動に由来する角運動量は軌道角運動量と呼ばれる。スピン角運動量と軌道角運動量の和を全角運動量と呼ぶ。 「スピン」という名称は、この概念が広まりはじめた当時、粒子の「自転」のようなものと説明されたという歴史的理由による。このように回転するという解釈は現在は支持されていない。現在の標準模型においては電子はじめとする粒子の質量「点状」とされているため、仮に回転していたとしても物体の回転と比較できるものではないし、古典的な解釈を付け加える必要はなく無意味である[2]。ただし、磁気回転効果により、電子のスピンと物体の回転運動とが関連付けられることは肯定されている。 非相対論的な量子力学において、スピン角運動量はそれ以外のオブザーバブルとは振る舞いを異にする為にスピン角運動量を記述するためだけの理論の修正を迫られる。それに対し相対論的量子力学では、例えばディラック方程式の定義それ自身にスピンの概念が織り込まれているなど、より自然な形でスピンが定式化される。 粒子の運ぶスピン角運動量の大きさをスピン量子数という。 スピン量子数 s は 1/2を単位として扱われることが常であり、半整数 1/2, 3/2, … になる粒子はフェルミ粒子(フェルミオン)、整数 0, 1, 2, … になる粒子はボース粒子(ボゾン)と区別され、両者の物理的性質は著しく異なる[3](詳細はそれぞれの項目を参照)。 2016年現在知られている範囲において、 s の値と統計性の間のこのような関係は、相対論的な場の量子論によって説明できる。 ナトリウムのスペクトルを観測する実験で、磁場においたD線が 2 本に分裂することが発見され(ゼーマン効果)、これは電子がいまだ知られていない 2 値の量子自由度があるためと考え、1925年にウーレンベックとゴーズミットは、電子は原子核の周りを公転する軌道角運動量の他に、電子が質点ではなく大きさを持ち、かつ電子自身が自転しているのではないか、という仮説をたてた[4][5]。この仮定では、その自転の角運動量の大きさが ℏ / 2 {\displaystyle \hbar /2} であるとし、自転の回転方向が異なるため、公転に伴う角運動量との相互作用でエネルギー準位が2つに分裂したと考えると実験の結果をうまく説明できた。そしてこの自由度を電子のスピン角運動量と呼んだ。 ただし、実際にこの仮定通りスピン角運動量が電子の自転に由来していると考えると、電子が大きさを持ち、かつ光速を超える速度で自転していなければならないことになり、これは特殊相対論と矛盾してしまう。そのため、1925年にラルフ・クローニッヒによって提案されたものの、パウリによって否定されていた。パウリは、自転そのものを考えなければならない古典的な描像を捨て、一般の角運動量 ℏ J ^ {\displaystyle \hbar {\hat {\mathbf {J} }}} の固有値として半整数の価が許されることに注目し、この半整数の固有値をスピン角運動量とした[6]。 その後発展した標準模型においても、電子は大きさ 0 の質点として扱っても実験的に高い精度で矛盾がなく、電子に内部構造があるか(スピン角運動量などの内部自由度に起源があるか)はわかっていない。 本稿では以下、特に断りがない限り非相対論な量子力学に対するスピンの概念について述べる。 本節ではまず回転群とユニタリ群について紹介し、次にこれらの概念を使って軌道角運動量の概念を回転対称性の観点から定式化する。本節で軌道角運動量の概念を復習するのは、次節以降、軌道角運動量の定義を参考にしながらスピン角運動量の概念を定式化する為である。 スピン角運動量演算子の定義に必要な数学的知識を簡単に述べる。Rを実数全体の集合、Cを複素数全体の集合とする。3次元空間R3における回転行列全体の集合を S O ( 3 ) = { R ∈ M n , n ( R ) : t R R = I , det R = 1 } {\displaystyle \mathrm {SO} (3)=\{R\in M_{n,n}(\mathbf {R} )~:~{}^{t}RR=I,~\det R=1\}} と表記する。ここで M n , n ( R ) {\displaystyle M_{n,n}(\mathbf {R} )} は n 行 n 列の実行列全体の集合であり、I は単位行列であり、tR は R の転置行列である。SO(3) は行列の積に関して群をなすので、SO(3) を3次元回転群という。 SO(3) のように、「滑らかな」構造を持った群をリー群という(厳密な定義はリー群の項目を参照)。特にSO(3) のように行列からなるリー群を行列リー群あるいは単に行列群という。本項で登場するリー群は以下の行列群に限られる。そこで本項ではリー群の一般論を展開するのは避け、以下の行列群に限定して話をすすめる。 以下でVは複素計量ベクトル空間であり、Iは単位行列であり、A*はAのエルミート共役である:3次元回転群 S O ( 3 ) = { R ∈ M n , n ( R ) : t R R = I , det R = 1 } {\displaystyle \mathrm {SO} (3)=\{R\in M_{n,n}(\mathbf {R} )~:~{}^{t}RR=I,~\det R=1\}} …(G1)ユニタリ群 U ( V ) = { U : V {\displaystyle \mathrm {U} (V)=\{U~:~V} 上の線形写像で、 U U ∗ = I } {\displaystyle UU^{*}=I\}} …(G2)特殊ユニタリ群 S U ( V ) = { U : V {\displaystyle \mathrm {SU} (V)=\{U~:~V} 上の線形写像で、 U U ∗ = I , d e t U = 1 } {\displaystyle UU^{*}=I,~\mathrm {det} U=1\}} …(G3)
概要
スピン量子数
素粒子のスピン量子数は一定であり方向のみ変化する。
荷電粒子のスピン量子数は磁気双極子モーメントに関連付けられる。
スピン量子数による粒子分類
素粒子についてはフェルミオンのスピン量子数は全て 1/2 である。
同じくボゾンはヒッグス粒子のみスピン量子数が 0 であり、それ以外は 1 である。
複合粒子のスピン量子数はそれ以外の値も取りうるが、単純に複合粒子を構成する素粒子のスピン量子数の合計値になるわけではない。例えばヘリウム原子を構成する素粒子である電子やクォークはいずれもフェルミオンであり、したがってそのスピン量子数は半整数であるが、ヘリウム原子のスピン量子数は 0 である。
歴史
数学的導出の方法
準備
数学の準備
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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