スピリットオブセントルイス号
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スピリット・オブ・セントルイス号
ライアン NYP-1
イラスト
概要
用途オルティーグ賞獲得飛行
乗員パイロット1名
初飛行1927年4月28日
製造者ライアン(英語版)社/ドナルド・A・ホール
寸法
全長8.4m
全幅14m
全高3m
翼面積29.7 m2
重量
空虚2,150lb (975kg)
運用(最大離陸重量に同じ)
最大離陸5,135lb (2,330kg)
動力
エンジン1× Wright Whirlwind J-5C (166kW)
出力23lb/馬力(10.4kg/馬力)
性能(目安)
最大速度133mph (214km/h)
巡航速度100-110mph (160-175km/h)
航続距離4,100マイル(≒6,600km)
翼面荷重9 lb/ft2(44 kg/m2)

スピリット・オブ・セントルイス号(英語:Spirit of St. Louis)は、1927年5月21日チャールズ・リンドバーグによって、ノンストップでの大西洋横断単独飛行に成功したライアン・エアラインズ(英語版)社(後のライアン・エアロノーティカル(英語版)社とは別法人)製の単発機ライアン NYP-1の愛称である。愛称はリンドバーグによって名付けられた。

製造者による機体名「NYP-1」は、この機体の唯一の目的である飛行区間「ニューヨークパリ」のイニシャルを取って命名された。チャールズ・リンドバーグの依頼を受け、1927年にライアン・エアラインズの技術者ドナルド・A・ホール(Donald Albert Hall 1898-1968)らによって設計され、1機のみ製作された。
開発

1927年2月、リンドバーグはライアン社に長距離電話を通じ、大西洋横断機の製作を打診した。その時点で、大西洋両岸の多くの著名パイロットがオルティーグ賞を狙った大西洋横断無着陸飛行の準備を進めており、ライバルたちに先を越されないために、一刻も早く飛行できる機体を入手し、出発する必要があった。ライアン社は照会に対し、当時生産していた4座席の単発郵便輸送機「ライアン M-1(英語版)」の構造をベースに機体を開発すれば3ヶ月で納入できる、と回答したが、リンドバーグはさらなる納期の短縮を求めた。その日のうちにライアン社は電報で「2ヶ月でお渡しする」と回答し、リンドバーグはライアン社への発注を決意した[注 1]

リンドバーグはライアン社と交渉する以前、大西洋横断の機材としてジュセッペ・ベランカ設計によるベランカ WB-2(当時の単発輸送機では最優秀の部類に属し、多くの飛行記録を達成した)での飛行を希望していたが、ベランカ機の価格は25,000ドルと高額なうえ、当時WB-2の製造権を持っていたメーカー、コロンビア航空機の実質的オーナーが、無名のリンドバーグに機体を提供することに(信用の面から)難色を示し、機体調達に失敗していたのであった。

2月23日、リンドバーグはカリフォルニア州サンディエゴのライアン社工場を訪れ、会社のオーナーであるフランク・マホーニー(Benjamin Franklin Mahoney 1901-1951)、技術者のドナルド・ホールらと会見して、長距離機のコンセプトを話し合った。またライアンM-1とその改良型M-2の実機も確認したリンドバーグは、最終的に10,580ドル[注 2]の費用で、ライト・ホワールウィンドエンジンを装備した長距離機の60日以内での製作・納入契約を結んだ。

ライアン・エアラインズは、T.クロード・ライアン(Tubal Claude Ryan)とフランク・マホーニーの協力でローカルな航空輸送会社として1925年に設立され(このため「エアラインズ」を名乗った)、同年に自社製の機体製造にも着手するようになったばかりの新興メーカーであったが、ライアンとマホーニーの経営方針対立で1926年11月にマホーニーがライアンの出資分を買い取り、1927年当時はマホーニー個人のオーナー会社となっていた。後年のライアン・エアロノーティカルは、T.クロード・ライアンが別途設立した企業である。クロード・ライアンはマホーニーに経営権を譲ったあとほどなく退社しており、ライアンNYPの開発には直接関わっていない。

ドナルド・ホールは1919年以来、カーチスダグラスといった航空機メーカーで技術者としてキャリアを積んでいた。だが前年1926年にダグラスを離れ、フォード・モーターアメリカ陸軍航空部などで短期勤務して古巣のダグラスに戻った後、同じカリフォルニアの新興メーカー・ライアンに移籍したのは1927年1月31日で、偶然にもリンドバーグがライアン社に長距離機製作を依頼する直前であった。新任のホールが2ヶ月で長距離機を促成するとすれば、その確実な手段は既にあるライアンM-2の設計をベースとする以外になかった。ホールはNYP-1開発の記録を個人的に残しており、それは1954年のリンドバーグの回想録「翼よあれがパリの灯だ」に資料として掲載されている。

ホールとライアン社のチームは、この特別機NYP-1の設計・製作に突貫作業で取り組み、契約どおり60日間で完成させた。NYP-1は既存のライアンM-2の「4000マイル飛行仕様」という建前で当局に登録申請され、その結果「実験機」を意味する「X」を含む機体記号「NX-211」が付与された。完成した機体は1927年4月28日、リンドバーグの操縦でサンディエゴにおいて初飛行した。

なおライアン・エアラインズは、リンドバーグの成功直後の1927年7月に、経営実態に合わせて「BFマホーニー・エアクラフト」(BF Mahoney Aircraft Corporation)と改称、新たに小型単発輸送機「B-1ブロアム」を開発して一定の成功を収めたが、同年末にはマホーニーからリンドバーグの後援者であったセントルイスの実業家グループに売却され、NYP機で有名になったライアンの名前を復活させてマホーニー=ライアン・エアクラフト(Mahoney-Ryan Aircraft Corporation)と改組された。B-1ブロアムの生産工場は創業地サンディエゴからセントルイスに移転されている。マホーニーは運営実務を引き続き担ったが、1928年末には会社を離れた。1929年6月にはデトロイト・エアクラフト社の傘下となり、クロード・ライアンと無関係のままにライアン・エアクラフト(Ryan Aircraft Corporation)となったが、1930年代の大不況で経営不振となり、親会社のデトロイト・エアクラフト共々事業を終えている。
設計
機体NYP-1の操縦席。前面は計器盤になっており、向かって左上に潜望鏡の窓がある。NYP-1の座席

ライアンの既存輸送機の設計を踏襲し、胴体・主翼とも1920年代中期当時の航空機では一般的な鋼管羽布張り構造を採用、機首にカウリングなしで空冷星形のライト社製エンジンを装備する、高翼単葉・固定翼の単発機である。全体には、モノコック構造の全金属機以前の古典的構造ではあったが、当時の知見において可能な限り空気抵抗を減少する努力がなされており、さらには長距離飛行のための特殊設計によって、原型とされるライアンM-2郵便機とは相当に姿を変えた、特異な機体となった。

外見上大きな特徴は、機体正面に窓が無いことと、機体全長に対して主翼の翼長が長いこと(M-2よりも約3m延長された)である。

多量の燃料(ガソリン)を携行するために、機体を構成する部材のうち、燃料タンク(と満載した燃料)は最大の重量物となった。過大重量による飛行性能への悪影響を最小限に留めるため、燃料タンクは機体の重心位置(翼の直下)に置かれ、結果、操縦席は巨大な燃料タンクの後方に配置せざるをえなかった。機体構成は機首側から順に、エンジン、燃料タンク、操縦室である。この特殊なレイアウトだと、既存機体に燃料タンクを増設した場合に生じがちな「事故で機体が破壊された際、乗員が前方のエンジンと後方の燃料タンクにはさまれて絶命」という事態は起きにくいが、操縦席からは燃料タンクが邪魔をし、ガラスの風防窓を設けられず、直接前方を見ることができない構造になった。前方視認には潜望鏡を使うか、機体側面窓から顔を出すしかなかった。

しかし、正面を見る必要は滑走路を視認しなければならない離着陸時に限られ、陸地上空の航行で使用した地文航法には機体側面窓からの地上観測で十分であった。また、航行の大部分を占めた海上飛行では視認すべき前方目標物は無く、機体正面を観測する必要はない[注 3]。飛行姿勢を確認するための観測は、機体両側面の窓から見える地平線ないし水平線を左右見比べることで十分可能であった。リンドバーグはもともと、機体後部寄りに操縦席を持つ旧式郵便機の操縦士で、操縦中の視界の制約には慣れていた。

特徴的な燃料タンク配置を採用した最大の理由は、無名の操縦士だったリンドバーグには出資者が少なく、他のオルティーグ賞挑戦者のように大型の機材を用意できなかったことにあった(大型の機材では常識的な位置に十分な容量の燃料タンクを配置できた)。また単発機でも当初望んでいた高性能なベランカ機の調達に失敗し、航続距離や燃費消費率などにおいてやや性能が低いライアン機をベースに選ばざるを得なかった[注 4]。このため、前方視界を犠牲にしても燃料の絶対搭載量を増やすことで、飛行時間[注 5]の延長を図ったのである。
エンジン

ライト・ホワールウィンドエンジンは、リンドバーグ自身の希望で採用されたもので、当時最新の、もっとも信頼性の高いエンジンの一つであり、省燃費で、長時間の連続飛行に耐えうると考えられたことから選ばれた。その長所は、当時の航空エンジンメンテナンスの課題であったバルブ周りのオイル潤滑が、自動給脂機構によってエンジン稼働中に行える点にあった。このエンジンは実際に33時間半の連続飛行に耐え、トラブルも起こさず回り続けて、リンドバーグの期待に応えた。

NYPに搭載されたライト・J-5ホワールウィンドエンジンの個体は、ニュージャージー州パターソンのライト社工場で、同社の一組立工トム・ラトレッジによって組まれた。ラトレッジはリンドバーグの飛行に特段期待しておらず、自身の組んだエンジンの成功はリンドバーグのパリ到達後に上司から知らされたという。
プロペラ国立航空宇宙博物館で展示されるスピナー内部の寄せ書き


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