スピノサウルス
生息年代: 中生代白亜紀後期, 99?93.5 Ma Pre??OSDCPTJKPgN
2020年時点のスピノサウルスの生体復元画
地質時代
後期白亜紀セノマニアン - 後期白亜紀チューロニアン
分類
スピノサウルス(学名:Spinosaurus)は、白亜紀後期セノマニアン?チューロニアンのアフリカ大陸に生息していたスピノサウルス科の恐竜の属[1]。化石はエジプト・ニジェール・モロッコのほか[1]、リビアなど北アフリカで産出している[2]。2022年時点での推定最大全長は約14メートル、推定最大体重は約7.4トンであるが[3]、化石が不完全なためこの推定値も確かなものではない[4]。
ワニに類似する細長い吻部や、表面に縦皺の走る円錐形の歯、頭頂部の小型の鶏冠、高さ2メートル近くに達する椎骨の神経棘が特徴に挙げられる[1]。細長い吻部は水の抵抗の軽減、円錐形の歯は魚食性への適応と見られ、主に魚を食べていたと考えられている[5]。エイの仲間であるオンコプリスティスの化石との共産を以て魚食性の根拠とされることもある一方、これには否定的な見解もある[6]。
ドイツの博物館に保管されていたスピノサウルスの標本が第二次世界大戦期の空襲により失われており、全身像の復元に関して多くの説が議論されている[5]。2014年には完全に水棲の恐竜としての新復元が発表されたが、化石の分類の妥当性やキメラ標本の疑いなど議論を呼び[7]、2018年には水中では姿勢が安定しなかったとする反論も現れた[8]。2020年には S. aegyptiacus の尾椎が発表され、長さ60センチメートルにおよぶ神経棘が確認されたことから、上下に高い尾を持つ新復元が登場した[7]。 スピノサウルスは2種が命名されている。スピノサウルス・エジプティアクス(Spinosaurus aegyptiacus、「エジプトの棘トカゲ」の意)とスピノサウルス・マロッカヌス(Spinosaurus maroccanus、「モロッコの棘トカゲ」の意)である[9][10]。 最初に記載されたスピノサウルスの標本は、20世紀初頭に発見・記載された。1912年にリチャード・マークグラフはエジプト西部に分布するバハリヤ層
発見と命名
種の命名
椎骨と後肢の骨を含むバハリヤ層産の追加の断片化石は、1934年にシュトローマーによりスピノサウルスBとして発表された[12]。シュトローマーはこれらの標本は別種に分類するのに十分な差異があると考えた。スピノサウルスBは後にカルカロドントサウルス[13]やシギルマッササウルス[10]に再分類された。
S. maroccanus は、当初1996年にデイル・ラッセルにより頸椎の長さに基づいて新種として記載された[10]。特にラッセルは椎体の後側関節面の高さに対する長さの比率が S. aegyptiacus では1.1であるのに対し S. maroccanus では1.5であると主張した[10]。後の研究者らはこの話題で二分された。椎骨の長さが個体ごとに異なりうる点や、ホロタイプ標本が破壊されているため S. maroccanus 標本との直接比較が不可能である点、S. maroccanus の標本が何番目の頸椎であるか不明な点が指摘された。そのため、本種を有効な分類群として扱う者もいる一方[14][15][16]、大半の研究者は S. maroccanus を疑問名[17][18][19]あるいは S. aegyptiacus のジュニアシノニムとして扱っている[13]。