スノーボールアース
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スノーボールアース(: Snowball Earth)とは、地球全体が赤道付近も含め完全に氷床海氷に覆われた状態である。スノーボールアース現象とも呼ばれ、日本語では雪球地球(せっきゅうちきゅう)、全球凍結(ぜんきゅうとうけつ)、全地球凍結(ぜんちきゅうとうけつ)と表記される場合もある。

地球はその誕生以来少なくとも3回、氷河時代と呼ばれる寒冷な気候に支配される時代があった。現在判明しているもっとも古い氷河時代は南アフリカで発見された約29億年前のポンゴラ氷河時代で、最も新しいものは現在も続いている「新生代後期氷河時代」である[1]。最近約一万年は氷河時代の中で比較的温暖な間氷期とされる。ところが原生代初期のヒューロニアン氷河時代(約24億5000万年前 - 約22億年前)の最終期と、原生代末期のスターチアン氷河時代およびマリノアン氷河時代(約7億3000万年前 - 約6億3500万年前)に、地球表面全体が凍結するほどの激しい氷河時代が存在したという考え方が地球史の研究者の間で主流となりつつある[1][2]。これをスノーボールアース仮説といい、1992年カリフォルニア工科大学のジョセフ・カーシュヴィンク(英語版)教授がアイデアとして専門誌に発表した[3]のが発端である。その後1998年ハーバード大学のポール・F・ホフマン(英語版)教授が南アフリカナミビアでのキャップカーボネイト調査結果などをまとめて科学雑誌サイエンスに投稿し[4]大きな反響を得た。

この仮説において注目するべき点は、それまで「ありえない」と考えられてきた「全球凍結」という壮絶な環境変動が実際に起こったらしいこと、それが原因となって原生生物大量絶滅(大絶滅)とそれに続くカンブリア爆発と呼ばれる跳躍的な生物進化をもたらしたとされることであろう。たとえば酸素呼吸をする生物の誕生や、エディアカラ生物群と呼ばれる多細胞生物の出現などがスノーボールアース・イベントと密接に関わっていると考えられている。
歴史

この説が提案されるまでは、地球は形成直後のマグマオーシャンに覆われた灼熱の状態から徐々に冷えて、温暖な気候の時期と、寒冷な気候の時期、いわゆる氷河時代を経ながら現在に至った[注 1]もので、この間に地球全体が赤道に至るまで完全に凍結したことは、1度もなかったと考えられてきた。

その理由は、太陽光を熱源とする熱収支を考慮した結果に求められる。仮に地球全体が凍結したならば、地表はすべて白い氷雪で覆われてしまい、太陽光エネルギーの大半を宇宙空間反射してしまう(この状態をアルベドが高いという)ため、地表温度はさらに低下する(正のフィードバックが起こる)。その結果、地球史上で一度地球全体が凍結し白い氷雪で覆われれば、以後は太陽光で溶ける事はありえず、永遠にその状態から抜け出せないと考えられた。言い換えれば、地球全体が一旦凍結したならば、現在も凍結しているはずであるという仮説である。それゆえに、現在の地球が温暖な気候を持ち、液体をたたえていることが、そのまま、地球が凍りついたことが一度もないことを示す何よりの証拠であるとも言われた。

また地球生命が約38-40億年前[注 2]の誕生以来ずっと継続していることが、全地球完全凍結というカタストロフィックな事態が起こらなかった証拠と考えられてきた[6]。仮にこのようなことが起こったのであれば、生命がそれを生き延びたとは考えにくく、再び温暖になったときに生命も再び誕生したと考えるのが妥当とされていた。
メカニズム
世界的な氷河期からの脱却

スノーボールアース仮説では、地球が完全に凍結したとしても再び温暖な環境を取り戻す過程を提示し、地球史上にスノーボールアース状態が存在する可能性を示した。凍結から脱する要素として火山活動に由来する二酸化炭素などの温室効果ガスの蓄積を挙げている。

現在の地球に見られるような液体の海は大気中の二酸化炭素を吸収するため、大気中の温暖化ガスの濃度はある程度に抑えられ温室効果による温度上昇も抑制される。しかし、全球凍結状態では海が凍り付いてしまうことから、二酸化炭素をほとんど吸収せず、火山から放出された二酸化炭素は海に吸収されることなく大気中に蓄積していく。このため、二酸化炭素の濃度は約2000年間かけて最終的に現在の400倍程度に達したとされる。その大きな温室効果が大気の温度を最大で 100 ℃ 近く上昇させ、結果として平均気温は 40 ℃ 程度となって氷床が溶けだし、全球凍結状態から脱却したと考えられている[7]

また生物についても、凍結しなかった深海底や火山周辺の地熱地帯のような、一定の温度が保たれる場所で生きながらえてきたと考えられている。バクテリアの(遺伝子の変化を含む)環境適応性は非常に高く、生物学者のダグラス・アーウィン(英語版)は、全球凍結した地球上に、1つがディナー皿程度の大きさの「オアシス」(ここでは火山などによる氷結しない温暖地を指す)が 1000 か所ほどあり、それぞれに 1000 ほどの単細胞個体がいれば、それまでの全ての生命種は十分に維持される、と主張している。
前提
地表温度を決める要因

地表は、主に昼に太陽光線が当たって温められる一方で、宇宙空間へ熱エネルギー放射して冷える。地球の表面温度はこの太陽から受け取るエネルギーと宇宙空間へ放散されてゆくエネルギーのバランスで決まる。
太陽光の強さ
まずエネルギー源である太陽の明るさについて、太陽の進化モデルによると太陽の明るさは、太陽系が生まれた46億年前には現在の約70%しかなく、その後徐々に明るさを増してきている。太陽は現在でも約1億年で1%の割合で明るさを増し続けている[8]。即ち地球の歴史をさかのぼるほど、現在よりも太陽から受けるエネルギーが少なかった。ただし、地球の気温は太陽の明るさだけで単純に決まることはなく、昔ほど気温が低かったのではない。太陽からのエネルギーが少なかった約38億年前においても地球上には液体の海が存在していた証拠があり、現在の地球大気の条件では太陽光が現状の90%に弱まると地球表面は凍結すると予想されていることと考え合わせると、温室効果など他の要因も地球環境に大きな影響を持っていることがわかる[9]
温室効果
メタンや二酸化炭素などのガスは、地球表面から宇宙へ放射される熱エネルギー量を減らし、結果として気温を上げる働きをする。これらを温室効果ガスと呼び、現在進行中の地球温暖化問題の原因として注目されている。現在の二酸化炭素濃度は0.04%(400ppm)程度[注 3]で、それによる温室効果は33℃と考えられる。即ち現在の地表平均気温15℃に対し温室効果が全くない時の予想気温(有効温度)は?18℃とされている[10]。地球誕生時には大気中に二酸化炭素が大量に(0.1気圧ないし10気圧相当)存在したとされており、また二酸化炭素より温室効果の高いメタンガスもヒューロニアン氷河時代以前の約30億年前の大気にはかなり存在していたと考えられている。初期の地球大気に存在していた大量の二酸化炭素は、のちに石灰岩苦灰石などの炭酸塩岩として大量に地殻に固定されて減少し、また一部は石炭石油などの化石燃料として大気から除かれてきた。炭酸塩岩や化石燃料に固定されている炭素をすべて解放すると90気圧に相当するが、この量は現在の金星の大気「二酸化炭素主体の90気圧」に匹敵する[11]
氷床のアルベド
白い氷床は太陽光の反射率(アルベド)が非常に高く、入射した太陽光のエネルギーがそのまま宇宙空間へ流出する。


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