ストローマン
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ウィキペディアにおけるストローマンについては、「Wikipedia:多重アカウント#副アカウントの不適切な使用(多重アカウント使用が禁止される行為)」をご覧ください。

この項目では、論法について説明しています。その他の用法については「ストローマン (曖昧さ回避)」をご覧ください。
ストローマン

ストローマン(: straw man)は、議論において、相手の考え・意見を歪めて引用し、その歪められた主張に対してさらに反論するという間違っている論法のこと、あるいはその歪められた架空の主張そのものを指す[1]。ストローマン手法、藁人形論法、案山子論法(かかし論法)ともいう。
語源

語源は不明である。比喩的な用法は、容易に倒せそうな藁人形ダミーかかしなどを示唆する[2]。アメリカではポリティカル・コレクトネスの見地から、字義的に「藁の男」を意味する「ストロー・マン」を言い換えて、性別を問わない「藁の人」を意味する「ストロー・パーソン」を使用する場合がある[3]
概説

相手の意見の一部を誤解してみせたり、正しく引用することなく歪める、または一部のみを取り上げて誇大に解釈すれば、その意見に反論することは容易になる。この場合、第三者からみれば一見すると反論が妥当であるように思われるため、人々を説得する際に有効なテクニックとして用いられることがある。これは論法としては論点のすり替えにあたり、無意識でおこなっていれば論証上の誤り(非形式的誤謬)となるが、意図的におこなっていればそれは詭弁である。

しばしば、感情に訴える論証チェリー・ピッキングのような他の誤りとともに用いられる。相手の発言を元の文脈を無視して引用し、本来の意味とは異なる印象を与えるよう提示することをクオート・マイニングと呼ぶが、クオート・マイニングに基づいて批判すればこれもストローマンの一種である。また、倫理的に問題のある行為を抑止する場面などで多く使われる藁人形論法の一種に、滑りやすい坂論法[4]がある。Aという行為に踏み出すと類似の行為が連鎖的に行なわれ、最終的には破滅的状況になるため、そもそもAを行うべきではない、という論法である[3]

マスメディアにおいても、対抗意見を充分に取材せず、独自に解釈した反論を両論併記などの形でしばしば報道に取り入れている[5]
論法
相手が示した意見を歪め、あるいは一部のみを取り出して解釈し、それを相手が発言したかのように言い返す。

さらに発言を引用する形で一見では否定しがたい持論を作り出し、自らの発言の正当性を補強する。

相手の意見に同調する不完全な擁護意見を持ち出し、充分な主張・再反論がされたようにみせかける。

発言の中から一見関係ありそうな問題や考え方を取り出し、さも相手側の意見はこれを象徴するものとして非難する。

簡単な例

A:私は子どもが道路で遊ぶのは危険だと思う。
B:そうは思わない。なぜなら子どもが屋外で遊ぶのは良いことだからだ。A氏は子どもを一日中家に閉じ込めておけというが、果たしてそれは正しい子育てなのだろうか。

「道路」としか言及していないことに対し暗黙的に「道路=屋外」であると誘導し、さらに「危険だと思うなら家に閉じ込めておけ」という言外の要素を過剰に拡大して解釈している。

X:私は雨の日が嫌いだ。
Y:もし雨が降らなかったら干ばつで農作物は枯れ、ダムは枯渇し我々はみな餓死することになるが、それでもX氏は雨など無くなったほうが良いと言うのであろうか。

Xの一私人としての感情を必要性の問題として解釈し、さらに「嫌いなら無くなったほうが良い」という言外の要素を過剰に拡大して解釈している。
対処

ストローマンを完全に避けることは不可能であるが、はっきりとした具体的な言葉を用いることが最善であると考えられる[6]
「それはストローマンである」と明確に指摘する。相手の立場と、己の主張が同等である具体的な根拠を相手に説明してもらう。

無視する。相手をスルーし、自らの主張を毅然として貫く。ただし、相手が引き続き屁理屈を捏ね続ける可能性がある。

相手のストローマンを擁護する。この場合、歪曲された相手の詭弁を擁護する必要がある。またこの場合、相手から主張を受け入れているように見えるため、相手の誤解を指摘することが難しくなる。

脚注[脚注の使い方]^ Downes, Stephen. “ ⇒The Logical Fallacies”. 2016年1月13日閲覧。
^ Damer, T. Edward (1995). Attacking Faulty Reasoning: A Practical Guide to Fallacy-Free Arguments. Wadsworth. pp. 157?159 
^ a b 香西秀信 『論理病をなおす!:処方箋としての詭弁』 筑摩書房 <ちくま新書> 2009年 ISBN 978-4-480-06516-2 pp.97-104.


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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