ストレプトマイシン
IUPAC命名法による物質名
IUPAC名5-(2,4-diguanidino-
3,5,6-trihydroxy-cyclohexoxy)- 4-[4,5-dihydroxy-6-(hydroxymethyl)
-3-methylamino-tetrahydropyran-2-yl] oxy-3-hydroxy-2-methyl
-tetrahydrofuran-3-carbaldehyde
臨床データ
胎児危険度分類
DM[1]
法的規制
UK: 処方箋のみ (POM)
US: ?-only
投与方法筋肉注射、静脈注射
薬物動態データ
生物学的利用能84% ? 88% (est.)[2]
半減期5 ? 6 時間
排泄腎臓
識別
CAS番号
57-92-1
ストレプトマイシン(Streptomycin)は抗生物質のひとつである。最初に発見されたアミノグリコシド類であり、結核の治療に用いられた最初の抗生物質である。略してストマイともいう[3][4]。放線菌の一種 Streptomyces griseus の代謝物から発見された。
真正細菌(バクテリア)型リボソームのみに選択的で、それ以外の生物、例えば古細菌には効果がない。古細菌に近い祖先をもつと考えられる真核生物[5]本体のリボソームも阻害を受けず、真正細菌のみを選択的に殺すことができる。ただし、ミトコンドリアリボソームは進化的に真正細菌に起源があり、ある程度影響を受ける。これが副作用の原因の一つになると考えられている。
なお、ストレプトマイシンは消化管からの吸収がよくないため経口では投与できず、筋肉内注射(筋注)を行わなければならない。
現在では、硫酸塩および誘導体のジヒドロストレプトマイシンが農薬の一種である殺菌剤として発売されている。目次 1943年10月19日、ラトガース大学のセルマン・ワクスマンの研究室の卒業研究生、アルバート・シャッツ
1 歴史
1.1 日本
2 適応
3 作用機序
4 副作用
5 毒性
6 出典
7 関連項目
歴史
ストレプトマイシン発見者としての詳細と名声がシャッツによって主張され、これは訴訟にまで発展した。シャッツはストレプトマイシンの発見者ではあるが、ワクスマンの指導のもとストレプトマイシンの研究を行うよう命じられていた卒業研究生にすぎず、ワクスマンの研究室の技術、装置、設備を使っていたことが論争の原因である。シャッツを1952年のノーベル賞受賞者に含めるべきという主張もあった。しかし委員会は、受賞理由はストレプトマイシン発見の功績だけでなく、発見につながった方法論や技術、および他の多くの抗生物質の発見を含めたものであるとして、この主張を退けた。この訴訟は、ワクスマンとシャッツがストレプトマイシンの共同発見者であるとみなすという公式判定が下り、和解により終息した[7]。シャッツは1994年、74歳のときにラトガース賞を受けた。 日本では、1950年より科学研究所(理化学研究所の前身)が生産に着手。1951年10月には30トンタンク3基を稼働させ、国内需要の1/3を生産する規模にまで拡大させた。当時の新聞広告には「結核の38度線」というキャッチコピーが用いられている[8]。 ストレプトマイシンはタンパク質合成を阻害することによりバクテリアの成長や代謝を停止させる。具体的には、バクテリアのリボソーム上の23S rRNAに結合し、代謝を担うあらゆるタンパク質の合成、つまりリボソーム上でのポリペプチド鎖の合成の開始を阻害する。 他のアミノグリコシド系抗生物質と同様に内耳神経(第VIII脳神経)・腎臓に対する毒性を持つので、副作用として難聴・腎機能障害などが現れる事がある。したがって投与に際しては聴覚機能・腎機能検査の併用が必要であり、副作用の兆候が現れたら投与を中止すべきである。 かつては、ストレプトマイシンによる難聴は「ストマイ難聴」と呼ばれた。 母系の親族にストマイ難聴患者がいる場合特に注意が必要である。ミトコンドリアの12S rRNAにA1555G変異を持つ場合、ストレプトマイシンを含むアミノグリコシド系抗生物質への感受性が高く、少量の投与で難聴を引き起こす[9]。 上記の第VIII脳神経、腎機能障害の他に、肝障害・間質性肺炎・ショック・アナフィラキシー・中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群)・溶血性貧血・血小板減少が発生し得る[10]。 マウスLD50は、静注145?300 mg/kg、皮下注600?1,250 mg/kgである[11]。 アメリカ食品医薬品局 (FDA) のガイダンス[12]を参考に、マウス(静注)145 mg/kg をヒト等価用量 (HED
日本
適応
結核
感染性心内膜炎(ベンジルペニシリンまたはアンピシリンと併用の場合に限る)
ペスト
野兎病
非結核性抗酸菌症(マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)症を含む)
ワイル病
作用機序
副作用
毒性
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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