ステアリン[1]
別称Tristearin; Trioctadecanoin; Glycerol tristearate; Glyceryl tristearate
識別情報
CAS登録番号555-43-1
54-72.5 °C, 255 K, -45 °F ([3])
水への溶解度不溶
溶解度若干可溶:ベンゼン, 四塩化炭素
可溶:アセトン, クロロホルム
不溶:エタノール[2]
屈折率 (nD)1.4395 (80 °C)[2]
構造
結晶構造三斜晶系 (β型)[4]
空間群P1 (β型)[4]
格子定数 (a, b, c)a = 12.0053 A A,b = 51.902 A A,c = 5.445 A (β型)[4] A
格子定数 (α, β, γ)α = 73.752°, β = 100.256°, γ = 117.691°
熱化学
標準生成熱 ΔfHo-2344 kJ/mol[5]
標準燃焼熱 ΔcHo35806.7 kJ/mol[5]
標準モルエントロピー So1534.7 J/mol・K (液体)[5]
標準定圧モル比熱, Cpo1342.8 J/mol・K (β型, 272.1 K)
1969.4 J/mol・K (346.5 K)[3][5]
危険性
NFPA 704110
引火点300 °C (572 °F; 573 K) (密閉式[6])
半数致死量 LD502000 mg/kg (ラット、経口)[6]
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。
ステアリン(Stearin)またはトリステアリン(Tristearin)、グリセリルトリステアラート(Glyceryl tristearate、トリステアリン酸グリセリル)は、3つのステアリン酸ユニットからなるトリグリセリドである。ほとんどのトリグリセリドは、少なくとも2つ以上、通常は3つの異なる脂肪酸に由来する[7]。他のトリグリセリドと同様に、ステアリンは3つの多形で結晶化する。ステアリンの場合、融点はそれぞれ54℃(α型)、65℃、72.5℃(β型)である[3]。 ステアリンは、牛肉の加工過程の副産物である動物脂肪から得られる。また、ヤシ等の熱帯植物でも見られる。獣脂や他の脂混合物を圧搾して乾式分別することで部分的に精製でき、ステアリンに富む高融点の物質を液体(典型的にはオレイン酸由来の脂肪に富む)から分離することができる。エステル交換の後、再びその高い融点を利用して、平衡混合物からステアリンを除去することができる。 ステアリンは肝油を抽出する過程の副産物としても得られ、-5℃以下での冷却過程で肝油から除去される。 ろうそくや石鹸製造の際の硬化剤として用いられる[8]。石鹸製造の際には、水酸化ナトリウム水溶液にステアリンが混合される。下記の反応により、ほとんどの石鹸の主原料であるグリセリンとステアリン酸ナトリウムが生成する。C3H5(C18H35O2)3 + 3 NaOH → C3H5(OH)3 + 3 C18H35OONa
生産
利用
出典^ Merck Index, 11th Edition, 9669.
^ a b c Lide, David R., ed (2009). CRC Handbook of Chemistry and Physics
^ a b c Charbonnet, G. H.; Singleton, W. S. (1947). “Thermal properties of fats and oils”. Journal of the American Oil Chemists' Society 24 (5): 140. doi:10.1007/BF02643296
^ a b c Van Langevelde, A.; Peschar, R.; Schenk, H. (2001). “Structure of β-trimyristin and β-tristearin from high-resolution X-ray powder diffraction data”. Acta Crystallographica Section B 57 (3): 372. doi:10.1107/S0108768100019121.
^ a b c d ⇒Tristearin in Linstrom, P.J.; Mallard, W.G. (eds.) NIST Chemistry WebBook, NIST Standard Reference Database Number 69. National Institute of Standards and Technology, Gaithersburg MD. ⇒http://webbook.nist.gov (retrieved 2014-06-19)