スタートレック:ヴォイジャー
原案リック・バーマン
マイケル・ピラー
ジェリ・タイラー
『スタートレック:ヴォイジャー』(Star Trek: Voyager 、略称VGRまたはVOY)は、アメリカのSFテレビドラマシリーズ。『スタートレック』メディア・フランチャイズの4番目の作品。1995年から2001年にかけて放映された。 24世紀末、惑星連邦のキャスリン・ジェインウェイ艦長が指揮する最新鋭科学船U.S.S.ヴォイジャーが、銀河の反対側から故郷を目指して長い旅をするストーリー。 2371年、ヴォイジャーはプラズマストームが荒れ狂う難所「バッドランド」にて、反連邦組織「マキ」の消息を絶った一派の追跡調査任務を受ける。しかし調査の途中で正体不明のテトリオンビームに捕獲され、一瞬にして地球からおよそ75,000光年彼方のデルタ宇宙域深部に飛ばされてしまう。 ヴォイジャーを捕えたのは「管理者」と呼ばれるエイリアンと彼の「アレイ型ステーション」であったが、その後管理者は寿命が尽き死亡。管理者不在のステーションの残存が、近隣のオカンパ人文明の安全を脅かすと判断したジェインウェイ艦長はステーションを破壊することを決意する。しかし同時にそれは帰還手段をも破壊することであり、結果としてヴォイジャーはデルタ宇宙域深部に取り残されてしまう。ジェインウェイ艦長は同じく捕えられていたマキのメンバーをクルーに迎え入れ、最新型宇宙艦ヴォイジャーの最高ワープ速度をもってしても70年以上かかる地球までの道のりを旅することになった。 明確に地球を目的地とし、未知の領域の道中に数々の異星人文明や宇宙現象と出会っていくロードムービー的なSF冒険ドラマである。道中での未知の種族・社会との出会いや、危険な領域をあえて通らざるを得ない場面に様々のドラマが生まれた。1話完結スタイルのドラマであるため、どこから見始めても問題ないという点も特徴である。 VOYはオリジナルシリーズ『宇宙大作戦(TOS)』の精神を最も受け継いでいるといえ、初の女性艦長、『新スタートレック(TNG)』や『スタートレック:ディープ・スペース・ナイン(DS9)』で取りざたされていた反連邦組織マキ、人気のある敵性種族・ボーグ集合体、ピカード艦長を悩ませていたQ連続体など、それまでのシリーズで未消化であった部分が深く掘り下げられて描かれているため、「スタートレック世界」の集大成的なシリーズとして人気が高い。またスタートレックの登場人物が放映当時のアメリカ社会に上陸する映画第4作『故郷への長い旅』を元にした50、51話「29世紀からの警告」など、過去に人気のあったエピソードをモデルにした話も見られる。さらにTNGや、DS9と舞台となる時代設定が同一であり、それらと関連した登場人物や事件が描かれている47話「救世主フェレンギ」などのエピソードもある。またDS9のシーズン3?7とVOYのシーズン1?5は劇中の時間とドラマの放映期間が重なっている。 シーズン1ではエリート士官である宇宙艦隊のクルーと、アウトローのマキのクルーが対立するエピソードがしばしば見られるが、マキは艦隊のルールに徐々に適応し、艦隊のクルーも歩み寄る姿勢を見せる等、一致団結して困難に立ち向かう姿が描かれるようになる。 シーズン2までは粗暴な種族がひしめき合う未知の領域をさまようある種の悲壮感があったが、シーズン3以降徐々に楽天的に冒険を楽しむスタートレックらしい明るいドラマとなっていく。 シーズン3中盤にはいよいよ現地ガイドのニーリックスの知識の及ばない領域に突入し、シーズン3終盤にはTNGや映画にも登場した危険な敵性種族「ボーグ集合体」の本拠地ボーグスペースに差し掛かる。同時期にはDS9にてドミニオン戦争が激化しており、同時放映されていた両シリーズは緊迫の展開となっていった。シーズン4からは「元ボーグ」の新キャラクター、セブン・オブ・ナインが登場。敵であるボーグが仲間に加わることでドラマは大きく引き締められる。シーズン5では宿敵ボーグクイーンが登場し、ジェインウェイ艦長との緊迫の女帝対決も見どころのひとつとなる。以降シーズン7までボーグに遭遇する機会が増え、謎に包まれていたボーグの生態も描かれることになった。 U.S.S.ヴォイジャーのクルーは生粋の宇宙艦隊士官だけではなく、反連邦組織であるマキ出身の暫定士官が1/4ほどを占める。マキ出身者には暫定的な階級が与えられており、正規のものとは違う形の階級章をつけている。第1シーズンではアウトローのマキのクルーと、エリート士官然とした宇宙艦隊クルーとの対立シーンが見られるが(第3話「ブラックホールからの脱出」、第11話「裏切り者」、第16話「バイオ神経回路」等)、不評であったために早々に見られなくなり、代わりに困難に対して一致団結する姿が描かれるようになった。また、レギュラークルーは9名と『新スタートレック』の7名から増員されているが、本作には『新スタートレック』のマイルズ・オブライエンやガイナンといった頻繁に登場するサブレギュラーはいない。
あらすじ
シリーズの特徴
登場人物
レギュラー
キャスリン・ジェインウェイ
演 - ケイト・マルグルー(松岡洋子)
階級は大佐。U.S.S.ヴォイジャー艦長。地球人女性。『スタートレック』シリーズ初の女性艦長主人公。中佐時代はU.S.S.アルバターニに勤務する青い制服の科学士官であったが、当時の上官オーウェン・パリス艦長に指揮能力を見出され、赤い制服の指令部門へ転属したという艦長としては異色の経歴の持ち主。人が集まれば自然とリーダーシップを求められる女性。洞察力が鋭く、ヴォイジャーを陥れようとする数々の策略を看破する。科学技術への造詣があり深く科学を信奉するものの、第49話「聖霊の怒り」以降は宗教・芸術的な感性も磨くようになる。
なお、キャスリン・ジェインウェイ艦長は当初ニコール・ジェインウェイ艦長という役名であり、ジュヌヴィエーヴ・ビュジョルドという女優がその役を射止めたが、数シーンの撮影のみで降板し、代わりに『ミセス・コロンボ』で有名なケイト・マルグルーが抜擢されたという経緯がある。
ヴォイジャー帰還後、提督(中将)に昇進しており映画第10作「ネメシス」にカメオ出演する。『スタートレック:ピカード』シーズン2、3には名前だけ登場。
トム・パリス、セブン・オブ・ナインらと同様、VOY終了から20年を経てCGアニメシリーズ『スタートレック:プロディジー』のU.S.S.プロトスターNX-76884の訓練アドバイザーホログラムとして登場する。本人も中将として登場し、U.S.S.ドーントレスに座乗し、プロトスターを追跡する任務に当たっている。『スタートレック:プロディジー』シーズン1フィナーレにおいて、自身のホログラムからダル達5人の後見人を引き継ぐ形となり、艦隊士官として鍛えていくことを決意した。
『スタートレック:ヴォイジャー』最終話、『スタートレック:プロディジー』1話によると、宇宙艦隊史上最も多くの勲章を授けられた士官である。
チャコティ
演 - ロバート・ベルトラン(石塚運昇)
階級は少佐。ヴォイジャーの副長。地球人男性。元宇宙艦隊士官だったが退役し、マキのメンバーとなっていた。カーデシア国境の非武装宙域出身で、ネイティブアメリカンの血を引く。これは、『新スタートレック』第172話「新たなる旅路」に登場した惑星連邦領とカーデシア領の領土交換の犠牲となったドーバン5号星との関連を匂わせるものだが、この星出身という明確な設定はない。頑固で無茶をしがちなジェインウェイ艦長を支え、時に止める女房役。
ヴォイジャー帰還から約6年後『スタートレック:プロディジー』によると、正式に復隊し大佐に昇進している様子がプロトスター内の記録映像にて描かれている。
ベラナ・トレス
演 - ロクサン・ドースン(五十嵐麗)
階級は中尉。
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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