スタジオ・ミュージシャンは、ポピュラー音楽において、自身は演奏しない歌手などが音楽スタジオでレコーディングする際に、楽器を演奏するミュージシャン[1]。レコーディング・ミュージシャン、セッション・ミュージシャン(Session musician)とも呼ばれる。
特にソロ歌手や音楽バンドに足りない楽器をステージで演奏する仕事は、サポートミュージシャン[2]、バック・ミュージシャン(Back musician)、サイドマン
(英語版)と呼称される。ソロ歌手の場合、サポートミュージシャンのバンドが帯同することになるため、バックバンド、バックアップ・バンド(Backup band)と呼ばれる。バンドや音楽グループメンバーの演奏者とは違い、基本的に他人の楽曲の演奏が主となる。そのため、高度な演奏技術だけでなく、さまざまな要求や状況に対応出来るだけの音楽理論や知識が必要とされる。フルート奏者でスタジオ・ミュージシャンとして活動する旭孝は、スタジオ・ミュージシャンには以下のような技術が必要であると述べている[3]。
水準以上の演奏能力を持っている
初見が利いて、楽譜の表と裏(記譜内容だけではなく、楽譜が要求している演奏方法)が読める
音感、リズム感に優れている
何か一つ以上、得意な分野(楽器あるいはジャンル)を持っている
応用力に優れている(移調などその場でのアレンジ変更に即座に対応出来る)
専門以外にも、複数の楽器が演奏出来る
ジャズやポップスの音楽理論の知識がある
スタジオ・ミュージシャンではなく得意な楽器の奏者(ギタリスト、ピアニスト)と名乗ることもある。
伴奏以外にも楽器演奏が必要な場面での仕事がある[1]。 ジェームス・ジェマーソン、ベニー・ベンジャミン、フィル・アップチャーチ、デヴィッド・T・ウォーカー[4]、コーネル・デュプリー、ノーマン・ハリス、ロニー・ベイカー、スコティ・ムーア[5]、エイモス・ギャレット、リー・リトナー、ラリー・カールトン、スティーヴ・ガッドらは、代表的なスタジオ・ミュージシャンである。 また、スタジオ・ミュージシャンが結成したバンドとしては、ザ・クルセイダーズ、レイディオ、アトランタ・リズム・セクション、シック、MFSB、レッド・ツェッペリン、TOTO、スタッフ、エアプレイ、ブレッド、バーケイズなどが挙げられる。編集アルバムが発表されたハウス・バンドとしては、ファンク・ブラザーズ(モータウン)、フェイム・ギャングらがいる。バーズやモンキーズは、スタジオ録音では本人ではなく、セッション・ミュージシャンが演奏していた。 スタジオ・ミュージシャンには特定の芸能プロダクションやレコード会社に所属するものと、フリーランスで活動するものが存在する。 前者はかつてのビーイング所属ミュージシャンに代表されるように、芸能プロダクションやレコード会社の斡旋により複数のミュージシャンのレコーディングやライブに参加している。定期的に仕事の斡旋がある一方で、ギャランティーについては芸能プロダクションによる仲介手数料が差し引かれたものがミュージシャンに渡されることになる。 一方、フリーランスのスタジオ・ミュージシャンはギャランティーの満額を手にすることが出来る一方、基本的には独力で仕事を探すことになる。
海外のスタジオ・ミュージシャン
日本のスタジオ・ミュージシャン