スクラム_(ラグビーユニオン)
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ラグビーリーグにおけるスクラムについては「スクラム (ラグビー)」をご覧ください。
イングランドスコットランドの試合におけるスクラム。

ラグビーユニオンにおいて、スクラム(: scrum)は軽微な反則後に試合を再開する方法である。スクラムにはそれぞれのチームから8人の選手(パックあるいはフォワードパックと呼ばれる)が参加する。8人の選手は3列の隊列を組み、相手チームの最前列のフォワードと組み合う。この時点で、ボールが2チームのパックの間の隙間に投入され、ボールのポゼッションが争われる。故意にスクラムを崩したり、スクラムに正しくボールを入れなかったチームは反則を取られる。スクラムが与えられるのは、前にボールを落とした時(ノックオン)、前にボールを投げた時(スローフォワード)、ボールがラックあるいはモールといった密集状態から出てこなくなった時である。スクラムの身体的性質から、特に前列(フロントロー)で怪我が起こりうる。
概説ラグビーユニオンのスクラムにおける選手の相対的位置。20世紀末まではフランカー(6・7番)はナンバーエイトの両脇に就いて3人でバックローを構成し、セカンドローのフォワード(4・5番)を押していた。つまりこの図の「3-4-1フォーメーション」ではなく「3-2-3フォーメーション」

スクラムを準備するために、それぞれのチームの8人のフォワードは3列(フロントロー、セカンドロー、バックロー)になり互いにバインドする。フロントローは2人のプロップと1人のフッカーから構成される。「ルースヘッド」プロップが左、フッカーが中央、「タイトヘッド」プロップが右に並ぶ(背番号は1、2、3)。背番号3の「タイトヘッド」プロップは頭と肩を相手チームのフッカーとルースヘッドプロップの間に入れることから名前が来ている。対照的に、ルースヘッドプロップはスクラムの外に片方の肩が出ている。3人はきつく密着し、フッカーとそれぞれのプロップの間には隙間がない[1]。競技規則によれば、「スクラムにおいて、プレーヤーが味方のプレーヤーにバインドするときは、手から 肩までの腕全体を用いて、味方のプレーヤーの胴体の、腋の高さかまたはその下の部分をつかまなくてはならない」[2]。適切なバインドに失敗すると反則となり、相手チームにフリーキックが与えられる。

スクラムの総員は何人でもよいが、フロントロー構成員は3人を超えてはならない。7人いるバックスが総勢に加わってもよいが、ほとんどの場合はフォワードの8人のみ。

2人の「セカンドロー」フォワード(背番号4および5)は互いにバインドし、フロントローの後方からそれぞれがプロップとフッカーの間に頭を入れる。彼らはより一般的には「ロック」と呼ばれる(スクラムをロックするため)。バックローは2人のフランカーと1人のナンバーエイトからなる(20世紀までの編制)。フランカーはスクラムの両サイド(ロックの隣、プロップの後ろ)にバインドする[1]。一般的に、背番号7のフランカーは「オープンサイド」フランカーと呼ばれ、背番号6にフランカーは「ブラインドサイド」フランカーと呼ばれる[3]。「オープンサイド」と「ブラインドサイド」はそれぞれピッチの広い側と狭い側を意味する(大抵の場合、スクラムはいずれかのタッチライン寄りで行われるため)オープンサイドフランカーの仕事は。次のラックあるいはモールに出来るだけ速く取り掛かることであり、そのため大抵そちらの側にバインドする。ナンバーエイトは2人のロックの後方から間に頭を入れてバインドする。

スクラムを作るために、2つのフォワードパックは互いの腕の長さの範囲内に接近する。レフェリーの「クラウチ」(かがめ)の命令で、向かい合ったフロントローは、背中がグラウンドと平行に、頭と肩が腰よりも低くなるように身をかがめる(クラウチ)。次に、レフェリーの「バインド」コールで、プロップは、外側の腕を相手のプロップの腕の内側にして、相手のプロップのジャージの背中または脇をつかみ、相手のプロップとバインドしなければならない。この命令により2つのフロントローが離れすぎないようになる。最後に、レフェリーは「セット」と言い(これは命令ではなく、フロントローがエンゲージすることへの許可である)、2つのフロントローが衝突する。この時、双方のフロントローはタイトヘッドプロップの頭を相手のフッカーとルースヘッドプロップの間に入れて押す。次に、プロップは相手のプロップのジャージの後ろ側あるいは横を掴んでバインドする[4]

ポゼッションを持つチームのスクラムハーフは、次にボールを2つのフロントロー間の隙間に投入する[5]。この隙間は「トンネル」と呼ばれる。2人のフッカー(時にはプロップ)はトンネル内のボールを足で後方にフックしてポゼッションを争う。全体のパックは相手のパックを後方に押しやろうとする。ポゼッションを得た側は通常スクラムの後ろへボールを移動させる(これは足を使って行われる)。ボールが後ろへ移動すると、ナンバーエイトあるいはスクラムハーフが拾い上げる[6]。ここから、ボールはインプレーになり、ボールを保持する選手はラン、パス、キックのいずれかを行う。まれに、フォワードがスクラム中にボールを保持したまま、相手を後ろに押し込もうと試みることがある。
反則

スクラムの間にやってよいこと、やってはいけないことの詳細に関しては大量のルールが存在する。これは主に安全面での理由からであり、もしスクラムが適切に実行されなければ負傷する可能性が高いためである。ルールの大半はフロントローの動きに関するものである。フロントローは傾かずにまっすぐエンゲージしなければならない。タイトヘッドプロップが斜めに組むと、相手のフッカーの動きを制限してしまう。同様に、ルースヘッドプロップが相手のタイトヘッドプロップの胸を押すと、相手の体がスクラムから飛び出てしまう。これらの反則にはペナルティが与えられる[7]。フロントローの選手は体をねじったり、相手を引き込んだり、その他スクラムを崩す可能性のあるいかなる行為も禁止されている。また相手を上側に押してはならない[2]。最後に、バックローはボールがスクラムを離れるまでバインドしていなければならない。フランカーにとって、これは一方の腕を肩より上に挙げてスクラムに接触することを意味する。ナンバーエイトはスクラムが終了するまで両手でスクラムに触れていなければならない。

その他のルールは、 スクラムハーフと彼らがどのようにボールを投入するかに関するものである。 スクラムハーフがボールを投入する時、スクラムは安定、静止、そしてゴールラインに対して平行でなければならない。さもなければ、反則を犯していないチームに対してフリーキックが与えられる。スクラムが条件を満たしていれば、スクラムハーフは直ちにボールをスクラムにフィードしなければならない。レフェリーはしばしばチームを注意し、注意が聞き入れられない場合は相手チームに対してフリーキックが与えられる。ボールはトンネルの中央にグラウンドとタッチラインに対して平行にフィードされなければならない。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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