スキュラ
[Wikipedia|▼Menu]
.mw-parser-output .hatnote{margin:0.5em 0;padding:3px 2em;background-color:transparent;border-bottom:1px solid #a2a9b1;font-size:90%}

この項目では、神話上の怪物あるいは王女について説明しています。小惑星帯の小惑星については「スキュラ (小惑星)」をご覧ください。
ボイオーティア出土の鐘型クラテールに赤絵式で描かれたスキュラ。紀元前450年-425年。ルーヴル美術館所蔵

スキュラ(古希: Σκ?λλα, Skylla, ラテン語: Scylla)、あるいはスキュレー(古希: Σκ?λλη, Skyll?)は、ギリシア神話に登場する怪物、あるいはメガラの王女の名[1]。その名は「犬の子」を意味する[2]
怪物と化したスキュラ
概要

オデュッセイア』などに登場する[1]。『オデュッセイア』では3列に並んだ歯を持つ6つの頭と12本の足が生えた姿と書かれているのみだが[3]、『変身物語』では上半身は美しい女性で、下半身からは足の代わりに幾つかの[注 1]の体が生えた姿をしているとされる[5]。陶器画や彫刻では女性の上半身と魚の下半身を持ち、腰から複数の犬の前半身が生えた姿で描かれる[6][2]。犬の頭でできた帯をしているともいわれる[1]。かつてはニュムペーであった[7]。壷絵では剣を持った姿で表されることもある。不死の存在だったといわれる[1]。彼女は女神クラタイイース(「強い女」の意で、ヘカテーの別名だとも[6]、海のニュムペーだともいわれる[2])の娘だとも、ポルキュースないしラピテース族[8]ポルバースとヘカテー、またはテューポーンエキドナの間の娘だともいわれ、ラミアー[1]ポセイドーンの娘という説もある[7]
神話

スキュラに対し、大勢の男性が求婚を申し込んでいたが、常に拒み続けていた[5]。海のニュムペーを訪ねては若者たちを素気無くあしらった経緯を話していたが、ニュムペーたちも彼女のことをとても気に入っていた[5]。その一人、ガラテイアはスキュラに対して、かつて自分に恋したキュクロープスポリュペーモスに、恋人アーキスを殺された話を語った[5]

あるとき、スキュラのもとに海の神の一柱、グラウコスが現れた[5]。偶然出会ったスキュラに対して恋心を抱く彼に対し、突然のことに驚いた彼女は逃げ出し、海に面した山の上まで来るとそこから改めてグラウコスを眺めてみた[5]。しかし、彼の長い髪、脚の代わりに生えている魚の尾などといった人間離れした姿には、やはり驚きを隠せなかった[5]。そんな彼女に対しグラウコスは、自分は海神であり決して怪物ではないこと、元々は普通の漁師であったが、とある草を噛んでみたら突然水が恋しくなったこと、陸での生活を捨て海に潜った先で、海神たちが自分を神の仲間へ加え、オーケアノステーテュースによって浄められ人間的な部分をすっかり洗い流されたこと、そして今ではプローテウストリートーンなど、他の海神たちにも劣らない存在になったことなど、彼女の心をつなぎ止めようと必死に語りかけ、熱烈に求愛した[5]。しかし、スキュラの心を射止めることはできなかった[5]。彼がさらに話を続けようとしたのも虚しく、彼女は逃げてしまった[5]

グラウコスはスキュラのことを諦めきれず、魔術と薬学に深い知識を持つキルケーを訪ね、その呪文薬草の力を使って、どうかスキュラとの恋を成就させてほしいと頼んだ[5]。しかし、相談を受けたキルケー自身がグラウコスを気に入ってしまった[5]。彼女は、彼に何の興味も持たない相手を求めようなどとせず、彼に対して恋している相手をこそ求めるべきであると言い、スキュラよりも自分を選ぶように勧めたが、グラウコスは頑として聞き入れようとはしなかった[5]。このことにキルケーは激昂したが、グラウコスへの恋心は変わらなかったため、彼に対して危害を加えるような考えは起こらず、代わりに、恋敵であるスキュラに怒りの矛先を向けた[5]。スキュラが特に気に入っていた場所の一つに、とある小さな淵があった[5]。日差しが特に強い時には、この場所を訪れるのであった[5]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:72 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef