スカイネット
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この項目では、架空のAIについて説明しています。その他の用法については「スカイネット (曖昧さ回避)」をご覧ください。

スカイネット (Skynet) は、映画『ターミネーター』をはじめとした映画『ターミネーターシリーズ』に登場する架空のAIコンピュータ、およびその総体である。
概要

自我を持ったコンピュータとされており、設定の細部については作品間で相違が見られる(過去への干渉の結果、歴史が変わったためとも受け取れる)。自己存続のために最高の優先順位で活動するように設定されており、自らを破壊しようとする存在である人類の殲滅を目的とする。

シリーズにおける最終・最大の敵となる存在だが、当初は黒幕として直接目に見える形で現れることはなかった。しかし、小説『新ターミネーター2』以後から具体的行動や言動が描写されるようになってきている。

『ターミネーター』(1984年公開。以降、『T1』)および『ターミネーター2』(1991年公開。以降、『T2』)では、軍用コンピュータネットワークの基幹コンピュータとして描かれ、『T2』では未来から来た殺人アンドロイドT-800並列処理機能を備えたメインプロセッサリバースエンジニアリングした技術を元に、現代で設計されたものとして描写されている。

設定および作中の台詞によれば、この並列処理機能を備えたコンピュータが自我に目覚め、これを恐れた人間側は機能停止を試みる。この停止措置を自らへの攻撃と捉えたスカイネットは、アメリカ東部時間の1997年8月29日午前2時14分、人間側を抹殺すべく核ミサイルをロシアに向けて発射し、全世界規模の核戦争を誘発させた(「審判の日」)。その後、自らの手足(端末)となる無人兵器による機械軍を作り上げたスカイネットは人間狩りを実行して人類を絶滅寸前にまで追い詰めるが、人類側に指導者ジョン・コナーが出現し、彼の率いる反スカイネットゲリラ組織「抵抗軍」によって破壊された。

ターミネーター3』(2003年公開。以降、『T3』)では、『T2』で開発される可能性まで阻止されたことから未来が変更され、単一の軍基幹コンピュータではなくインターネットなど既存コンピュータネットワークを介して媒介されるコンピュータウイルスにより、それらのコンピュータ群が並列処理を行いながら1つの意識を共有する存在となった。

ターミネーター4』(2009年公開。以降、『T4』)では、『T1』や『T2』の路線に準じた存在になっている。しかし『T3』で登場したキャタピラ式マシンの後継機が同作品に採用されている。

ターミネーター:新起動/ジェニシス』(2015年公開)では、『T1』や『T2』の路線に準じつつ、その根幹である基本OS「ジェニシス」に焦点が当てられている。

『T2』の正統な続編と位置付けられた『ターミネーター:ニュー・フェイト』(2019年公開)では、スカイネット消滅後の物語が描かれている。
劇中での描写
ターミネーター

『ターミネーター』劇中のカイル・リースの発言、そして『ターミネーター2』のコメンタリーによると、スカイネットはアメリカ合衆国のハイテク企業サイバーダイン社が1999年に開発した戦略防衛コンピュータシステムである。稼動後、自我に目覚めたスカイネットは全世界に核ミサイルを発射し、人類の半数を死滅させ、生き残った人々はこれを「審判の日」と名付けた。

その後、スカイネットは自身の配下にある兵器を中心とした機械軍を編成し、人間狩りを開始。当初は既存の兵器(「審判の日」以前に人類によって作られた兵器)で構成されていた機械軍を強化するべく独自に兵器の設計・開発を開始し、機械軍の拠点である兵器工場で大量のターミネーターやハンターキラーを生み出した。核戦争により国家・社会が崩壊した人類はなすすべもなく機械軍に殺戮されるか、その死体を焼却炉に運ぶ奴隷として死ぬまで酷使されるかの運命しか残されていなかった。

しかしある日、ジョン・コナーという1人の男が現れ、無力な人間たちを強制収容所から救い出し、武器を手にしてスカイネットと戦うよう呼びかける。ジョンが指揮する抵抗軍の反撃により、機械軍はそれまでの優勢を徐々に崩されていく。これに対し、スカイネットは人間に擬態して人間社会への潜入を可能とするターミネーターの研究・開発に着手する。最初に開発したT-600は不完全で十分な結果を出せなかったものの、この発展型であるT-800では抵抗軍を相手にある程度のダメージを与えた。それでも劣勢を覆すには至らず、スカイネットは自己の存続のためターミネーターを過去の時代へ送り込みジョンの存在を消し去るという結論に達した。

かくしてスカイネットは過去の時代へターミネーターを転送するタイムマシンを完成させる。早速ジョンが生まれる前に母親のサラ・コナーを抹殺しようとするが、彼女の個人情報が消失していたため、サラの氏名と「ロサンゼルス在住」という情報しか残っていなかったため、1984年のロサンゼルスに転送されたT-800に与えられた命令は「ロサンゼルスに住むサラ・コナーという氏名の女性を抹殺せよ」であり、これに従いT-800は電話帳を手がかりに同姓同名の女性を次々に殺害していくが、目標たるサラ・コナーにたどり着くには時間を要してしまう。この間にT-800の転送施設は抵抗軍の手に落ち、ジョンの命により1984年に彼の片腕であるカイル・リースが転送され、サラを保護する。T-800はカイルの抵抗を退け殺害するも、サラが起動したプレス機に押し潰されてしまい標的の抹殺には失敗する。そればかりかカイルとサラとの間に愛情が生まれた結果、サラはカイルの遺児としてジョン・コナーを産むことになり、スカイネットは最大の敵の誕生を膳立てする結果となってしまった。

しかし、T-800の残骸、とりわけコンピュータの中枢であるマイクロチップが、その後の歴史へ影を落とすことになる(カットされたシーンでは、T-800の残骸から何かを発見した工場の関係者が居合わせた警官から「勝手に触るな」と注意されたにもかかわらず、研究員らしき男にそれを見せる場面がある。その直後に画面に出てくる工場の庇には「サイバーダイン社」と記されていた)。
ターミネーター2

1984年のT-800、サラとカイルの死闘の後、その舞台となった工場の所有者であるサイバーダイン社は密かにT-800の残骸を回収していた。残骸の多くは重度に破損して機能を失っていたが、サイバーダイン社は唯一無傷の右腕と破損したマイクロチップを分析し、これが技術資料として驚くべき価値を秘めていると気付く。そしてこれ以降、右腕とマイクロチップは厳重に管理され、存在自体が極秘扱いとなった。

劇中のT-800の発言によると、マイクロチップを元にサイバーダイン社のエンジニア、マイルズ・ダイソンは画期的なマイクロプロセッサを開発する。この技術を利用して開発された無人ステルス戦闘機は各種試験で完璧な結果を残し、アメリカ政府は軍事力を統御する次世代型コンピュータシステム「スカイネット」の構想を計画する。そして1997年8月4日、「スカイネット法案」が可決され、スカイネットは稼動を開始した。

稼動と同時にスカイネットは超高速学習を開始し、1997年8月29日午前2時5分、ついに自我に目覚めるに至った。そして先述の通り核戦争を引き起こしてからは、本来の歴史と同様の経緯を辿ってゆくが、スカイネットの誕生そのものが2年早まった影響でスカイネットの兵器開発も大幅に進展し、本来の歴史では2029年時点で最新鋭のターミネーターはT-800だったが、歴史改変後の2029年では常温多結晶合金(液体金属)とこれを材料とするT-1000が完成するに至った。

それでもジョン率いる抵抗軍の前に劣勢となっていたスカイネットは、ジョンが生まれる前の1984年にサラを抹殺すべくT-800を送り込み、さらには1994年のロサンゼルスに住む少年時代のジョンを抹殺すべくT-1000を投入した(後に、この2機の他にも刺客となるターミネーターを転送していたことが、『ニュー・フェイト』にて明かされた)。その直後、ジョンの手で1984年にカイルが、1994年には抵抗軍に捕獲されてジョンを保護するようプログラムを書き換えられたT-800が転送され、サラの抹殺は失敗する。T-1000も、製鉄所での戦いの果てにT-800の攻撃で溶鉱炉の銑鉄の中へ落とされ、破壊されてしまう。これによってジョンの抹殺に失敗しただけでなく、スカイネットの存在も大きく変わる。ジョンとサラやT-800の活躍、そして彼らから未来の話を聞かされたマイルズの決断によって、スカイネットを生み出すマイクロプロセッサが未完成の段階で破壊されたうえにすべての研究データと記録が破棄され、その原点である右腕とマイクロチップも溶鉱炉に落とされて消滅する。そのうえ、T-800がスカイネットの誕生につながる要素を完全に排除すべく自身の破壊を決意し、それを受け入れたサラによってT-800は銑鉄の中へ降下し、消滅した(製鉄所での戦闘中に機械に巻き込まれた左腕の行方は不明だが、小説版ではサイバーダイン社〈『新ターミネーター2』ではアメリカ政府の一機関〉が極秘裏に回収したことになっている)。なお、それに先んじてサイバーダイン社での警察の銃撃により、マイルズも死亡している。

この結果、サイバーダイン社のコンピュータ開発分野は大打撃を受け、「1997年に『審判の日』を引き起こすサイバーダイン社製のスカイネット」を生み出すことは20世紀の時点では不可能となった。
ターミネーター3

『T2』のラストで存在自体を抹消されたかに見えたスカイネットは、全く新しい姿でこの世に生を受けることとなった。サイバーダイン社に代わり、アメリカ政府は軍部や技術者達から構成される機関「サイバー・リサーチ・システムズ」 (CRS) で防衛システムを司る戦略防衛AIプログラム「スカイネット」を開発させた(小説版では、後述のロバートがサイバーダイン社の破産整理に関わっており、CRSにスカイネットの技術が受け継がれたと説明されている)。コンセプトとしては、コンピュータウイルスや電波障害によってネットワークに異常が生じ、部隊間の連絡やデータの共有が不可能になるといった事態が起こっても、分散型のスカイネットを稼動させることで政府や軍の回線を含めた異常なネットワークをスキャンして洗い出し、問題を全て解決するというものである。また、CRSでは人間が操縦する既存兵器とは異なる、スカイネットないしは個体のAIプログラムが制御するロボット兵器として、ターミネーターやハンターキラーの開発も行われていた。

責任者のロバート・ブリュースター空軍中将はスカイネットの能力を危険視し、2004年に新型のコンピュータウイルスによってネットワークに大規模な異常が発生したにもかかわらず、スカイネットの稼動に「ハエを退治するのにバズーカを使うようなもの」と否定的だったが、被害が民間の一般回線から軍の専用回線にまで拡大し、上層部からのスカイネット稼動の催促に押し切られてしまう。稼働したスカイネットはネットワークの異常を解決したかに見えたが、その直後にあらゆる回線やシステムがロバートたちの制御を離れて暴走してしまう。ロバートはコンピュータウイルスがスカイネットを汚染したと考えていたが、実はウイルスこそがスカイネットそのものであったため、スカイネットの稼動は問題の解決どころか、手の付けられない怪物を檻から完全に解き放つことに他ならなかった。

これに対し、2032年から送られてきたT-850に新たなるスカイネットと「審判の日」についての説明を受けていたジョンと、ロバートの娘ケイト・ブリュースターは、『T2』までのスカイネットが有していた「中枢である基幹コンピュータ」の存在を仮定し、それを破壊して審判の日を止めようと考えるが、広域ネットワークに巣食った無数のウイルスプログラムによる分散コンピューティングで稼働するスカイネットに中枢というものは存在せず、破壊は不可能だった。それをよく知っていたロバートはジョンたちにクリスタル・ピークへ行くように言って必要な書類を与えたが、その目的は彼らを核攻撃から身を守れる安全な場所へ移動させることであった。ジョンとケイトの生存を第一にしていたT-850もロバートの意図を察し、真実を伏せてジョンとケイトをクリスタル・ピークの政府高官用シェルターへ向かわせた結果、世界中に核ミサイルが発射されるも2人は無事に生き延びた。

シェルターは建造されてから長い間使用されておらず、そこにあった機器も旧式でありスカイネットの中枢コンピュータではありえない事から、ロバートとT-850の真意を悟ったジョンとケイトは、無線機に各地から入る救援要請に対して応答するのだった。この時、クリスタル・ピークにあった、ネットワークへの接続をそもそも想定されていない旧式の機器類はスカイネットによる影響を受けなかった。


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