スウィートデビル
ジャンルテレビドラマ
企画久野昌宏
(コンセプトデザイナー)
脚本福田靖
深沢正樹
演出上川伸廣
『スウィートデビル』は、テレビ朝日系列で1998年7月13日から同年9月7日に『月曜ドラマイン』枠で放送された、MAXの4人が主演のテレビドラマ。全9回。 1998年7月13日夜8時[1]、皇林学院大学3年生の篠山泉・児島陸・香沢凪の3人は、わけあって事件に巻き込まれ瀕死になっている泉の知人を助けるため、事件現場で偶然出会った同級生の超能力者・今井灯子とともに、4人で魔術鏡を使った「願いを叶える」儀式を行う。 一度は心臓が止まったはずの知人は一命を取りとめ、儀式は成功したかのように見えたが、結果として魔術鏡の儀式で決して行ってはいけなかった「死者の蘇生」を行ってしまった彼女たち4人に、命を脅かす「九つの災い[2]」が降り掛かる…。 4人は「九つの災い」に取り憑かれた人間による事件に立ち向かう中で強い絆で結ばれ、偶然「九つの災い」を巡る事件の捜査に携わることになった刑事・高取佑一郎らの協力で七つ目までの災いを退ける。 しかし、最後の災いであるアポロンが灯子に取り憑いていることが判明し、アポロンの影響により制御不能となった灯子の超能力によって頭部を強打した泉は視力を失い、更に灯子を仲間に引き入れようとする八つ目の災い・アレスとの戦いにより高取が命を落とす。 泉の失明と高取の死に責任を感じ、かけがえのない親友となった泉たちに制御不能となった超能力が牙を剥くことを恐れた灯子は、苦悩の末自ら命を絶つという手段で彼女たちを最後の災いから解放する。 哀しみに暮れる泉たちだが、「九つの災い」の終焉によって魔術鏡が願いを叶える力を取り戻したことを知り、最後の賭けとして「全てのきっかけとなった事故が起こる前=7月13日夜8時まで時間を巻き戻す」という願いを魔術鏡に託した。 そして、そこで死んだはずの灯子が一緒に祈りを捧げる姿を目撃し、直後に魔術鏡の儀式の成功により過去に飛ぶ。 時間の巻き戻しに成功し視力も戻った泉たちは、「九つの災い」を引き起こすきっかけとなった事故を阻止し、そこで全てを覚えていた灯子と、泉たちと過ごした時間の記憶を持たない高取たちとの再会を果たすのだった。
あらすじ
キャスト
篠山泉:沢詩奈々子
能力:マインドリーディング皇林学院大学3年生で、壇原教授のゼミを受講。つばさ保育園でアルバイトをしている。陸、凪より1歳年上。大人しい性格だが、呪いに対して真正面から立ち向かう強さも持っている。11月1日生まれで誕生星座はさそり座。さそり座=天蠍宮は水の宮であり、魔術の成功をきっかけに、水が流れ込んで来るように人の心の声を読む力(マインドリーディング)を得るが、人の心を勝手にのぞき見しているようで当初は誰にも言い出せずにいた。事件で知り合った高取に好意を抱くが、灯子と高取がお互いに好意を抱いているのではないかと思い、言い出せずにいる。第7話終盤で灯子の超能力の暴走によって頭部を強打し、その影響によって視力を失ってしまう。第8話で高取が、最終話で灯子が命を落とした事によりショックを受けるが、灯子の死と引き換えに魔術鏡が元に戻った事を確認すると、高取や灯子を生き返らせるのではなく、全ての発端となった事故が起きた時間である7月13日午後8時に時間を巻き戻す魔術を行う事を決意する。灯子の魂の協力により時間を巻き戻す魔術に成功した際、無事視力を取り戻した。
今井灯子:天久美奈子
能力:サイコキネシス皇林学院大学3年生。子供の頃、超能力少女としてテレビで騒がれたが、不仲の親への反発から力はウソだと言いふらして大騒ぎとなった過去を持つ。その為に人間不信となり極端に人との関わりを嫌い泉たちとの関わりも当初は避けていた。ダンスクラブでダンサーのアルバイトをしている。泉たちが「儀式」を行うきっかけとなった事件の現場に偶然居合わせ、彼女たちと知り合った。8月15日生まれで誕生星座はしし座。しし座=獅子宮は火の宮であり、生まれつき強い念動力(サイコキネシス)を持っている。念動力は目を閉じて念じることで発動するが、魔術の成功後は自分の意思で制御することができなくなり、泉たちが危機に陥った時にのみ何らかの形で発動するようになる。最後の災いであるアポロンを退けるために自ら命を絶つが、泉たちが時間を巻き戻し「九つの災い」の発生を阻止したことで死を回避する。また、泉たちが時間を巻き戻した際に彼女の魂が儀式に協力し一緒に過去へ飛ぶ様子が描かれており、そのため高取たちと異なり泉たちと共に過ごした記憶を保っていた。
児島陸:宮内玲奈
能力:サイコメトリー皇林学院大学3年生で、壇原教授のゼミを受講。「学生街の喫茶店」という名の喫茶店でアルバイトをしている。実は親が医者(陸曰く「都内で36軒の病院を経営している」らしい)で広い豪邸も所有しているお嬢様なのだが、性格はボーイッシュな見た目同様に男勝りで、言葉遣いも荒っぽい。第5話で叔母の勧めで風間とお見合いをした際、趣味は喧嘩と答えており、その後お見合いが破談になった怒りから、家に侵入した不審者を追いかけて殴り倒し、とどめに腹に強烈な蹴りを入れて気絶させている。5月5日生まれで誕生星座はおうし座。おうし座=金牛宮は地の宮であり、魔術の成功により、全ての事象が大地に還るように触れたものの過去を視る力(サイコメトリー)を得る。当初は、凪と共に自分達を呪いに巻き込んだ泉を恨んだり、一匹狼的な灯子に懐疑的であったが、4人で呪いに立ち向かう中で成長する。
香沢凪:松田律子
能力:プレグラフィー皇林学院大学3年生で、壇原教授のゼミを受講。カメラマン志望で、羽鳥のカメラスタジオでアルバイトをしている。他人の言動を血液型毎の特徴で指摘する癖がある。2月3日生まれで誕生星座はみずがめ座。みずがめ座=宝瓶宮は風の宮であり、魔術の成功によって、一眼レフやポラロイドカメラで写真を撮ることで、大地を吹く風のように未来の光景を写し撮る力(プレグラフィー)を得る。当初は一匹狼的な発言をする灯子に懐疑的だったり、マインドリーディングで自分の心を読んだ泉に反発し家を出たりと、直情的な面もあるが、4人で呪いに立ち向かう中で成長する。
高取佑一郎:袴田吉彦
警視庁捜査一課刑事。口が悪く組織の中でもはぐれものだが、先輩である滑子の臆病さに文句を言いつつもフォローしたり、辛い過去を背負った灯子を何かと案じるなど思いやりを持ち合わせている。オカルトの類は信じない根っからの体育会系[3] で、鈍感ではないが女心に注意を払わない性格もあって事件現場で遭遇する泉たちと衝突を繰り返すが、やがて泉に心を惹かれていく。泉たちが関わる一連の事件を追ううち、彼女たちに降りかかる「九つの災い」の秘密を偶然知ることとなり、彼女たちを命がけで守ろうと奮戦する。8話にて、灯子の超能力の暴走によって拳銃を弾き飛ばされ、アレスに撃たれ致命傷を負う。それでも泉たちを守り通し、最後に心の声を通して泉に好意を告げ、息を引き取った[4]。災いが全て終わった後、泉たちが時間を巻き戻したことで、泉たちと過ごした記憶を失った代わりに死を回避する。その後、聞き込み中に泉と再会を果たす。
滑子吉武:田口浩正
警視庁捜査一課刑事で、高取の先輩。口うるさく高取に威張ったりすることが多いが、無茶をしがちな高取の理解者でもある。刑事のくせに臆病な一面があり、拳銃を一度も撃った事がない。また、大事な場面になると緊張のあまり腹を下す癖がある。高取の死をきっかけに臆病さと拳銃に対する恐怖心を克服し、アレスを打ち倒す。しかし、泉たちが時間を巻き戻し「九つの災い」の発生を回避したことで彼も元の臆病に戻ってしまったため、陸や凪には少し残念がられていた。
門松明美:あいはら友子
警視庁捜査一課長。初動捜査の際には必ず現場に現れ、何かと高取をこき使う。
檀原栄治:内藤剛志
皇林学院大学教授で、専門は民俗学。最近は特に魔術の研究に没頭しているが、研究熱心が高じて妻は家出中。泉たちが「儀式」に使った魔術鏡は元々彼が持ち込んだものだったこともあり、教え子である泉たちを呪いから守るため奮闘する。家出中の妻を未だに愛しており、ひなが会う時にはやたらと焼きもちを焼くこともあるが、娘のひなの事は妻以上に溺愛しており、ひなからは少々煙たがられている。最終話で泉達が時間を巻き戻す魔術を行う際、これまでの災いにまつわる顛末をまとめたレポートを、過去の自分に渡すよう泉に託す。未来の自分からのレポートを受け取った過去の檀原は、時間を巻き戻す魔術をやろうとひなに持ち掛けるが、ひなにコーヒーをこぼすよう仕向けられた際、コーヒーカップを魔術鏡の上に落として割ってしまい、二度と魔術は出来なくなってしまう[5]。
檀原ひな:加藤あい
壇原栄治の一人娘。母親が出て行ってしまったため現在は父親と二人暮らし。魔術の研究に熱中する父親には呆れており、コーヒーをこぼすよう仕向けたりしていいように扱っている。知識は敵わないものの、頭の回転に関しては父親より上で、呪いに立ち向かう泉たちをサポートする。
甲谷俊夫:永井正人
陸のアルバイト先である「学生街の喫茶店」の店長代理だが、陸には頭が上がらない。店に来る高取や滑子とは仲が良い。
ゲスト
第1話
井坂:[土星](クロノス):阿部サダヲ(最終話にも登場)
泉たちに降りかかった最初の「九つの災い」。連続殺人犯として警察に追われており、灯子が呼び止めたタクシーに乗り込み灯子を人質に取り逃走し、その際に事故を起こして逮捕された。しかし、警察の事情聴取中、呪いによりクロノスへと覚醒し脱走する。その後皇林学院大学に潜入し、泉の代わりに掃除をしていた令子を殴り殺す。「クロノスは岩を飲み込んだ」というギリシャ神話に倣い、令子の口に石を入れ、占星術の土星のマークを残す。その後も執拗に泉たちを付け狙い、泉の首を絞めて殺そうとするが、灯子の超能力により吹き飛ばされ天井から吊るされていた塗装用の養生シートに衝突し、シートが全身に絡まって窒息死した。ノベライズ版では、吹き飛ばされた際に薬品棚の下敷きになり、そこから落ちてきた劇薬の瓶が顔に直撃したことで死亡した。最終話では、第1話と同様に灯子が呼び止めたタクシーに乗り込み逃走するが、灯子の超能力によりタクシーが事故を起こす事なく止まったため、車外に出て拳銃を構えるも、灯子の超能力で拳銃を弾き飛ばされ、拾おうとした際に棚から落ちてきた薬品を顔に浴び、苦しんでいる所を逮捕された。
大田川令子:青山知可子(最終話にも登場)
皇林学院大学職員で、29歳。壇原研究室に勤務している。研究室の掃除当番を泉と交代したため、井坂に殺害されロッカーに入れられる。最終話では、時間を巻き戻した泉たちが「九つの災い」の発生を回避したことで、井坂に殺害されることなく生き残ることとなる。