スウィング (Swing jazz performance style, Swing music) は、ポピュラー音楽のリズムの一つである。ふたつの連続した音符のうち、初めの音符の長さを長めにとり、ふたつめの音符を短くするなどの特徴がある。ジャズ、スウィング・ジャズ、ブルース、ウエスタン・スウィング、ニュー・ジャック・スウィングなどの音楽で用いられる。後にバウンス (bounce) とも呼ばれた。 対義語はストレートノート (straight note)、イーブン (even) など。ジャズにおいて「スウィングする」という語は、うねるような強いグルーヴ感を持った演奏に対する形容としても用いられる。 ルイ・アームストロング[1]は、ビング・クロスビーの番組に出演した際、スウィングとは何かを問われ「それは我々黒人の間では”シンコペーション”のことだった。当初ラグタイムと呼ばれ、次にブルース、その次にはジャズと呼ばれ、今はスウィングと呼ばれている」と笑い飛ばした[2]。 「ダンス」において、スウィングは揺らぎを保った4分の4拍子の楽曲を指す。記譜は、単純拍子で書かれ冒頭にスウィングを指示する標語を記す書法もあれば、複合拍子で書かれリズムを正確に記す方法もある。楽譜上では、シャッフルという用語を用いて解説する場合もある。 根本的なスウィングのリズムは、最初の音符と真ん中の音符をタイでつなげた3連符からつくられる[3]。このリズムはブルースやロカビリーを含む多くのジャンルの音楽において用いられる[3]。 多くのジャズ(特にスウィング・ジャズの時代以降)では、ふたつの連続した8分音符を等間隔に演奏せず、ふたつめよりひとつめをより長く演奏する。ひとつめの音符は、しばしばふたつめの2倍の長さ(つまり4分3連符+8分3連符)と考えてられているが、実際にそのように発音されることは少ない[4]。 実際は1:1から3:1の間のさまざまな比で演奏されている。スウィング・ジャズやブルースのスコアにスウィングのリズムが見られる。 90年代にはハウス・ミュージックで、スウィング感を持った楽曲も制作された。
概要
詳細
近似値を取ると、おおむね次のようになる。
1:1 = 8分音符+8分音符。シャッフルしない普通の2連符。
3:2 = 付点8分5連符+8分5連符。軽いスウィング。
2:1 = 4分3連符+8分3連符。ミディアム・スウィング、シャッフル。
3:1 = 付点8分音符+16分音符。強いスウィング。
主な楽曲
シング・シング・シング、ベニー・グッドマン
イン・ザ・ムード、グレン・ミラー
ナイト・イン・ニューヨーク、エルボー・ボーンズ&ザ・ラケッティアーズ
ザ・カーリー・シャッフル、ザ・ジャンピン・ザ・サドル・バンド
アイ・ウォント・ハー、キース・スウェット
グルーブ・ミー、ガイ
スウィング・ザ・ムード、ジャイブ・バニー&マスター・ミキサーズ
主な音楽ジャンル
ラグタイム
スウィング・ジャズ
ウェスタン・スウィング
ブルース
ジャンプ・ブルース
ロカビリー
R&B
ソウル・ミュージック
ファンク
ファンク・ブルース
ニュー・ジャック・スウィング
ネオ・ロカビリー
脚注[脚注の使い方]^ 9シングズ・アバウト・ルイ
^ cite book|Scott Joplin and the Age of Ragtime|page 172
^ a b Schroedl, Scott (2001). Play Drums Today!, p.36. Hal Leonard. ISBN 0-634-02185-0.
^ “ ⇒Jazz Drummers' Swing Ratio in Relation to Tempo”. Acoustical Society of America. 2008年7月22日閲覧。
文献
⇒グルーヴ感についての資料(論文)等(大阪大学大学院人間科学研究科招聘研究員・河瀬諭)
関連項目
スウィング・ジャズ
ビバップ
イネガル奏法 - 17世紀にフランスの音楽で用いられた同様のリズム様式
ピョンコ節 - 日本民謡・童謡における類似リズムの俗称。例「浦島太郎」など。
モード・ジャズ
クール・ジャズ
表
話