スイス・フラン
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スイス・フラン
Schweizer Franken(ドイツ語)
franc suisse(フランス語)
franco svizzero(イタリア語)
franc svizzer(ロマンシュ語)


スイス・フランの紙幣スイス・フランの硬貨(英語版、フランス語版)

ISO 4217
コード
CHF
中央銀行スイス国立銀行
 ウェブサイト ⇒www.snb.ch
公式
使用国・地域 スイス
リヒテンシュタイン
非公式使用
国・地域 カンピョーネ・ディターリア(飛地)
ビュージンゲン(飛地)
インフレ率0.4%(スイスのみ)
 情報源Bundesamt fur Statistik(スイス連邦統計局)
,2019年
 指数CPI
補助単位
 1/100ラッペン(ドイツ語)
サンチーム(フランス語)
チェンテージモ(イタリア語)
ラップ(ロマンシュ語)
通貨記号CHF、Fr.(古式: SFr.)
複数形フランケン(ドイツ語)
フラン(フランス語)
フランキ(イタリア語)
フランクス(ロマンシュ語)
ラッペン(ドイツ語)
サンチーム(フランス語)
チェンテージモ(イタリア語)
ラップ(ロマンシュ語)ラッペン(ドイツ語)
サンチーム(フランス語)
チェンテージミ(イタリア語)
ラップス(ロマンシュ語)
硬貨
 広く流通5、10、20ラッペン、1/2、1、2、5フラン
 流通は稀1ラッペン(2007年1月1日に廃止)
紙幣10、20、50、100、200、1000フラン
紙幣製造オレル・フューズリ
硬貨鋳造スイス連邦造幣局
 ウェブサイト ⇒www.swissmint.ch

スイス・フラン(ドイツ語: Schweizer Franken(シュヴァイツァー・フランケン)、フランス語: franc suisse(フラン・スュイス)、イタリア語: franco svizzero(フランコ・ズヴィッツェロ)、ロマンシュ語: franc svizzer(フランク・スヴィッツェル))は、スイスリヒテンシュタイン通貨。加えて、イタリアの飛地カンピョーネ・ディターリアの通貨、ドイツの飛地ビュージンゲンの非公式な通貨である。

通貨記号はFr.、SFr.、CHF(ラテン語国名の Confoederatio Helvetica Franc の頭文字)。ISO 4217の通貨コードはCHFで表す。補助単位はそれぞれの言語でラッペンドイツ語: Rappen, Rp.)、サンチームフランス語: centime, c.)、チェンテージモイタリア語: centesimo, ct.)、ラップ(ロマンシュ語: rap, rp.)と呼ばれ、1フランの100分の1に値する。対円レートは固定相場制の時が89→83円、変動相場制に移行してからは58円 - 154円の間で推移している。
概要

スイス・フランは従来より、国際金融市場において、イギリス・ポンドドイツ・マルクフランス・フランと並ぶ重要な通貨であった。欧州連合統一通貨ユーロの誕生後は、ユーロ圏に浮かぶ孤島となってしまってもなお、国際社会における永世中立国スイスの地位により、「地金)よりも堅い」といわれるように、世界で最も安定した国際通貨として知られており、その重要性はいささかも変わっていない。

戦争などの有事や金融危機などの際には、日本円などと共に「安全資産」「避難貨」とも呼ばれ、フラン相場が上昇する[1]。外国為替市場における取引量は、米ドルユーロ日本円英ポンドに次ぐ取引規模を有し[2]、また国際決済通貨のひとつであるため、自国の通貨が不安定な国家では、世界との貿易に、米ドルに代わってスイス・フランが使われることも多い。
歴史最初の1フラン銀貨 1851年銘

1848年のスイス連邦成立時、各カントンでばらばらであった通貨を統合することになり、1850年に正式にスイス・フランが制定された。当時のフランス・フランに倣って、品位.900重量5グラム(純含有量は4.5グラム)の1フラン銀貨をもって基準通貨とする実質的な銀本位制であった。最初に鋳造されたフラン硬貨は写真のデザインのもので、現在の硬貨とは違う図案であった。1/2・1・2・5フラン銀貨がパリ造幣局でフランス・フランと同じ仕様で鋳造された(パリ造幣局のAのミントマークが裏面下に刻印されている)。スイスは、その後1865年ラテン通貨同盟に参加し、更に1876年にはフランスに続き金本位制に移行した。

この通貨同盟の加盟国ベルギーは、全ての銀貨の品位を引き下げ補助貨幣にすることを提案したが、フランスの猛烈な反対に遭い、5フラン銀貨を本位貨幣として残すことになった。つまり実質的には、金銀複本位制となった。この決定を受け、スイスも新しいデザインの硬貨を鋳造した。1874年から2フラン銀貨、1875年から1/2フランと1フラン銀貨が鋳造され発行されたのである。この銀貨は品位を.835に落とした補助貨幣であり、そのデザインは現在に至るまで変更されていない。なお、5フラン銀貨は品位.900のまま1928年まで鋳造されていた。

リヒテンシュタインでは、過去においてはオーストリアと経済的繋がりを持っていたため、通貨もクローネン基準であったが、第一次世界大戦以後はスイスとの関係が強まり、通貨もフラン基準となった。1924年までは独自の流通用の銀貨が発行されていたものの、現在はスイスの硬貨と紙幣がそのまま流通し、独自の通貨は記念硬貨など、収集家向けの硬貨のみを発行するに留まっている。
スイスフラン・ショック

2015年1月15日スイス国立銀行は2011年9月から、1ユーロ=1.2スイスフランに設定していた対ユーロ上限を撤廃し、為替介入を廃止することを突然発表した[3]。これにより同日には一時1ユーロ=0.8517フランの過去最高値を付け、ユーロに対して41%の上昇となった[4]

このスイスフラン暴騰に連鎖して、世界の株式市場の下落や外国為替証拠金取引の混乱、アルパリUK等の超大手両替商の倒産などの混乱が発生した[5]。フラン/円の場合で例えると、わずか数分の間に約53円(5300pips)の上昇から約30円(3000pips)の下落となり、その後数時間は円単位(100pips)で相場が乱高下した。
硬貨1フラン硬貨 1880年銘(銀貨)5フラン硬貨(白銅貨)
ウィリアム・テルと言われているが実態は不明。

スイス・フランの硬貨(英語版、フランス語版)

スイスの現行硬貨は、5・10・20ラッペン(サンチーム)、1/2・1・2・5フランの7種類。

かつて発行されていた硬貨として、1ラッペン貨と2ラッペン銅貨がある。

1ラッペン銅貨は発行末期にはセット販売用に製造されていたが、2007年1月1日に市場での流通が停止された。2026年までスイス国立銀行で5ラッペン以上の現行通貨との交換のみ可能となっている。

2ラッペン銅貨は1974年で製造が打ち切られ、その後1978年に市場での流通が停止され、最終的には1997年に交換も停止されて完全に失効した。

スイスの硬貨はこれまで様々な材質で製造されてきており、これらが長期に渡って流通している。しかし、近年になって自動販売機の普及、銀行のATMでの硬貨の利用の増加などにより支障をきたすようになった。現在の硬貨は5ラッペンの黄銅貨を除き全て白銅貨である。かつてフラン硬貨は.835品位の銀貨であったが、1971年以降回収が行われ、現在は市中で銀貨を見かけることはない。また、5・10・20ラッペン硬貨のうち、純ニッケル素材の硬貨も、2004年に流通停止になっている。このほか5フラン硬貨も周囲のギザに相当する部分に刻まれた文字がレリーフ状になっているタイプと彫り込んだタイプが存在し、この彫り込んだタイプも自動販売機の誤作動を招くために流通停止となっている。20ラッペン硬貨と1/2フラン硬貨は現在では同じ白銅貨として製造され流通しているが、20ラッペン硬貨より1/2フラン硬貨の方が高額面にもかかわらずサイズが小さく重量も軽いのは、かつて1/2フラン硬貨が銀貨だった名残である。


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