ジョルジョ・アガンベン
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ジョルジョ・アガンベンフランスにて
生誕 (1942-04-22) 1942年4月22日(82歳)
時代現代哲学
地域大陸哲学
学派美学
研究分野美学政治哲学
主な概念ホモ・サケル
例外状態
異常なモノ
影響を受けた人物

アリストテレスパウロトマス・アクィナスパラケルススブルーノマルクスニーチェヴァールブルククラーゲスバタイユシュミットウィトゲンシュタインハイデッガーコメレルベンヤミンバンヴェニストアーレントレヴィナスヴェイユイリイチギー・ドゥボールレヴィ=ストロースドゥルーズフーコーデリダナンシー

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ジョルジョ・アガンベン(Giorgio Agamben、1942年4月22日 - )は、イタリア哲学者。初め美学者として活動を始め、近年は政治哲学に集中している。ホモ・サケル、ゾーエ、ビオスなどの概念で知られる。

パリ国際哲学コレージュマチェラータ大学、ヴェローナ大学、ヴェネツィア建築大学などで講じた。イタリアの大学からは退官している。
経歴

ローマ・サピエンツァ大学卒業。卒業論文はシモーヌ・ヴェイユの政治思想について。

1966年と1968年に、ハイデッガー南フランス・ル・トール (Le Thor) ゼミナールを受講する(講座はヘラクレイトスヘーゲルについて)。

1970年代には、言語学文献学詩学、中世思想を研究し、自身の関心を洗練させていった。

1974年より1年間、ヴァールブルク研究所研究員。後に『スタンツェ』に纏められる研究を進めた。

作家アルベルト・モラヴィアの妻であったエルザ・モランテと親しい。

パゾリーニの映画『奇跡の丘』(原題は「マタイによる福音書」の意)でピリポ役を演じた。イタリア語訳ベンヤミン全集を監修。
思想
言語と政治

マルティン・ハイデッガーヴァルター・ベンヤミンミシェル・フーコー、イタリアのネオマルクス主義の影響下に思想を形成。美学と政治を自在に往還する視点から、「言葉を話す動物」としての人間について思索をおこなっている。インタヴューにおいてアガンベンは自身を「言語とグローバルな規模での社会紛争に関心を持った公共的な思想家」であるとしているように、基本的には言語論(芸術論を含む)と政治哲学の両輪で思索をすすめている。

フーコー生政治カール・シュミット例外状態をもとに、ローマ時代のホモ・サケルを現代の政治と重ね合わせて読み解く『ホモ・サケル』によって注目を浴びた。

アガンベンはアーレントの理論における「ゾーエ」(zoe、剥き出しの生、生物的な生)と「ビオス」(bios、社会的な生、政治的な生、生活形式における諸活動)、そして、ビオス・ポリティコス(偉大な行動と高貴な言葉を生きること)についての思考を批判的に継承している。

また、フーコーが「近代が生政治を生み出した」としたのに対し、アガンベンは政治は始めから生政治であったとする。アガンベンは、ローマ時代の特異な囚人「ホモ・サケル」とは、ビオスを奪われ、ゾーエしか持たない存在であるとし、そのような生を、ベンヤミンを受けて剥き出しの生と呼び、生政治はこの「剥き出しの生」を標的にしていると説いている。

しかし、このようなアガンベンのフーコー読解には批判がある。2006年に出版された日本の雑誌『現代思想』のアガンベン特集号では、寄稿された論文の多くがアガンベンを批判する論旨になっており、人々を驚かせた。
潜在性としての実存

『来るべき共同体』(1990年)でアガンベンはこう書いている。
「…もし人類が、このあるいはあの実体、このあるいはあの運命でしかないとすれば、いかなる倫理的経験も不可能である。このことはしかしながら、人間が単に虚無に委ねられるべきで、それゆえ運命を受け入れるのか受け入れないのか(
ニヒリズム決定論はこの点において一致する)を選ぶのは自由であるというようなことを意味しない。このことが導くことは、人間がなんであり、なんであるべきなのかという事であり、しかしこれは本質でも、厳密な意味でのモノでもなく、単に可能性あるいは潜在性としての実存=エグジスタンスに関する単純な事実なのだ。」

ここでアガンベンは「運命」という概念によって生を必然的に規定しようとする決定論(ニヒリズムも決定論のひとつとされる)を斥け、人間の経験や自由を可能にする条件として「潜在性」をとらえている。
生命の形

アガンベンは「生命の形は分離できないものであり、プライバシーとも関連する」と語っている[1]
例外状態「例外状態」も参照

また、アガンベンは『来るべき共同体』とは、「生」(ビオス)を「剥き出しの生」(ゾーエ)とみなすような、例外状態へと集約されるような君主制主権:sovereignty)に対抗するものであるとしている。アガンベンはまず米国の刑法について論じている。

アフガン戦争、イラク戦争後の米軍に拘束されたイスラム教徒の外国人捕虜について、基本的人権を認められず、自分が人間であることをすら忘れるような虐待、拷問が行われたことについてアガンベンは論じている。

アガンベンは例外状態を、例外状態においてゾーエ(生物的生)とビオス(社会的生)の区別はそのような権力によってもたらされる、とした。
著作

Jarry o la divinita del riso, in Alfred Jarry, Il supermaschio, trad. G. Agamben, Milano: Bompiani, 1967, pp. 147?57 (poi Milano: SE, 1999)

Andre Breton e Paul Eluard, L'immacolata concezione, trad. G. Agamben, Milano: Forum, 1968 (poi Milano: ES, 1997).

L'uomo senza contenuto, Milano: Rizzoli
, 1970 (poi ⇒Macerata: Quodlibet, 1994) (contiene: ≪La cosa piu inquietante≫, ≪Frenhofer e il suo doppio≫, ≪L'uomo di gusto e la dialettica della lacerazione≫, ≪La camera delle meraviglie≫, ≪Les jugements sur la poesie ont plus de valeur que la poesie≫, ≪Un nulla che annienta se stesso≫, ≪La privazione e come un volto≫, ≪Poiesis e praxis≫, ≪La struttura originale dell'opera d'arte≫, ≪L'angelo malinconico≫)岡田温司、岡部宗吉、多賀健太郎訳『中味のない人間』人文書院、2002年

Jose Bergamin, in Jose Bergamin, Decadenza dell'analfabetismo, trad. Lucio D'Arcangelo, Milano: Rusconi, 1972, pp. 7?29 (n.ed. Milano: Bompiani, 2000)

La notte oscura di Juan de la Cruz, in Juan de la Cruz, Poesie, trad. G. Agamben, Torino: Einaudi, 1974, pp. V-XIII

Stanze. La parola e il fantasma nella cultura occidentale, Torino: Einaudi, 1977 (ristampato Einaudi, 2006) (contiene: ≪Prefazione≫, ≪I fantasmi di Eros≫, ≪Nel mondo di Odradek. L'opera d'arte di fronte alla merce≫, ≪La parola e il fantasma. La teoria del fantasma nella poesia d'amore del '200≫, ≪L'immagine perversa. La semiologia dal punto di vista della Sfinge≫)岡田温司訳『スタンツェ――西洋文化における言葉とイメージ』ありな書房、1998年/ちくま学芸文庫、2008年

Marcel Griaule, Dio d'acqua, trad. G. Agamben, Milano: Bompiani, 1978

Infanzia e storia. Distruzione dell'esperienza e origine della storia, Torino: Einaudi 1979 (ristampato Einaudi, 2001) (contiene: ≪Infanzia e storia. Saggio sulla distruzione dell'esperienza≫, ≪Il paese dei balocchi. Riflessioni sulla storia e sul gioco≫, ≪Tempo e storia. Critica dell'istante e del continuo≫, ≪Il principe e il ranocchio. Il problema del metodo in Adorno e in Benjamin≫, ≪Fiaba e storia. Considerazioni sul presepe≫, ≪Programma per una rivista≫)上村忠男訳『幼児期と歴史――経験の破壊と歴史の起源』岩波書店、2007年


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