ジョブネル・モイーズ暗殺事件
ジョブネル・モイーズ(2019年11月21日)
場所 ハイチ、ポルトープランス近郊、ペシオンヴィル
日付2021年7月7日
午前1時 (東部標準時)
標的ジョブネル・モイーズ
攻撃手段銃撃
死亡者4(大統領と実行犯3人)
負傷者1(大統領夫人)
犯人何者かに雇われた傭兵集団
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ジョブネル・モイーズ暗殺事件(ジョブネル・モイーズあんさつじけん)とは、ハイチ共和国で2021年7月7日未明に発生した暗殺事件。当時の共和国大統領だったジョブネル・モイーズが首都ポルトープランス近郊のペシオンヴィルにある自宅を武装集団に襲撃され、銃撃を受け死亡した[1]。 第39代大統領ミシェル・マテリの任期が2016年2月7日で終了することに伴い、後継の大統領を決める選挙が2015年10月25日に執行され、32.81%の票を獲得したジョブネル・モイーズと25.27%のジュード・セレスタン
事件の背景
後継が決まらぬまま2月7日に任期満了を迎えたマテリは予定通り大統領を退任し、首相のエヴァンス・ポール(英語版)が大統領代行に就任するという事態となった[4]。2月14日には上院議長のジョスレルム・プリベール(英語版)が暫定大統領となり、120日間限定のはずだったが国内の混乱が収まらず、4月24日予定の大統領選挙は延期された[4]。11月20日になってようやくやり直しの大統領選挙が執行され、モイーズが得票率55.67%で当選[3]。この選挙に大きな問題は指摘されず、2017年1月4日に結果が確定[5]。2月7日に就任した。2018年に議会総選挙が実施されるはずであったが混乱のため延期され、大統領令で政策を実行した[6]。
ハイチの大統領任期は5年のためモイーズは自らの任期は2022年2月7日までとしたが、野党勢力はマテリ前大統領が退任した2016年2月を任期の起点とするよう求め、2021年2月7日に退陣するよう抗議。折しもモイーズが約1年にわたって議会の承認を経ずに大統領権限を行使してきたことも批判の対象となった。野党の主張する任期切れの2月7日に政府はモイーズの殺害計画を含むクーデター計画を事前に阻止したと発表し、最高裁判事や国家警察幹部ら少なくとも23人を逮捕したことを公表した[7]。
任期の問題の他にも、政権内の汚職が絶えず、またギャングによる犯罪が野放しになっている現状に抗議するデモが度々発生していたほか[7]、身代金目的の誘拐事件が多発するなど国内の武装集団の影響力が大きくなりつつあり[6]、事件の数カ月前より首都ポルトープランスでは武装集団による抗争が継続した[8]。暗殺事件の2日前にはモイーズが神経外科医のアリエル・アンリを新首相に指名した[9]。 2021年7月7日午前1時頃、ポルトープランス近郊にあるモイーズの私邸に武装組織が侵入し、モイーズは射殺された。ハイチの公用語はフランス語であるが、武装集団は英語やスペイン語を話していたとされている[10]。事件発生はクロード・ジョセフ暫定首相が公表し、「残忍で野蛮な行為を非難する」と声明を発表したほか、国家の継続のためあらゆる手段が取られたとも述べ、冷静を保つよう呼びかけた[8][11]。ジョセフ暫定首相は閣議後に2週間の非常事態宣言を敷くことを宣言した[12]。 自宅襲撃時にはマルティーヌ・モイーズ
暗殺の推移