ジョゼと虎と魚たち
著者田辺聖子
発行日1985年3月27日
発行元角川書店
ジャンル短編小説集
国 日本
言語日本語
形態四六判
ページ数228
公式サイトwww.kadokawa.co.jp
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「ジョゼと虎と魚たち」(ジョゼととらとさかなたち)は、田辺聖子の短編恋愛小説、及び本作を表題作とする短編集。『月刊カドカワ』1984年6月号に発表、角川書店より1985年3月27日刊行の同名短編集に収録された。足が悪いためにほとんど外出をしたことがないジョゼと、大学生・恒夫との純愛を描くラブストーリー。
2003年に実写映画化され、2020年には韓国で実写映画がリメイクされた。また、同じ2020年には原作小説から新しく脚色した劇場アニメ版が公開された。劇場アニメ版は同タイトルでコミカライズ、および再ノベライズ化されているメディアミックス作品。 下肢麻痺
あらすじ
引っ越したアパートを探し当てるとやつれたジョゼが杖をついて出てくる。ジョゼは引っ越しのため家財道具を売り払い、二階に住む「お乳房(ちち)さわらしてくれたら何でも用したる」という中年男性に悩まされていた。心配した恒夫が「痩せて、しなびとる」と口にすると、ジョゼは激昂し出ていけと叫ぶが、恒夫が帰ろうとすると引き留め、すがりつく。その夜、二人は結ばれる。
翌日、恒夫は車を借りて、車椅子を積み込み、ジョゼとドライブする。ジョゼは動物園に行きたいとせがみ、車椅子で虎の檻の前に行く。虎の咆哮に怯えるジョゼは恒夫にすがりつき「一ばん怖いものを見たかったんや。好きな男の人が出来たときに」という。
ジョゼと恒夫は「新婚旅行」という名目で九州の海底水族館に行く。ジョゼはホテルの対応に悪態をつきながら、水族館の海底トンネルを堪能する。夜中に目を覚ましたジョゼは、自分も恒夫も魚になった、死んだんやな、と思う。それから恒夫はジョゼと籍も入れず親にも知らせない結婚生活を続けている。ジョゼはゆっくり料理を作り、洗濯をして、一年に一遍二人旅に出る。ジョゼは「アタイたちは死んだモンになってる」と思う。ジョゼにとって完全な幸福は死と同義だった。 作品の舞台は明示されていないが、登場人物は大阪弁を話す。 『ジョゼと虎と魚たち』と題し、表題作を含む短編9篇を収録し角川書店より1985年3月27日に刊行された。 ジョゼと虎と魚たち
登場人物
ジョゼ
本作の主人公。本名・山村クミ子。色白で市松人形のような整った顔の女性。恒夫より二歳年上だが、小柄で幼く見える。一人称は「アタイ」。足が悪く幼い頃から車椅子生活を送る。父親が再婚し、一時期は父親と再婚相手の女性と連れ子と四人で暮らしていたが、生理がはじまり車椅子が必要な彼女の存在は鬱陶しがられ、施設に入れられる。17歳で祖母に引き取られ、以来高齢の祖母と二人暮らし。施設や障害者団体とのつきあいはなく、孤立した生活を送っている。高飛車な性格できつい物言いをする。愛読書フランソワーズ・サガンの小説の登場人物の名前からジョゼと名乗る。
恒夫(つねお)
貧乏な大学生。坂道から落とされたジョゼを助けたのがきっかけで、ちょくちょくジョゼと祖母の暮らす家を行き来するようになる。ジョゼから「管理人」と呼ばれ、こき使われる。
祖母
施設に入れられ、引き取り手のなかったジョゼの面倒をみる。優しいが、人前にジョゼを出すことを嫌がる。生活保護を受けて暮らしている。
書誌情報
短編集
ジョゼと虎と魚たち(1985年3月27日、角川書店、ISBN 978-4-04-872409-8)
ジョゼと虎と魚たち(1987年1月、角川文庫、ISBN 978-4-04-131418-0)
収録作品
お茶が熱くてのめません
うすうす知ってた
恋の棺
それだけのこと
荷造りはもうすませて
いけどられて
ジョゼと虎と魚たち(初出:『月刊カドカワ』1984年6月号)
男たちはマフィンが嫌い
雪の降るまで
全集
田辺聖子全集 16 蝶花嬉遊図/王朝懶夢譚/短編3(2005年11月4日、集英社、ISBN 978-4-08-155016-6)
アンソロジー
バージンラブ(1989年11月、北宋社、ISBN 978-4-938620-05-9)
女性作家シリーズ 7 佐藤愛子 田辺聖子(1998年9月18日、角川書店、ISBN 978-4-04-574207-1)
わかれの船(宮本輝〈編〉、1998年10月、光文社、ISBN 978-4-334-92303-7)
わかれの船(宮本輝〈編〉、2001年9月、光文社文庫、ISBN 978-4-334-73200-4)
中学生のためのショートストーリーズ3 肥田美代子が選ぶラブストーリー集(肥田美代子〈選〉、2007年2月22日、学研プラス、ISBN 978-4-05-202628-7)
10ラブ・ストーリーズ(林真理子〈編〉、2011年11月4日、朝日文庫、ISBN 978-4-02-264634-7)
実写映画
監督犬童一心
脚本渡辺あや
製作久保田修
小川真司
出演者妻夫木聡
池脇千鶴
上野樹里
新井浩文
新屋英子
音楽くるり
主題歌くるり 『ハイウェイ』
撮影蔦井孝洋
編集上野聡一
配給アスミック・エース
公開 2003年12月13日
2004年10月29日
2005年9月30日
上映時間116分
製作国 日本
言語日本語
興行収入3.3億円[1]
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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