ジャルジンスキー等式(ジャルジンスキーとうしき、英: Jarzynski equality)とは、非平衡仕事[要曖昧さ回避]とヘルムホルツの自由エネルギーの間に成立する恒等式である。1997年にクリス・ジャルジンスキーによって発見され、熱力学第二法則を理解する上でも重要な鍵になるかもしれないと思われている。 任意の操作に対して系にされる仕事 W {\displaystyle W} と操作の間のヘルムホルツの自由エネルギー変化 Δ F {\displaystyle \Delta F} の間に以下で表される恒等式が存在する。 ⟨ e − β W ⟩ = e − β Δ F {\displaystyle \langle e^{-\beta W}\rangle =e^{-\beta \Delta F}} ただし ⟨ ⟩ {\displaystyle \langle \quad \rangle } はアンサンブル平均、 β = 1 / k T {\displaystyle \beta =1/kT} は初期の逆温度である。
ジャルジンスキー等式
特徴
この等式は操作速度に依存しない等式である。
この等式とイェンゼンの不等式から熱力学第二法則 ⟨ W ⟩ ≥ Δ F {\displaystyle \langle W\rangle \geq \Delta F} が導かれる。
参考文献
C. Jarzynski, Nonequilibrium equality for free energy differences, Phys. Rev. Lett. 78, 2690 (1997)
早川尚男『臨時別冊数理科学 SGCライブラリ 54 「非平衡統計力学」 2007年 03月号』サイエンス社、2007年。
関連項目
クルックスの揺動定理