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ジャイロ効果(ジャイロこうか)とは、回転している物体をある方向へ傾けようと力を加えると、その方向とは違う向きへ傾こうとする、という現象のこと[1]。
一般的には、物体が自転運動をすると(自転が高速なほど)姿勢を乱されにくくなる現象を指す。 学術上は、自転運動する物体(この効果に関連する場合「ジャイロ」と呼ばれる)について次の性質を指す。 一輪車および、自転車やオートバイなどの二輪車では走行時の安定に寄与し、ジャンプ中の空中での姿勢変化にも現れる。ヘリコプターのローター、丸鋸、刈払機などでもこの効果が顕著に現れる。転がるコインやヨーヨー、独楽などの挙動にも影響が見られる。 この性質は角運動量保存の法則(下式)の一環で説明される。(外力のモーメントが加わっていないかぎり)自転軸の方向が変わらないということは、例えば北極星に軸を向けて回転している物体は物体の移動や地球の運動の影響を受けず、常に天の北極を向いて回り続けるということである。 モーメントを加えずに回転物体を支えるには、重心を通り、互いに直交する3つ(自転軸を含む)の自由回転軸を与える必要がある。一般に、自転軸に加えて1つ以上の自由回転軸を持ち、振り回りが可能な機構をジャイロスコープという。 d L ( t ) d t = r × F {\displaystyle {d\mathbf {L} (t) \over {dt}}=\mathbf {r} \times \mathbf {F} } 自転する物体が存在する時、自転軸をひねるように物体を回転させると、反作用によって自転軸ともひねり軸とも異なる軸を周るように物体が回転するが、この反作用としての力のモーメント(トルク)をジャイロモーメントと呼ぶ。[2][3] 物体が角運動量 L {\displaystyle {\boldsymbol {L}}} で回転している時、その自転軸に垂直な角速度ベクトル Ω {\displaystyle {\boldsymbol {\Omega }}} でひねるように物体を回転させることを考える。 L {\displaystyle {\boldsymbol {L}}} は単位時間あたり θ = 。 Ω 。 {\displaystyle \theta =|{\boldsymbol {\Omega }}|} だけ回転する(と考える)。 θ → 0 {\displaystyle \theta \to 0} において L {\displaystyle {\boldsymbol {L}}} の差分距離は円弧 A = θ 。 L 。 {\displaystyle {A}=\theta |{\boldsymbol {L}}|} に近似できるため、その変化率は d L d t = θ 。 L 。 e → = 。 Ω 。 。 L 。 e → = Ω × L {\displaystyle {\frac {{\mathit {d}}{\boldsymbol {L}}}{{\mathit {d}}{\mathit {t}}}}=\theta |{\boldsymbol {L}}|{\vec {e}}=|{\boldsymbol {\Omega }}||{\boldsymbol {L}}|{\vec {e}}={\boldsymbol {\Omega }}\times {\boldsymbol {L}}} と書ける( e → {\displaystyle {\vec {e}}} は画面右向きの単位ベクトル)。 回転であるため変化率の向きは L {\displaystyle {\boldsymbol {L}}} に垂直であり、画面右向きになる。この変化率の向きに注目して欲しい。右向きの回転ベクトルということは画面が手前に倒れ込むような回転になる。このような回転は意図していないが、 L {\displaystyle {\boldsymbol {L}}} に Ω {\displaystyle {\boldsymbol {\Omega }}} のひねり回転を与えると、結果として L {\displaystyle {\boldsymbol {L}}} にこのような変化を与えることになってしまうのだ(質点の慣性と運動変化を注意深く観察すると、慣性に逆らって手前に回転させる様子がより理解できる)。ここでオイラーの運動方程式を当てはめてみると、 T a = d L d t = Ω × L {\displaystyle {\boldsymbol {T_{a}}}={\frac {{\mathit {d}}{\boldsymbol {L}}}{{\mathit {d}}{\mathit {t}}}}={\boldsymbol {\Omega }}\times {\boldsymbol {L}}} となる外力モーメント(トルク) T a {\displaystyle {\boldsymbol {T_{a}}}} を加えていることになる。 これこそがジャイロモーメントである。 T a {\displaystyle {\boldsymbol {T_{a}}}} の逆向きであるため、 T g = L × Ω {\displaystyle {\boldsymbol {T_{g}}}={\boldsymbol {L}}\times {\boldsymbol {\Omega }}} である。ジャイロ効果によって物体がどちらに回転するかはこの式を参照すれば良い。自転ベクトル L {\displaystyle {\boldsymbol {L}}} をひねりベクトル Ω {\displaystyle {\boldsymbol {\Omega }}} に重ねる方向に回転する(回転方向とベクトルの向きに注意)。 この通り外積であるため、ジャイロモーメント T g {\displaystyle {\boldsymbol {T_{g}}}} は自転軸 L {\displaystyle {\boldsymbol {L}}} およびひねり軸 Ω {\displaystyle {\boldsymbol {\Omega }}} それぞれと直交して物体を回転させるため、一見して不思議な動きに見える。 これまで Ω {\displaystyle {\boldsymbol {\Omega }}} と L {\displaystyle {\boldsymbol {L}}} の成す角度が直角の場合を考えたが、直角ではなく角度 α {\displaystyle \alpha } の場合は L {\displaystyle {\boldsymbol {L}}} は円を描かずに円錐を描き、変化率は s i n ( α ) {\displaystyle sin(\alpha )} 倍、つまり T g = 。 Ω 。 。 L 。
概要
外部からモーメントが加わっていないかぎり自転軸の方向を保つ性質
自転の角運動量が大きいほど姿勢を変えにくい性質
外部から自転軸を回すようにモーメントが加えられるとき、モーメント軸および自転軸の両方と直交する軸について振れ回り運動をする性質
回転軸保存性
ジャイロモーメント
発生原理ジャイロモーメントTgの発生
ここでは考えやすいように時刻 t = 0 {\displaystyle {t}=0} のとき L {\displaystyle {\boldsymbol {L}}} が画面上向き(上から見ると反時計回りに回転)、 Ω {\displaystyle {\boldsymbol {\Omega }}} が画面奥向き(画面上を時計回りに回転)とする。
このとき角運動量 L {\displaystyle {\boldsymbol {L}}} は素直に変化せず、反発力として T g = − T a {\displaystyle {\boldsymbol {T_{g}}}=-{\boldsymbol {T_{a}}}} となるジャイロモーメント T g {\displaystyle {\boldsymbol {T_{g}}}} が発生する。
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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