ジメチルトリプタミン
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ジメチルトリプタミン

IUPAC命名法による物質名
IUPAC名

2-(1H-indol-3-yl)-N,N-dimethylethanamine

臨床データ
法的規制

AU: Prohibited (S9)

CA: Schedule III

UK: 規制薬物 Lic

US: スケジュールI

投与経路経口MAOIと共に)、吸入、直腸(あるいは蒸気)、IMIV
識別
CAS番号
61-50-7
ATCコードnone
PubChemCID: 6089
IUPHAR/BPS141
ChemSpider5864
KEGGC08302
ChEMBLCHEMBL12420
化学的データ
化学式C12H16N2
分子量188.269 g/mol
SMILES

CN(C)CCc1c[nH]c2ccccc12

InChI

InChI=1S/C12H16N2/c1-14(2)8-7-10-9-13-12-6-4-3-5-11(10)12/h3-6,9,13H,7-8H2,1-2H3

Key:DMULVCHRPCFFGV-UHFFFAOYSA-N

物理的データ
密度1.099 g/ml g/cm3
融点40 - 59 °C (104 - 138 °F)
沸点160 °C (320 °F) @ 0.6 Torr[1] also reported as 80 - 135 °C @ 0.03 Torr[2]
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DMTの結晶。

ジメチルトリプタミン(DMT)あるいは、N,N-ジメチルトリプタミン(N,N-DMT、N,N-dimethyltryptamine)は、トリプタミン類の原型となるアルカロイド物質で、自然界に発生する幻覚剤である。熱帯地域や温帯地域の植物や一部のキノコ、ある種のヒキガエルほ乳類ヒト脳細胞血球、尿などに存在する。抽出または化学合成される。形状は室温では透明か、白、黄色がかった結晶。近い物質に、5-メトキシ-N,N-ジメチルトリプタミン (5-MeO-DMT) がある。DMTは向精神薬に関する条約のスケジュールI。

シグマ-1受容体(英語版)に作用する[3]。依存性や毒性があるとはみなされていない[4]。DMTは、植物では昆虫の忌避作用があるため合成されておりオレンジやレモンの果汁にも微量に含まれる[5]。基礎研究から生体における低酸素ストレス時に肺によって大量に生合成され脳を保護するとされており、そのため生死をさまよった際に報告される臨死体験との関連が考えられている[4][6]。紀元前1000年以前から南米で植物を粉末にして吸引されていたとされる。DMTは経口から摂取した場合、モノアミン酸化酵素によって分解されてしまうが、これを阻害する成分と組み合わせて南米で伝統的にアヤワスカとして用いられてきた。DMT単体の治験も進行している。
性質

塩基(アルカリ化反応)の状態で用いられるが、フマル酸塩など塩の状態(酸性化反応)ではより安定した物質である[7]。塩基では水に溶けず、塩では水に溶ける[7]。溶液中では分解が早いため、空気、光から保護された冷凍庫での保存が適する[7]
歴史ネコ科のすり鉢とネコ科と蛇の形をしたすり棒は、小さいため幻覚剤や顔料をすり潰したと考えられている。ペルー北部の神殿遺跡、紀元前900-500年のパコパンパ遺跡より。[8]DMTを含む植物をすり潰した[9]

古くからアマゾン熱帯雨林の中部と東部ではDMTや5-MeO-DMTを含む嗅ぎタバコアヤワスカと呼ばれる飲料を摂取する習慣がある[10]。紀元前1200年前のペルーでは筒状の骨が発掘されており、DMTを含む植物を吸引したと考えられている[9]。紀元前700年から1100年のティワナクから筒と吸入粉末が発見され、粉末の化学分析によってDMTと5-MEO-DMTブフォテニンが検出されている[9]モノアミン酸化酵素阻害薬 (MAOI) であるハルマリンを含む植物を一緒に煮込む飲料であるアヤワスカは、アマゾンのシャーマンの儀式にとってかかせないものとなっている。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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