ジッポー
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ジッポーライター#200 レギュラーブラッシュクロム

ジッポー(Zippo)は、アメリカ合衆国企業、ジッポー・マニュファクチャリング・カンパニー(英語版)、および同社が製造する金属製オイルライターの商標である。日本の正規輸入代理店はマルカイコーポレーション2011年12月末日までは伊藤商事も正規輸入代理店であったが、契約終了によりマルカイ一社のみとなった。
概要

長い歴史と世界的な普及率の高さからオイルライターの代名詞となっており、またコピー商品も大量に出まわっていることから、オイルライターの一般名称として認識されている。

高い耐久性・耐風性と永久修理保証がある。1932年の創業、1933年の第1号発売以来、基本構造にはほとんど変化がないが、外側のケースに様々な意匠を凝らすことで豊富なバリエーションが生じており、世界各国に収集家が存在する。
沿革

1932年 - ジョージ・グラント・ブレイズデル(en:George Grant Blaisdell、1895-1978)がジッポー・マニュファクチャリング・カンパニー(Zippo Manufacturing Company、「ジッポー製作所」の意)を設立

1933年 - 初期型のジッポーを販売(約1500個生産)

1935年 - ケンドール向け広告宣伝用ロゴ入りジッポーを製造これに潜在的市場を見出したブレイズデルによりノベルティ路線が決定される。

1936年 - ジッポーライターに関する最初の特許を取得

1937年 - 1937モデル生産開始

1941年 - 1941モデル生産開始

1960年 - 操業開始以来、通算1億個製造を達成

1988年9月24日 - 操業開始以来、通算2億個製造を達成

1996年4月15日 - 操業開始以来、通算3億個製造を達成

2003年9月3日 - 操業開始以来、通算4億個製造を達成 4億個目はアーマーと呼ばれるタイプ

2007年 - フリント点火式ターボライター「ジッポー・ブルー」(Zippo BLU)発売

2012年 - 「ジッポー・ブルー2」(Zippo BLU 2)発売

2015年12月31日 - 「ジッポー・ブルー」シリーズの販売終了[1]

同社の成立当初から企業のノベルティグッズとしての路線を開拓し積極的に商品提供をしてきたため、様々な企業名の入ったバリエーションも多数見られる。喫煙具としての性格から、タバコ関連のノベルティグッズとしてマルボロキャメルのロゴを入れた製品群や、燃料の石油製品繋がりでケンドールブリティッシュ・ペトロリアムのロゴの入ったものなどがある。

ジッポー社は最初のノベルティモデル以降に「ヴェスト・ポケット・コンタクト」(意訳「ポケットの中のセールスマン」)と題した企業向けパンフレットを作成。自社製品がユーザーにとって役に立つ(魅力的な)道具として携帯され、好んで利用されるだろうことを、その際に企業広告のついたものであれば使うたびにその企業を意識するであろうことを指摘した。1992年の時点では、約40%がこういった企業宣伝用の製品であるという。過去にはウォルト・ディズニー・プロダクションが提供していた例もあるという。後の1980年代に禁煙運動の高まりから廃止された。

なおジッポー社は、1980年代より短期間だが「コンテンポ」(Contempo)というガスライターのモデルを販売したこともある。また、2007年から「ジッポー・ブルー」(Zippo BLU)というターボライター[注 1]を販売していたが、ロリラード・タバコ・カンパニー(英語版)[注 2]がBLUの商標を買収したため2015年末で製造・販売を終了した[1]
起源

「ジッポー」の名称起源には諸説ある。

創設者ブレイズデルが、ジッポーと同じく同じ
ペンシルベニア州で発明された「ジッパー(チャック)」をもじって「ジッポー」と名づけたとする説。

ケースを開けて点火する際の擬音からの着想説。

等がある。しかし正確な起源は不明である。

ジッポー開発のきっかけは、ブレイスデルの友人のライターだったと言われる。この友人は有名な伊達男だったが、なぜか、作りのいかにも粗雑なオーストリア製オイルライターを使用し続けており、その使いにくさに悪戦苦闘していた。パーティーで同席した際にその様子を見て「もっと良い物を使ったら?」とブレイスデルが諫めたが、当人いわく「ライターなんか、火がつきゃいいんだよ!」。しかしブレイスデルは大幅な改良によって「もっと良い」ライターを開発した。このエピソードは、パッケージのケースにある「It works!」の文字に残されている。

ちなみにこの友人のライターは“CYKLON”なるオイルライターだったという記録が残っている。キャップ式の蓋を持つこのライターは、当時のライターとしては機能面で洗練され、構造的にも単純であるために機械的な故障も起きにくく、また風防形状から見て、かなり風のある場所でも使用できたと見られる。しかし回転ドラムの支柱が脆弱な体裁であり、使用材質や板厚から見て、強度面での難が推測される。またキャップ部分は使用時に引き抜いて取り外すため、ジッポーのように片手で使用することは困難である[2]
構造と特徴着火状態のジッポーライターインサイドユニット

インサイドユニットと呼ばれる部分と、それを収納するケースから成る。

その形状は現代に連なる製品では長い間変化していないため、これが愛好者筋の好む要素ともなっている。ただし、その初期においては1932年の最初期の製品から1934年のモデルで1/4インチ高さが低くなっているほか、1939年には現行の主要モデルに見るような蓋上部が丸くせり出したモデルが登場している。角型モデルとも呼ばれる発売以降1941年までのものは、製品が手作業で作られていたため個体差があったほか、1936年まではヒンジ部分は外付けとなっているため、このヒンジを中付けすると元々のインサイドユニットが納まらないという構造上の違いがある。フリントとフリントホイールとの摩擦による火花

インサイドユニットの内部に収められている綿球(コットンボール)にオイルを吸収させ、ウィック(芯)に毛細管現象によって吸い上げさせ揮発、気化させる。フリント(発火石)とフリントホイール(回転するやすりドラム)との摩擦から発せられる火花によって引火着火する。火はフタを閉めれば、酸欠によって即座に消える。インサイドユニットは基本的に1941年より後のレギュラーサイズのジッポーライターで共通化されている。つまりインサイドユニットは同じ機能を持つため、モデルや販売価格による着火性や動作など性能の差はない。なおレギュラー以外には、卓上型とスリム型があるが、卓上型では専用ユニットを使うモデルも過去の製品に見出される。

ケースは、インサイドユニットを収納するボトムケースとリッドと呼ばれるフタより構成され、ヒンジ(蝶番)で結合されている。リッドの内側には板が取り付けられている。この板とインサイドユニットに取り付けられたカムが接触することによりスムーズな開閉を実現すると共に、ジッポーライター独特の金属的な開閉音を響かせる。リッドを閉じた状態での気密性は、リッドとボトムケースの接触面によってのみ保たれ、コットン下部にフェルト蓋が設けられている以外にパッキン等のシール材は付属しない。リッドとボトムケースが接する箇所に変形や損傷があると、リッドが閉まっていてもオイルが揮発し続け、早期にオイル切れとなるおそれがある(ウィックは「1 Genuine Wick」、コットンボールとフェルトは「Cotton and Felt」の商品名で純正の補修部品が流通している)。

ケースの材質は真鍮が基本で、デザイン性、意匠性を高めるため表面にクロムメッキなどが施される。またケースの材質には真鍮以外に、スターリングシルバー、一部で「スタシル」と略称される)、(Copper)、チタン(Solid Titanium)等が使われるモデルも存在する。また過去には、ニッケルなどで製造されたモデルも存在する。

ケースの底面には、一部のモデルを除き、1955年よりイヤーコードと呼ばれる記号が刻印されており、これにより製造年が判別できる。このイヤーコードは当初、点や線で構成されていたが、1982年より平行してアラビア数字表記のものが登場、1985年からは同じく並行してローマ数字で記載されたモデルも出ている。1986年からはA?Lの12文字で現された製造月も刻印されている。1936年後半から1967年のモデルまではパテント番号が刻印されていたが、ジッポーのパテントが切れた同年8月1日以降の製品ではこの刻印が省かれた。ただし1980年代よりのレプリカモデルでは一部にこの古いパテント番号が記載されているものもある。
アメリカ軍との関係オリジナルZIPPO#23 1941復刻版sterling

ジッポーライターの普及には、アメリカ軍が大きく関わっている。第二次世界大戦中、「どこでも、どんな状況でも点火できる器具」が求められ、ジッポーが注目された。ジッポーは耐風性が高く頑丈で、かつ必要最小限の構成ゆえ部品も少なく、修理も容易だった。また戦場では燃料としてガソリンも入手できた。

アメリカ軍は製造元であるZippo Manufacturing Companyに軍へのライター納入を依頼した。納入された正確な数は戦闘部隊数が知られてしまうため極秘とされており不明であるが、相当の数が納入されたようである。

当時は戦時で、ジッポー本来の材質である真鍮材は、薬莢製造用に優先して回されていた。この資材不足対策として、軍用ライターのケースの材料には鉄を使い、その上に錆止めの塗装を施した。


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