ジスルフィド
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有機ジスルフィドの一般式

ジスルフィド (disulfide, disulphide) とは、2個の硫黄原子が繋がったジスルフィド基 (-S-S-) を官能基として有する有機硫黄化合物の総称。一般式は R-S-S-R' と表される。

ジスルフィドの英語表記は disulfide で、この用語は二硫化物イオン (S22−) を構造に含む塩や錯体の総称でもある。日本語ではその総称をもっぱら 二硫化物 と呼ぶ。ジスルフィドイオンは二硫化物イオンの別称。錯体の命名法では二硫化物イオンの配位子名は「ジスルフィド」(disulfido) である。二硫化物塩や錯体の詳細は記事: 二硫化物 を参照。
目次

1 性質

2 有機ジスルフィドの合成と反応

3 例

3.1 有機ジスルフィド


4 関連項目

性質

ジスルフィドの硫黄の酸化数は -I で電子配置は塩素分子の状況に似ており、もう1個の S(-I) と共有結合することによって2価のジスルフィド基を形成している。このことは酸素も同様で、過酸化水素や、それを親化合物とするペルオキシド過酸化物)が存在する。

有機ジスルフィドの親化合物である二硫化二水素(ジスルファン)H2S2やそのモノアルキル化体(RSSH) は熱的に不安定で容易に分解する。一方、ジアルキルジスルフィドは比較的安定であり、容易にO-O結合が熱分解するジアルキルペルオキシドとはかなり性質が異なる。また、硫黄同士の結合がさらに進んだトリスルフィド、多硫化物(ポリスルフィド)を作れることも酸素の場合とは異なる。

低分子量のジアルキルジスルフィドはキャベツネギ属の香気成分として知られており、強いにおいを持っている。
有機ジスルフィドの合成と反応

対称な有機ジスルフィドは通常、対応するチオール2分子を酸化的に結合させて得る。酸化剤としては過酸化水素水やヨウ素が利用される。過酸化水素を酸化剤にした場合、ジスルフィドから過剰な酸化が起こりうるので反応条件の設定は重要である。 2 R − SH + oxidant ⟶ R − S − S − R {\displaystyle {\ce {{2R-SH}+{\mathit {oxidant}}->R-S-S-R}}}

また二硫化ナトリウムと2当量のアルキル化剤を反応させても、対称ジスルフィドを調製することができる。二硫化物イオンは硫化ナトリウムの水溶液に硫黄を1当量加えて加熱することでも生成できる。 Na 2 S + S ⟶ Na 2 S 2 {\displaystyle {\ce {{Na2S}+ S -> Na2S2}}} 2 R − X + Na 2 S 2 ⟶ R − S − S − R + 2 NaX {\displaystyle {\ce {{2R-X}+ Na2S2 -> {R-S-S-R}+ 2NaX}}}

非対称ジスルフィドは硫黄上に脱離基を持つR-S-Xの化合物とチオールの塩を低温で反応させることによって得られる。XとしてはハロゲンやSO3Na(Bunteの塩)、CNなどが利用される。非対称ジスルフィドは過剰のチオール塩の存在下で不均化しやすいので反応条件は重要である。 R − S − X + R ′ − S − ⟶ R − S − S − R ′ + X − {\displaystyle {\ce {{R-S-X}+ R'-S^- -> {R-S-S-R'}+ X^-}}}

ジスルフィドは還元するとチオールに戻る。水素化ホウ素ナトリウムなどが還元剤として使用される。

求核剤の攻撃で S-S 結合が切断される。求核剤としてチオールの塩を使用するとこれはジスルフィド交換反応になる。 R − S − S − R + Nu − ⟶ R − S − + Nu − S − R {\displaystyle {\ce {{R-S-S-R}+Nu^{-}->{R-S^{-}}+Nu-S-R}}}

有機ジスルフィド

アミノ酸シスチン

α-リポ酸

ジメチルジスルフィド ( CH 3 S − SCH 3 {\displaystyle {\ce {CH3S-SCH3}}} )

二硫化アリル ( H 2 C = CH − CH 2 S − SCH 2 − CH = CH 2 {\displaystyle {{\ce {H2C=CH-CH2S-SCH2-CH=CH2}}}} )


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