ジゴロ次五郎
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『ジゴロ次五郎』(ジゴロじごろう)は、講談社週刊少年マガジン』に2002年22号から2007年30号まで掲載されていた、加瀬あつし作の少年漫画である。単行本全22巻。
ストーリー

車好きの高校生、石川次五郎のアルバイト先である洗車場に、VIPカーチーム「加麻呂」のリーダー・岡田が洗車にやってきた。ところが、彼のバイト仲間が岡田の車に微細な傷を付けたことから因縁をつけられ、仲裁に入った次五郎は岡田とパーキングエリアでのナンパ勝負をすることになった。車を持たない次五郎は、車を購入するため50万円の貯金をしていたが、ナンパ勝負前に兄・九州男のキャデラックを無断で持ち出した挙句、誤ってぶつけてしまっており、修理代として貯金のうち45万円を没収され、残金5万円となってしまう。

途方に暮れた次五郎は、九州男に紹介された中古車屋(解体屋といった方が正しい)に行き、そこで見つけたスクラップ寸前のS13シルビアに運命的なものを感じて購入した。実はそれは「妖車」と呼ばれた伝説の車で、時に意思を持つかのように振る舞い、数々の奇跡を起こす。次五郎はその力に翻弄されながらも「妖車使い」として成り上がっていくのであった。

主な舞台となる「河越」は埼玉県川越市がモデルとされているが、なぜか街が海と隣接しており、砂浜の描写や、港でのチキンレース等がおこなわれているため、よく似せた架空都市と思われる。

作中九州男達の母親らしき人物のセリフが出てくるが姿は最終回でも出てこなかった。

コンビニコミックス版では作者の他の作品であるゼロセンやくろアゲハ同様現実では犯罪行為[1] [2]になるシーンには「実際には犯罪になるので決してマネしないでください。」と注記されている。
登場人物
エンドレス

石川次五郎をリーダーとする走り屋系のチーム。元々は次五郎の親友だったシンゴが、盗み出すための車を集めやすいように勝手に募集したもので、東京・青山にあったキレた走り屋達が集まる喫茶店が名前の由来。

一時は窃盗騒動で自然消滅したかと思われたが、次五郎が九州男とタイマンを張り、互角に渡り合った事で河越中の男達を認めさせ、次五郎に興味を持ったクセのある面々が集まって正式にチームとして始動した。

加麻呂のマイキーと佐世保、赫愚夜姫のキヨトなど、各所で名の知れた者たちが集まり、神谷の件で騒動が起きた際も次五郎の妙案で多々のチームを動かすなど、短期間で河越で名の知れたチームになった。
石川次五郎(いしかわ じごろう)
私立万座高校3年生。誕生日は4月29日。肥満体型で通称は「ブタ」「デブロー」(ただし目鼻立ちは整っており、決して醜男ではない。痩せられれば兄や弟同様に美形になれるのは容易に想像できる)
[3]マイルドセブンを吸っている。愛車はシルビア(S13)で、シルビア故障時はジョグアプリオに乗っている。洗車場でけなげにバイトするが、その給料はパチンコと車と兄から受けるカツアゲで消えていく。自分の命と引き換えにすることすら厭わない車好きで、車のエンジン音だけで車種を当てるカーセンサーという特技を持つ[4]。しかし元々運転は下手で、仮免試験だけで3回落ちている。童貞仮性包茎だが、ひょんな事から手に入れた妖車シルビアの力で数多くの走り屋を魅了し、チーム「エンドレス」を結成。河越最強といわれた兄との喧嘩に引き分けた事により、周囲から認められて多くの仲間を加える。初期は兄にコンプレックスを抱いていた事もあり、シルビアに頼りきりの情けない少年だったが、兄である九州男とのタイマンで眠っていた潜在能力が覚醒(強すぎる九州男を見て育っており、自分で自分を弱いと思い込んでいた)。その後も数々のバトルを繰り返し、地域最強の族だった、族狩りのチーム「緋狼」をたった一人で潰す程に強くなる。加えて、脚をナイフで刺されても動じるどころか痛がる様子すら見せない(むしろ刺した相手を返り討ちにして呆れたような表情を見せ、その後の様子を見ても痛み自体を感じていたかすら怪しい)など耐久力・忍耐力に限っては九州男を大きく超えている。ただし、岡田に因縁を付けられた政次を庇ったり、シルビアを傷つけた浜中に対して殴りかかったりするなど、ケンカの腕こそなかったものの、当初から男気のある一面は多々あった。経験不足や覚醒してからまだ月日が経っていないこともあり、ケンカのスタイルは「腕だけではなく頭も使う」タイプであり、九州男とのタイマンやミツヒロ追撃の時は知恵の回る面を見せている。女性に対しては九州男とは違って基本的に一途であり、タイトルにもあるようなジゴロ的な面はない(あくまでダジャレと、「車と女の子を乗り回す」という下ネタ的な意味)。愛子と恋人になった直後は、千夏との間で揺れ動いた事もあったが結局愛子を選んでいる。かなりマニアックなアダルトビデオを多数所持していて、愛子との交際をきっかけにそれを九州男に渡し処分するが、九州男から愛子に暴露されてしまった(ゲンコツ一発で許してもらえた模様)。終盤にて事故に遭いそうになった愛子を庇い、S13と辛い別れをする事になった。その後すぐにS13は元通りになったが、魂を宿らせることはなかった。その5年後、晴れて結ばれた愛子との結婚式でシルビアは魂を蘇らせ、2人の門出を祝福する。5年後では贅肉がだいぶ減っており、背も高くなっているなど、肥満というよりは柔道家のようながっしりした体格になっている。
S13"ラブマシーン" 『シルビア』
次五郎の愛車。シルビア(S13)でグレードはQ's(キューズ)。S13/14に冠されるグレード銘J's・Q's・K'sの意味は、トランプのジャック・クィーン・キングからきている。次五郎が、不思議な色気とガルウィングドア(正確にはシザーズドア)のドアが気に入って、九州男の友達の丸島の店からもらってきた。自分の意思を持っているかのような走りから「妖車」と言われている。自我を持っている。乗り手を選び、基本的に童貞しか乗せない。ただし、主人が心底惚れた女の子は別。次五郎と愛子との仲は認め応援している様子で、告白に成功したときには次五郎と一緒にドアを上げ下げして万歳をしていた。また、美女しかシートには乗せず、それ以外の女性は強制的に降ろしてしまう。超常現象をも度々起こしており、次五郎が免停になっていた間に九州男が乗った時は過去へタイムスリップし、沢田が乗った時は幽霊騒動に巻き込まれた。九州男のことはあまり好きではないようで、(九州男自身の自業自得な面が強いものの)手酷い失恋を味わうように仕向けたり、九州男搭乗時にわざと警察沙汰を起こして彼を警察に連行させるなど、かなり酷い目に遭わせたこともある。当初はVeilside製のS14シルビア用 combatフロントバンパーと大型リアウィングが特徴だったが、ほどなくして車体の修復をかねて改造を受け、ニスモダクト付きのR34 GT-Rフロントスポイラー、オーバーフェンダー、GTウイングに変更された。最近の車としては珍しくキャブレター仕様になっている(これは前の持ち主である浅本のこだわりだった)。作中終盤で、長い間無理をしたせいで車体全体に金属疲労とボディ全体にわたる歪みが生じ、残り僅かの寿命となっていたが、愛子を乗せた大阪行きの高速バスが中央分離帯に衝突しそうになった時、バスを押してコースを変えさせたのと引き換えに、自身が中央分離帯に激突してスクラップ同然となってしまい、永い眠りについた(その際に最後の力でロールバーを曲げて次五郎を包み込み、事故の衝撃から守り抜いた。また、この事故の直前に精神体が擬人化して、夢を介して次五郎と対話している。その時の姿は長い黒髪にワンピース、そしてネックレスをした美女であった)。しかし次五郎は「叶うなら…!」と廃車にせず仲間たちが調達してくれたパーツを集めて一年の歳月をかけて修理した。ドアをガルウイング仕様にするキットだけは調達できなかったものの、次五郎は「翼はこいつに返す」とノーマルドアにしている。そして修復完了からさらに4年後の次五郎と愛子の結婚式の際、階段から転げ落ちようとした愛子を助け、教会のマリア像を照らし復活。愛子のお腹の中に子供がいる事と、その子供が次の乗り手になる事を次五郎に告げ、子供が免許を取るまでの18年間、再び次五郎の「相棒」になった。
竜(りゅう)
ダットサントラックをダンプに改造し、荷台を巨大スピーカーで埋め尽くし、いつもダンス・ミュージックを流している。通称「音圧神」。ヘッドフォンが酸素マスク代わりで、音楽を常に聴いていないと呼吸困難に陥る。DJストリートダンスの腕も一流で、彼が掛ける音楽を聴いた女性は、度を越えた快楽に酔ってしまい、失神する。車にはCDJやDJミキサーなどのDJ機材も積んでいる。現在「エンドレス」の一員である。普段は無口で心を開いた相手にしか話さない。知識もかなり持ち合わせており、常人が知らないような情報を知っていたりする。また男色の気もある模様[5]。英語でしゃべった後同じ内容を日本語でしゃべる癖がある。
神谷 誠(かみや まこと)
16歳の無免許天才ドリフター。愛車は180SXだが、所有者は翔子であり、「浅本の弟分だから」という理由で借りている。その180SXもタービンやCPUなどをチューニングし、350馬力出せるようにしている。次五郎のシルビアに以前乗っていた浅本俊一郎にドライビングテクニックを教わっていた。浅本との勝負に一度も勝てないまま死なれてしまったことに深い悲しみと悔しさを抱いており、それゆえシルビアを密かに狙い、次五郎に勝負を挑んだこともあったが、次五郎の命を懸けた走りと、浅本と正式に別れを告げたシルビアの力で救われた。現在は次五郎のバイト先で働きながら定時制高校へ通っている。「エンドレス」の一員でもある。16歳ゆえ無免許であり、それを弱みとして付け込まれてしまったこともあった。
デビル・ジョーカーズ

石川九州男をリーダーとするローライダー系を中心とするアメ車系チーム。主に土曜の夜の高乃坂パーキングで活動している。入会も自由で規則というものがなく自由奔放に活動しているが、いざという時は統率された行動をとり、エンドレスの窃盗騒動の時は九州男の指示の元、窃盗グループのアジトを即発見した。
石川九州男(いしかわ くすお)
石川家の長男。年齢は24歳。次五郎の兄で元暴走族鬼族総会長。亡き父に代わる石川家の大黒柱で、親戚が経営する運送会社「石川運送」の大型トラックドライバー。己の生きる信条も兼ねて「最大積載量 夢いっぱい」と記載したステッカーを貼っている。
ローライダーのチーム「デビル・ジョーカーズ」のリーダーであり、愛車はキャデラック。暴走族「鬼族(きぞく)」時代はKawasaki Z IIに乗っていた。運送会社では日野・プロフィアや、いすゞ・ギガなどに乗っていた。また、一回だけだが三菱ふそう・スーパーグレートにも乗っていた。無免時代はワークス仕様のハコスカに乗っていたらしい。走り屋としての実力もかなりのもので、直線道路で後部を振らせる事ができるほど。若いころは暴走族の「鬼族」のリーダーとして君臨しており、今でもその人間離れした実力によって暴君と恐れられている。社会人になった今でもその力は絶大で、族の集会は石川邸前ではエンジンを切って通過する事が地元のお約束になっている(さもないと九州男に血祭りに上げられる)[6]。作中最強の人物であり、その喧嘩の強さは人間とは思えないほどの化け物級。固定設置されている自動販売機を無理やり投げ飛ばしたり、500円玉を指で引き千切る等腕力も凄まじい。次五郎の策略でトラックの燃料を抜かれた時は、一人でトラックをガソリンスタンドまで引っ張っていくという人間離れした怪力を見せた。


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