ジクロフェナク
IUPAC命名法による物質名
IUPAC名
2-(2-(2,6-dichlorophenylamino)phenyl)acetic acid
臨床データ
胎児危険度分類
AU: A
B(初期)、X(末期)
法的規制
JP: 処方箋医薬品、一般用医薬品
UK: 処方箋のみ (POM)
Rx-only、数カ国ではOTC
投与経路経口、経直腸、筋肉注射、静脈注射、経皮
薬物動態データ
生物学的利用能100%
血漿タンパク結合99%以上
代謝肝臓
半減期1.2-2時間(35%は再流通する)
排泄胆汁(尿中は1%)
識別
CAS番号
15307-86-5
ジクロフェナク(英: Diclofenac)は、フェニル酢酸系の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の1種である。主に解熱、鎮痛のために用いられる。
日本では、ナトリウム塩のジクロフェナクナトリウム(英: Diclofenac sodium)が商品名「ボルタレン」(英: Voltaren、ノバルティス)・「ジクトル®テープ」(久光製薬製造販売[1])の処方箋医薬品として販売され、いくつかの製剤が後発医薬品として製造されている[2]ほか、日本および数カ国の外国では一般用医薬品(OTC医薬品)として承認されている。イギリス、アメリカなどでもナトリウム塩が用いられているが、少数の国ではカリウム塩であるジクロフェナクカリウム(英: Diclofenac potassium)も用いられる。
ジクロフェナクの安全性はかなり証明されているが、アレルギーを起こす可能性もある。
Diclofenacと言う名前は、2-(2-(2,6-dichlorophenylamino)phenyl)acetic acidから命名された。 ジクロフェナクの半減期は短いが、効果は6?8時間と長く持続する。これは関節液
作用機序
ジクロフェナクは、シクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害することによってプロスタグランジン合成を抑制するため、解熱・鎮痛効果があると考えられている。しかし、胃の上皮でも同様の作用がおこるため、胃酸によって胃炎を起こす可能性がある。また、リポオキシゲナーゼ経路(lipooxygenase pathways)を阻害し、ロイコトリエンの合成を妨げている可能性がある。さらに、ホスホリパーゼA2(PLA2)を阻害している可能性もあり、これらがジクロフェナクの高い効果の原因であるかもしれないと考えられている。ジクロフェナクの効果はNSAIDsの中でも非常に強力である。 ジクロフェナクは、関節炎、痛風、腎結石、尿路結石、片頭痛などの鎮痛目的で使用される。さらに、小規模から中規模な手術後や、外傷、生理痛、歯痛、腰痛、筋肉痛を和らげるためにも使用される。 ジクロフェナクを長期間服用すると胃にダメージを与え、NSAID潰瘍を引き起こす可能性がある。これを避けるため、ミソプロストールとジクロフェナクの併合剤(商品名「オルソテック」 Arthrotec)が使用されることもある。 白内障手術時後の炎症症状、合併症防止のため点眼薬が使用される事がある[3]。 人間以外の動物、例えばウマにも用いられる。ただし競走馬においては規制薬物の一つとされ使用制限が課せられており、競馬場で出走した後の検査で検出されると処分が科されることがある[4]。
使用対象
効能又は効果
ボルタレン錠25mg
○下記の疾患ならびに症状の鎮痛・消炎
関節リウマチ、変形性関節症、変形性脊椎症、腰痛症、腱鞘炎、頸肩腕症候群、神経痛、後陣痛、骨盤内炎症、月経困難症、膀胱炎、前眼部炎症、歯痛
○手術ならびに抜歯後の鎮痛・消炎
○下記疾患の解熱・鎮痛
急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)
ボルタレンSRカプセル37.5mg・ナボールSRカプセル37.5
下記の疾患並びに症状の消炎・鎮痛
関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群
ジクトル・テープ
各種がんにおける鎮痛
腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群及び腱鞘炎における鎮痛・消炎
現在用いられている用途