戦闘機(せんとうき、英: fighter aircraft, あるいは単にfighter、独: Jagdflugzeug,略称としてJager)は、敵対する航空機との空対空戦闘を主任務とする軍用機。
フランス空軍のローラン・ギャロスが1915年にモラーヌ・ソルニエ Lの中心線に固定銃を装備したことで思想が生まれ、ドイツによるフォッカー アインデッカーの量産によって、固定銃を装備して敵の航空機を撃墜する機体として登場した[1]。時代が進むにつれて技術の発達、戦訓により戦闘機の任務は多様化し、技術的、思想的にも違いが生まれていった。また、高い運動性を持つため、特殊飛行の公演にも利用される。
現在の戦闘機には、従来は攻撃機が担っていた対地攻撃・対艦攻撃・爆撃をこなせる機種も多い(マルチロール機)[2]。
世界で最も生産された戦闘機はドイツのBf109の約35,000機。ジェット機最多はソビエト連邦のMiG-15の約15,000機(超音速機ではMiG-21の約10,000機)。日本最多生産機は零式艦上戦闘機の約10,000機[3]。
英語では「Fighter」だが、1948年以前のアメリカ陸軍航空軍では「pursuit aircraft (追撃機)」と呼ばれていた[4]。また、兵器を搭載できる航空機全般を指して戦闘機と呼ぶ場合がある[5] が、その意味での戦闘機は軍用機を参照。
戦闘機の命名方法については軍用機の命名規則を参照。
種類分類
外形区別
単発機
搭載エンジンが1つのもの。そのため、レシプロ機はプロペラが1組、ジェット機はノズルが1つとなる[6]。
双発機
搭載エンジンが2つのもの。そのため、レシプロ機はプロペラが2組、ジェット機はノズルが2つとなる[6]。ただし、レシプロ機については景雲のようにエンジンは双発でありながらプロペラが1組という例や、2重反転プロペラを1基のエンジンで駆動する例(すなわちエンジン1つに対してプロペラ2組)も存在する。
任務区別
制空戦闘機
空戦によって戦闘空域を制圧する任務。格闘性能を重要とする[6]。F-22は制空戦闘機よりさらに強調された航空支配戦闘機と呼ばれ、航空脅威だけでなく地上脅威にも支配力を及ぼす戦闘機[7]。
要撃機(迎撃戦闘機、要撃戦闘機、局地戦闘機、防空戦闘機)
基地や艦隊の上空の防御を担当する。上昇力、速度を必要とする。地上警戒システムとのリンクも重要[6]。制空戦闘機との区別がなくなり投入任務によって呼び名が変わる[7]。
護衛戦闘機
爆撃機の護衛任務[6]。
戦闘爆撃機、戦闘攻撃機、長距離侵攻戦闘機、(支援戦闘機)
爆弾などを搭載し対地攻撃を行う。武装搭載量が多い[6]。戦闘機用の兵装と攻撃機用の兵装の双方を搭載できまた状況に応じて戦闘機としても攻撃機としても活動できるのが戦闘攻撃機。戦闘機に爆弾などを搭載することはできるが、対地攻撃用システムを積んでいないものは、精度は低いものになるので戦闘攻撃機とは言わない(爆装)。戦闘機としても攻撃機としても能力を兼ね備えた多用途機である。戦闘機と爆撃機の能力を兼ね備えた機体が戦闘爆撃機。攻撃機の搭載量が高まった面から見れば戦闘爆撃機と戦闘攻撃機は同じものとなった[8]。
支援戦闘機は、航空自衛隊での攻撃機の名称で、任務は対艦攻撃、対地攻撃、近接航空支援と広く、状況に応じて航空脅威の対処にも使用される[9]。