ジェットエンジン
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エアバスA320のジェットエンジンナセルに覆われたボーイング737-500CFM56ジェットエンジン(ターボファン)。アメリカジョージア州ロビンス空軍基地でテスト中のF-15 イーグルのF100ジェットエンジン(ターボファン)。

ジェットエンジン(英語: jet engine)とは、噴流(ジェット)を生成し、その反作用を推進に利用する熱機関である。多くの場合、外部から取り入れた空気で燃料を燃焼させる事で大量の噴流を生成する。ジェットの生成エネルギーには、取り込んだ空気に含まれる酸素燃料との化学反応(燃焼)の熱エネルギーが利用される。狭義には、空気吸い込み型の噴流エンジンだけを指す。また、主に航空機固定翼機回転翼機)やミサイルの推進機関または動力源として使用される。

ジェット推進は、噴流の反作用により推進力を得る。具体的には、噴流が生み出す運動量変化による反作用(反動)としての力がダクトノズルやプラグノズルに伝わり、推進力が生成される。なお、ジェット推進と同様の噴流が最終的に生成されるものであっても、熱力学的に噴流を生成していないもの、例えばプロペラやファン推力などは、通常はジェット推進には含めない。プロペラやファンは、直接的には回転翼による揚力を推力としている。

ジェット推進を利用している熱機関であっても、ジェット推進を利用しているエンジン全てがジェットエンジンと認識されているわけではなく、外部から取り込んだ空気を利用しないもの(典型的には、ロケットエンジン)は、通俗的にはジェットエンジンに含められていない。ジェットエンジンとロケットエンジンは、用途とメカニズムが異なる。具体的には、ジェットエンジンは、推進のためのジェット噴流を生成するために外部から空気を取り入れる必要があるのに対し、ロケットエンジンは酸化剤を搭載して噴出ガスの反動で進むため、宇宙空間でも使用可能である点が強調される[1]。また、ジェットエンジンは吸気側の噴流も推進力に利用する一方、ロケットエンジンの燃焼器より前に噴流は全くない。そのため両者は構造も大気中の効率も大幅に異なり、区別して扱われる。

現代の実用ジェットエンジンでは、噴流の持続的な生成にガスタービン原動機を使っているものが多い。タービンとはラテン語の「回転するもの」という語源から来た連続回転機のことであり、連続的にガスジェットを生成できることが大きなメリットである。また、同原動機の登場により回転翼推力とジェット推力の複合出力エンジンも実現できるようになり、そこでは様々な最適化が可能なことから、多数の形式が生まれた。

さらに、ジェットエンジンは熱機関の分類(すなわち「内燃機関」か「外燃機関」か)からも独立した概念である。つまり、実用化されたジェットエンジンは基本的には内燃機関で分類されるものであったが、実用化されていないものの、原子力ジェットエンジンのような純粋な外燃機関として分類されるジェットエンジンも存在しうる。
概要ターボファンのアニメーション図

広く実用されているジェットエンジン(ターボジェットターボファンターボプロップターボシャフト)は原動機にガスタービンエンジンを使用しているので、内燃機関としての仕組や熱機関としてのサイクルもそれに準じている。すなわち作業流体・酸化剤として外部から取り込んだ空気を圧縮機で加圧し、燃料(主にケロシン)と混合してブレイトンサイクルの下に連続的に燃焼させ、その燃焼ガスによるジェットの反動そのものを推力として利用したり、羽根車(タービン)を用いて回転力を生成しプロペラファンの揚力に変換し推進力にする。そして回転力の一部は圧縮機を回転させる動力となり、自体の持続運転に使われる。

ガスタービンエンジンは(レシプロエンジンの間欠燃焼と異なり)連続燃焼による連続回転機であるため、連続的なジェットガス生成用の原動機としても最適であった。もしジェットエンジンを間欠燃焼で作るとレシプロエンジンを原動機に使うまでもなくパルスジェットを実現できる。

上記ガスタービン型の航空用エンジンに加え、エアブリージングエンジン(作業流体および酸化剤として空気を吸入・排出する内燃機関の総称でレシプロエンジンも含む)の内、なんらかの方法で空気を圧縮して燃料と混合し、燃焼後に高速の排気流を得て推力とする機関(ラムジェットパルスジェットモータージェットなど)もジェットエンジンとして言及される。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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