ジェイムズ・テイト・ブラック記念賞(James Tait Black Memorial Prize)は、1919年にイギリスで創設された文学賞。英語で書かれた作品を対象としており、イギリスで創設された文学賞としては最も古く、最も権威のある賞である。ジャネット・クーツ・ブラックが亡夫ジェイムズ・テイト・ブラックを偲んで、出版会社A & C Blackと協力して創設した。スコットランドのエディンバラ大学が運営母体となっている。 ノーベル賞の受賞に先立って、ジェイムズ・テイト・ブラック記念賞を受賞している者が4人いる。ノーベル文学賞の受賞者であるウィリアム・ゴールディング、ナディン・ゴーディマー、J・M・クッツェーらがフィクション部門で、ドリス・レッシングが伝記部門で受賞している。また1923年には、マラリアに関する研究で1902年にノーベル生理学・医学賞を受賞していたロナルド・ロスが、自伝によって伝記部門賞を受賞した。 その他の著名な受賞者としては、D.H.ローレンス、アーノルド・ベネット、ジョン・バカン、ロバート・グレーヴス、アーサー・ウェイリー、グレアム・グリーン、イーヴリン・ウォー、アンソニー・パウエル、ミュリエル・スパーク、J・G・バラード、アンジェラ・カーター、マーガレット・ドラブル、サルマン・ラシュディなどがいる。 この10年間の受賞者からさらに挙げると、グレアム・スウィフト、ゼイディー・スミス、マーティン・エイミス、イアン・マキューアンがいる。最近(2007年)においては、Rosalind Belbenが『Our Horses in Egypt』で、Rosemary Hillが『God's Architect: Pugin and the Building of Romantic Britain』で受賞している[1]。 受賞者の決定は英文科の教授により行われるが、候補者の選抜段階においては博士課程の学生も参加することで、選考の形式を厳格なものとしている。2006年の受賞に際してコーマック・マッカーシーの出版元が、賞の選考討議はスポンサーや他の文学賞、または各種メディアによる影響を受けておらず「学生たちと教授らの真剣な議論だけで、素晴らしい作品と素晴らしい本を決める」と賞賛のコメントを述べている[2]。基金は現在、大学が補っており、2005年には賞金総額が6,000ポンドから20,000ポンドへ増額された[3]。これにより、フィクションと伝記を対象とする文学賞の中では、スコットランドで最多額の賞金が得られる賞となった[4]。
過去の著名な受賞者
選考過程と授与