シンメトリカルAWD(シンメトリカル・エー・ダブリュー・ディー、英: Symmetrical All Wheel Drive、略称SAWD)は、日本の自動車メーカーSUBARU(スバル)によって開発された常時4輪駆動システムである[1]。 SAWDシステムは、縦方向に搭載された水平対向エンジンと、それに連結された車軸の長さが左右で等しい左右対称(シンメトリカル)な駆動列(ドライブトレイン)から構成される。対称的な配置と前車軸を挟んで釣り合いが取られた水平対向エンジンおよびトランスミッション(変速機)の組み合わせによって低い重心を持つ最適な重量配分が得られ、車の操縦性(ハンドリング)が改善する、とスバルは主張している[2][3]。1966年以来、国際市場で販売されるほとんどのスバル車は標準装備としてSAWDを含む[4]。後輪駆動のBRZや軽自動車は例外である。 富士重工業はこの左右対称のレイアウトを1998年頃は「シンメトリー4WD」と呼んでいた[5]。年次報告書では、2002年に symmetrical all-wheel-drive system という語句が初めて使われた[6]。 最も古いSAWDは、第1世代レオーネ エステートバン向けのオプションとしてのパートタイム機械式4輪駆動システムとして1972年9月に初めてお目見えした[7]。1986年にはレオーネ クーペRX-IIに初の常時AWDシステムを搭載し、1987年にはアルシオーネのオートマチックに電子制御版のアクティブトルクスプリットAWDが導入された。可変トルク配分AWD(VTD)は1991年に初めて導入され、1998年にVDC(ビークルダイナミクスコントロール)がさらに追加され、全輪駆動システムのより良い制御が可能となった[8]。現代のAWDの実装はハンドリング性能を高めるためにVDC、ABS、トラクションコントロールと共に使われる。 SUBARUのAWDシステムには、ビスカス式フルタイムAWD、ビスカスLSD付センターデフ方式フルタイムAWD、アクティブトルクスプリットAWD(ACT-4)、不等&可変トルク配分電子制御AWD(VTD-AWD)などがある[9]。 マニュアルトランスミッションが搭載されたスバル車はビスカスLSD付センターデフAWD(VCD)システム[10]を使用する。これは初期設定で前車軸と後車軸との間で均等にトルクを配分する[2][11]。 1987年にアルシオーネに最初に導入されたACT-4[10][12]は、前60%、後ろ40%の基本トルク配分のために電子制御多板クラッチ(マルチプレート・トランスファ)を使用する。このトルク配分は、スロットル、トランスミッション、エンジンコントロールユニット、車輪速センサー ACT-4搭載オートマチック車は応急用スペアタイヤ装着時に全輪駆動を強制解除する必要があったため、以前の車両取扱説明書にはその方法が記載されていた[14]。 1991年式アルシオーネSVXにはバリアブルトルクディストリビューションAWD(VTD、可変トルク配分)[10]の初めてのバージョンが搭載された。通常のトルク配分は前輪36%、後輪64%であり、VTDのもっと後の実装では前輪45%、後輪55%のトルク配分が使われた[15]。
概要
種類
ビスカスLSD付センターデフ方式AWD
アクティブトルクスプリットAWD
不等&可変トルク配分電子制御AWD(VTD-AWD)
Size:39 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
担当:undef