シリンダ
[Wikipedia|▼Menu]

シリンダー (Cylinder) とは、英語で「円筒」を意味する単語である。

“シリンダー”と呼称されるものにはいくつかの種類があるが、本項では主にレシプロエンジンの構成部品の一つについて既述する。
概要レシプロエンジンのシリンダーの断面を示したイラスト。ピストンコネクティングロッドポペットバルブ点火プラグも描かれている。

cylinderはギリシャ語の「転がる」が語源で、「円筒」の意味から転じて、気体液体などの流体を内部に納める筒状の部品を指す。流体を移動、あるいは流体によって作用されるためにピストンを対に持つことが多い。なお注射筒(syringe、シリンジ)はギリシャ語「パイプ」が語源であり別の単語である。

「シリンダー」と呼ばれるものには以下のものがある。

管楽器の部品。

の一種。ピンタンブラー錠などシリンダー構造を持つ鍵の総称としてシリンダー錠と呼ぶ。

回転式拳銃弾丸を収める回転輪胴

ハードディスクの記憶単位の一つ。一般に「シリンダ」と呼ばれる。

油圧又は空気圧水圧及び電動によって伸縮駆動する「アクチュエータ」の構成部品の一つ。それらを総称して「動力シリンダー」とも呼称される。

高圧ガス、液化ガス等を充填して持ち運ぶための耐圧容器。日本語では「ボンベ」と呼ばれることが一般的である[注釈 1]

熱機関の一種であるレシプロエンジンにおけるピストンを収容する金属製の筒。日本語では「気筒」と呼称される。

エンジンにおけるシリンダー

初期のエンジンにおけるシリンダーはエンジンにおいて最大の部品だった。ピストンがもたらす摩擦を如何に軽減するかについて様々な実験が行われた。蒸気エンジンでは発生する水分が減摩材として作用するため、潤滑機構は無いか、あっても簡単なものであった。
外燃機関蒸気機関のシリンダー

レシプロ外燃機関のシリンダーは、燃焼室が無いため両端で対称的な構造をもつ。作動流体が膨張する際に熱エネルギーが運動エネルギーへと変換され、ピストンに伝達される。シリンダー内側は滑らかな場合が多く、ピストンにはガスケットが取り付けられ、ピストン両側の二つの部屋を分離密閉している。ピストンの運動は直線の往復運動の形で取り出され、外部のクランクによって回転エネルギーに変換している。ピストンによって区切られたシリンダー内の二つの部屋では、付属するスライドバルブによって吸気排気が切り替えられ、一往復で2回運動エネルギーを取り出すことができる。この仕組みは主に蒸気機関に用いられた。スターリングエンジンのようにシリンダーが熱交換器として作用するものもある。

シリンダー内部には排出しきれなかった蒸気が凝縮水として溜まり、シリンダーの有効容積が小さくなって行くため、シリンダー下側にはドレイン弁が設けられる。
内燃機関マロッシ社製空冷2ストロークスクーターエンジンのシリンダー。オートバイ航空用空冷エンジンではこのようにシリンダー自体が単体の部品として製造される事が多い。「シリンダーブロック」も参照自動車用水冷4ストロークエンジンのシリンダー。自動車用エンジンではシリンダーとクランクケースが一体鋳造されたシリンダーブロックとして製造されることが一般的である。

レシプロ式内燃機関のシリンダーはレシプロ式外燃機関の機能を踏襲しており、基本的な構造や役目は外燃機関と似ているが、より複雑になった。水冷エンジンにおいては外壁または二重構造による中空部でウオータージャケットを形成して冷却を行う。ピストンと共にエンジンの中枢部を構成する。

一端はピストントップ(冠面)・シリンダーヘッドと共に燃焼室を形成し、その密閉された容積により吸気混合気または空気)を圧縮する。直噴式を除くガソリンエンジンでは、圧縮された混合気に電気火花点火して爆発燃焼させる。一方、ディーゼルエンジンは圧縮された空気に燃料を高圧で噴射して自己着火させ、拡散燃焼を行う。燃焼して生じた燃焼ガスが持つ熱エネルギーによる膨張をピストンで受け運動エネルギーに変換する。燃焼室の反対側はピストンの運動をコネクティングロッド(コンロッド)・クランクシャフトにより回転エネルギーとして取り出すための開口部となる。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:95 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef