この項目では、水素化ケイ素について説明しています。有機シランについては「有機ケイ素化合物」をご覧ください。
シラン (化合物)
IUPAC名
Silane
別称Monosilane
Silicane
Silicon hydride
Silicon tetrahydride
識別情報
CAS登録番号7803-62-5
?185 °C, 88 K, -301 °F
沸点
?112 °C, 161 K, -170 °F
水への溶解度ゆっくりと反応する
構造
分子の形四面体形
r(Si-H) = 1.4798 angstroms
双極子モーメント0 D
熱化学
標準生成熱 ΔfHo34.31kJ/mol
標準モルエントロピー So204.6 J mol-1 K-1
危険性
安全データシート(外部リンク)ICSC 0564
EU IndexNot listed
主な危険性非常に強い可燃性、自然発火性
NFPA 704423
引火点きわめて引火性が高い気体
発火点294 K (21 °C) (~70 °F)
爆発限界1.37?100%
許容曝露限界5 ppm (ACGIH TLV)
関連する物質
関連するモノシラン類フェニルシラン
ビニルシラン
関連物質メタン
ゲルマン (化合物)
スタンナン
プルンバン
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。
シラン(英: silane)とはケイ素の水素化物で化学式SiH4、分子量32.12の無機化合物である。水素化ケイ素(すいそかケイそ)とも呼ばれる。特異な臭気を有する無色の気体であり、液化ガスとして入手が可能である。
ケイ素数2、3の高級水素化物はそれぞれジシラン、トリシランと呼ばれ、それと区別するためにSiH4はモノシランとも呼ばれる。 空気中の酸素によりすみやかに酸化されて水と二酸化ケイ素に分解し、シランの濃度が高ければ着火源がなくても自発的に発火燃焼する。燃焼に伴い、二酸化ケイ素のフュームが発生するので吸い込まないように注意が必要である。また、刺激性が強く、吸引すると肺気腫を引き起こす恐れがある。 シラン中の水素原子はケイ素を中心とした正四面体の各頂点に位置している。アルカン同様に極性が小さく、ヘキサン、エーテルなどの有機溶媒によく溶ける。アルコール類とはゆっくりと反応する。もっとも単純な気体状のケイ素化合物であり、半導体製造に用いられる特殊材料ガスの代表である。 シランはメタンのケイ素アナログである。ケイ素と比較して水素の電気陰性度が大きいため、このSi?H結合の極性はメタンのC?H結合の極性と逆である。この逆転した極性の一つの帰結として、シランは遷移金属と錯体を形成しやすい。2つ目の帰結は、シランが自然発火性ということである。すなわち、シランは外部点火を必要とせずに、空気中で自然発火する[1]。しかしながら、入手できる(しばしば相反する)燃焼データを説明するのが困難なのは、シラン自身は安定であることや、生産の間により大きなシランが自然に形成されるという事実のせいであり、湿気といった不純物や容器表面の触媒効果に対する燃焼の影響の受けやすさがその自然発火性の原因となる[2][3]。420 ℃以上で、シランはケイ素と水素へ分解する。したがって、シリコンの化学蒸着に使うことができる。 Si?H結合の強さは約384 kJ/molであり、H2中のH?H結合よりも約20% 弱い。その結果として、Si-H結合を含む化合物はH2よりも反応性が高い。Si?H結合の強さはその他の置換基によって多少は影響を受ける。SiHF3、SiHCl3、SiHMe3中のSi?H結合の強さはそれぞれ419、382、398 kJ/molである[4][5]。 沸点は-112℃と低めな割に臨界点は-3.5℃、47.8[atm]と比較的温和である。
概要
性質