ショーシャンクの空に
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ショーシャンクの空に
The Shawshank Redemption
監督
フランク・ダラボン
脚本フランク・ダラボン
原作スティーヴン・キング
刑務所のリタ・ヘイワース
製作ニキ・マーヴィン(英語版)
製作総指揮リズ・グロッツァー
デイヴィッド・レスター
出演者

ティム・ロビンス

モーガン・フリーマン

ボブ・ガントン

ウィリアム・サドラー

クランシー・ブラウン

ギル・ベローズ

ジェームズ・ホイットモア

音楽トーマス・ニューマン
撮影ロジャー・ディーキンス
編集リチャード・フランシス=ブルース
製作会社キャッスル・ロック・エンターテインメント
配給 コロンビアワーナー
松竹富士
公開 1994年9月10日
1995年6月3日
上映時間142分[1]
製作国 アメリカ合衆国
言語英語
製作費$25,000,000[2]
興行収入$58,300,000[3]
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『ショーシャンクの空に』(ショーシャンクのそらに、原題: The Shawshank Redemption、直訳「ショーシャンクの贖い」)は、1994年に公開されたアメリカ合衆国の映画スティーヴン・キング中編小説刑務所のリタ・ヘイワース』(Rita Hayworth and Shawshank Redemption)の映画化であり、脚本監督フランク・ダラボン

冤罪によって投獄された有能な銀行員が、刑務所内の人間関係を通して、腐敗した刑務所の中でも希望を捨てず生き抜いていくヒューマン・ドラマ[4]

ダラボンがキングから映画化権を購入したのは1987年であったが、着手したのはその約5年後であり、脚本を書くのに8週間掛かったという。キャッスル・ロック・エンターテインメント社に脚本を提出した2週間後、ダラボンは2,500万ドルの予算を確保して1993年1月に本作の製作を開始した。映画の舞台はメイン州だが、撮影のほとんどはオハイオ州のマンスフィールドで行われ、同地のオハイオ州立少年院跡がショーシャンク刑務所となった。当初アンディ役にはトム・ハンクストム・クルーズケビン・コスナーなど、当時のスター俳優が検討された。音楽はトーマス・ニューマンが担当した。

主人公の銀行員アンドリュー・デュフレーン(アンディ)をティム・ロビンス、囚人仲間の調達屋エリス・レディング(レッド)をモーガン・フリーマン、悪徳な刑務所長サミュエル・ノートンをボブ・ガントンが演じ、他にウィリアム・サドラークランシー・ブラウンギル・ベローズジェームズ・ホイットモアらが脇役として出演している。

公開当時は、ストーリーやロビンスとフリーマンの演技を中心に批評家たちから高い評価を受けたものの、興行収入は1,600万ドルに留まるなど興行的には失敗した。当時は『パルプ・フィクション』や『フォレスト・ガンプ』といった強力な競合作が存在したこと、女性の登場人物が少ない、タイトルが観客に分かりにくいなど多くの理由が、不振の原因として挙げられた。しかし、その後アカデミー賞で7部門にノミネートされ、劇場再公開や海外収益で最終的な興行収入は5,830万ドルに達した。

さらに全米で32万本以上のレンタルビデオが出荷され、賞へのノミネートや口コミにより1995年に最もレンタルされた映画作品となった。ターナー・ブロードキャスティング・システムが製作スタジオのキャッスル・ロックを買収したことで放送権を獲得し、1997年からターナー・ネットワーク・テレビジョン(TNT)で定期的に放映されるようになり、その人気はさらに高まった。現在では多くの人から映画史に残る傑作の一つとして認識されている。公開から三十年近く経った今でも定期的に放送されており、様々なアンケートにおいて好きな作品、視聴者や著名人がインスピレーションを受けた作品として挙げられるなど人気を博している。2015年には、アメリカ合衆国議会図書館によって、アメリカ国立フィルム登録簿に「文化的、歴史的、芸術的に重要な映画」として保存されることが決定した。
あらすじ

1947年、メイン州ポートランド。若くして銀行の課長を務める優秀な銀行員アンドリュー・デュフレーン (アンディ)は、妻とその愛人を射殺した罪に問われる。無実を訴えるも終身刑の判決が下り、劣悪なショーシャンク刑務所への服役が決まる。ショーシャンクでは、長年服役する「調達屋」ことエリス・ボイド・レディング(レッド)が、もう何度目かとなる仮釈放の審査を受け、更生したことを訴えるがやはり却下される。レッドが落胆し部屋を出ると、アンディを含む新しい受刑者達が護送されて来る。アンディら新入り達はノートン所長とハドリー主任刑務官から脅しを含めたショーシャンク刑務所の紹介をされ、その晩に取り乱した一人の新人受刑者がハドリーから過剰暴力を受けて死んでしまう。

孤立していたアンディはやがてレッドに声をかけ、鉱物採集の趣味のため小さなロックハンマーを注文する。それをきっかけにアンディはレッドと交友を重ね始める。他方、アンディは荒くれ者のボグズとその一味に性行為を強要され、抵抗のため常に生傷が絶えない生活が続いた。

1949年、アンディは屋根の修理作業中、ハドリーの遺産相続問題を知り、財務経理の知識を駆使し作業仲間達へのビールと引き換えに解決策を提案する。ビールを手に入れ仲間達から尊敬される一方で、ハドリーら刑務官からも一目置かれるようになる。その後ボグズらがアンディを襲って全治1ヶ月の重傷を負わせるも、彼はハドリーに半殺しにされ、以後、アンディを襲う者はいなくなる。アンディが治療を終え自分の房に戻ってくると、レッドに注文していたリタ・ヘイワースの大判ポスターが退院祝いとして置かれていた。

やがて、アンディは図書係に配置換えとなり、もう50年も服役している老囚人ブルックスの助手となる。だが、その本当の目的は所長や刑務官達の税務処理や資産運用をアンディに行わせるためだった。アンディは有能な銀行家としての手腕を発揮する一方で、名ばかりだった図書係としても精力的に活動を始め、州議会に図書館予算の請求を毎週送るようになる。

1954年、ブルックスに仮釈放の許可が下りるが、50年服役した老人は塀の外の生活への恐れから取り乱す。アンディらに説得され、仮釈放を受け入れるが、結局、外の生活に馴染むことはできず、最期は首を吊って死んでしまう。死の間際に送られた感謝の手紙を読んでアンディとレッドは苛まれる。一方、手紙に根負けした州議会はわずかばかりの寄付金と古書をショーシャンク刑務所に送ってくる。アンディは送られてきた荷物の中に『フィガロの結婚』(第3幕『手紙の二重唱』)のレコードを見つけ、それを勝手に所内放送で流したことで懲罰房送りとなる。その後、仲間達からレコードを流した理由を尋ねられ、アンディは「音楽と希望は誰にも奪えないものだ」と説明するが、レッドは「そんなもの(希望)は塀の中じゃ危険だ」と反論する。

1963年、アンディが州議会にさらに手紙を送り続けた結果、年度毎の予算まで獲得し、倉庫同然だった図書館は囚人達の娯楽と教養を得る場となっていた。その頃所長は、囚人達の社会更生を図るという名目で、彼らを労働力として野外作業をさせ始め、裏ではそのピンハネや土建業者達からの賄賂を受け取り始める。そしてアンディは「ランドール・スティーブンス」という架空の人物を作り出し、その多額の不正蓄財を見事に隠蔽していた。

1965年、新たに入所したコソ泥の青年トミーは、すぐにレッドの仲間達と打ち解け、アンディも彼を気に入る。更生を望むトミーにアンディは文字の読み書きから勉強を教え始め、やがて高校卒業資格を申請するにまで至る。トミーはアンディの過去を知ると、その真犯人に心当たりがあることを話す。別の刑務所にいた囚人が強盗を行った際、その場にいて撃ち殺したのがアンディの妻と愛人だったという自慢話をしていたのだ。アンディは所長に再審請求したいと頼み込むが、優秀な経理担当者であると同時に不正蓄財を知っている彼を自由にさせる気のない所長は、アンディを懲罰房に入れ考えを改めるよう迫る。1ヶ月経っても折れないアンディに業を煮やした所長は、冤罪証明の鍵を握るトミーを脱走を企てたとして射殺してしまう。

トミーの死から1ヶ月後、アンディは再び不正経理を行うことを条件に懲罰房から出される。しかし、アンディの様子はどこかおかしく、メキシコのジワタネホ(英語版)の話をしたり、レッドに要領を得ない伝言を残す。レッドら仲間達はアンディが自殺を考えていると疑い、嵐の晩に心配が募る。

翌朝の点呼の際、アンディが房から消えていることが発覚する。所長やハドリーもアンディの房に向かい、リタ・ヘイワースからマリリン・モンローへ、そしてラクエル・ウェルチへと代替わりしていたポスターの裏の壁に大穴が開いていることを見つけ出す。アンディは約20年間ロックハンマーで壁を掘り続け、ついに1966年、脱獄したのだった。アンディはその足で銀行に向かいスティーブンスに成りすまして所長の不正蓄財を引き出すと同時に告発状を新聞社へ送り、難なくメキシコへ逃亡する。そしてアンディの告発状によってハドリーは逮捕され、所長は拳銃自殺する。

間もなくレッドは服役40年目にしてようやく仮釈放されるが、ブルックスと同様に外の生活に順応できない。ブルックスと同じ悲劇への道を辿りかけるが、レッドはアンディの伝言を信じてメキシコのジワタネホへ向かう。そして、美しく青い海の浜で悠々自適の生活を送るアンディと再会し、喜びの抱擁を交わしたのだった。
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アンディ・デュフレーン(Andy Dufresne) - ティム・ロビンス
1947年に妻とその愛人を殺害した罪で終身刑となった銀行員[5]。当初は誰とも関わらず孤立していたが、レッドにロックハンマーを注文したことで交流を持つ一方で、ボグズら荒くれ者の囚人グループからレイプを迫られ屈辱の2年間を過ごす。1949年にハドリーの遺産相続問題を解決したことでレッドやその仲間たち、そしてハドリーら刑務官たちからも一目置かれるようになる。多くの囚人や刑務官たちとの交流を経て、劣悪なショーシャンク刑務所を内部から変えていく。
エリス・ボイド・“レッド”・レディング(Ellis Boyd "Red" Redding) - モーガン・フリーマン
本作のナレーションも務める、殺人罪で終身刑を受けている古株の囚人[6][7]。煙草やウィスキーなどの嗜好品から日常雑貨まで幅広く入手するため、「調達屋」と呼ばれる。囚人仲間に調達する一方、調達した煙草を刑務官に賄賂として渡したりもしている。アンディが入所した当初から彼に興味を持っており、無二の親友となる。
サミュエル・ノートン(Samuel Norton) - ボブ・ガントン
ショーシャンク刑務所の所長[5]。本性は残酷な守銭奴であり、囚人を刑務所外の労働に従事させ、その報酬をピンハネしている。
ヘイウッド(Heywood) - ウィリアム・サドラー
レッドの仲間で、長期刑を受けている囚人の一人[6][8]。本人曰く「弁護士にハメられて終身刑」とのことだが、真偽及び罪状は不明。アンディが入所したその日、「新入りの誰が最初に泣き出すか」で仲間と賭けを行い、ナーバスになっている巨漢の囚人を脅す。結果、賭けに勝ち煙草を手に入れるが、脅した囚人は取り乱した結果ハドリーに殺されてしまう。
バイロン・ハドリー(Byron Hadley) - クランシー・ブラウン
残忍な看守長[9][10]。囚人たちに威圧的かつ暴力的に接する。アンディが入所した日の晩、取り乱した囚人を警棒で殴打し殺害する。1949年、遺産相続問題を解決したことでアンディに一目置くようになり、アンディを襲っていたボグズを半殺しにする。
トミー・ウィリアムズ(Tommy Williams) - ギル・ベローズ
1965年に強盗罪で投獄された青年の囚人[6][11]。アンディやレッドたちとも早く打ち解け、仲間入りする。これまでにいくつかの刑務所を渡り歩いているが、妻と幼い子供のために更生したいと願っており、その心意気を汲んだアンディに字の読み書きから勉強を教えてもらい、高卒資格を取る。
ブルックス・ヘイトレン(Brooks Hatlen) - ジェームズ・ホイットモア
1900年代初頭から収監されており、図書係を務める老囚人[12]。巣から落ちたカラスの雛を「ジェイク」と名付け育てている。1954年、仮出所が決まるが、刑務所の外の世界への恐怖から取り乱し、ヘイウッドをナイフで刺そうとするがアンディら仲間から説得され、一線を越えずに済む。仮出所するが投獄される前と様変わりした世の中についていけず、心身ともに追い詰められ、最期はショーシャンク刑務所に遺書の手紙を送り、首を吊って自殺してしまう。彼の死後、図書係を引き継いだアンディの尽力によって倉庫同然だった刑務所の図書館はさまざまな蔵書やレコードを有する囚人たちの憩いの場となる。
ボグズ・ダイアモンド(Bogs Diamond) - マーク・ロルストン
「おネエ(the Sisters)[注釈 1]と呼ばれる刑務所内のレイプ魔グループのリーダー[13]。レッドらからも忌み嫌われている。1947年から2年間にわたってアンディを苦しめ続けた。1949年のある日、いつものようにアンディを襲ったところ逆に脅迫され、逆上し全治1ヶ月の重傷を負わせ懲罰防行きとなる。独房に戻ったところ、待ち構えていたハドリーと仲間の刑務官に凄惨なリンチを受け半殺しの目に遭い、医療刑務所に移送された。暴行の結果両脚を潰されて車椅子生活になり、生涯流動食しか食べられなくなってしまった。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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