ショルダーキーボードはシンセサイザーの鍵盤部分をギターのように肩からストラップで吊るして、演奏出来るようにした楽器の総称である。なお、ショルダーキーボードは和製英語であり、ローランドや英語圏ではkeytar(キーター)と呼ばれている。
解説ハービー・ハンコック による演奏
現行のものは大きく分けて、音源一体型と音源を内蔵しないコントローラーのみの機種の二つに分類される。音源部分は一般のシンセサイザー同様にアナログ音源、デジタル音源の機種がある。コントローラーのみの機種では、MIDI信号を発するための鍵盤とスイッチのみが装備される。従って本体のみでは楽器として発音させることはできない。MIDIケーブルにて(トランスミッターでワイヤレス化することも可能)外部に接続するMIDI対応音源モジュールに接続し、そこから発音させる仕組みになっている。なお、廉価版のモデルでは音源とスピーカーを内蔵していて単体で発音出来る製品もある。
基本的にどのモデルもギターの風貌をモチーフにした形状になっていて(一部据え置き兼用モデルもあり、こちらは通常のキーボードと同じ長方形の形状をしていて、グリップ部分がない)、ギターのネックやヘッドにあたる部分(グリップ)に各種エフェクト機能のスイッチ類が装備され、ボディにあたる部分に鍵盤が上向きに装備されている。ストラップもモデルによっては専用ストラップもあるものの、ギターやベースの物を流用することが出来る。ドラマー同様に、通常は定位置に留まっている(大体はステージ後方)のキーボーディストも、ギタリストやベーシストのように縦横無尽にステージを動き回ることが出来るため、過去多くのキーボーディストがキーボードソロが多い曲などで、コンサートや歌番組にて良く使用した。
一時期、どのモデルもメーカーで製造されておらず絶版商品になっていたため、新規に手に入れる場合は中古楽器店、ネットオークションやリサイクルショップなどで探したり、既存のMIDIキーボードを改造して製作する必要があった。しかし、最近では[いつ?]ローランドやコルグで久々にニューモデルが発表されるなど、ショルダーキーボードは再び息を吹き返しつつある。
黎明期には、まだ既製品としてのショルダーキーボードが存在していなかった70年代前半にエドガー・ウィンターがアープ2600用のコントローラーにストラップをつけショルダーキーボードとして使用していた。その後ユートピアに在籍していた元アープ社の社員だったロジャー・パウエル等により、シンセ用コントローラーのショルダーキーボード「プローブ」が開発され、のちにヤン・ハマーが自身が使いやすいようにカスタマイズしたものを使用するようになる。他には日本の電子楽器メーカーのヒルウッドより61鍵のキーボードにストラップをつけ立奏できるよう開発されたRB-1という製品が発売されたり、更に70年代末から80年代に入りクラヴィターやモーグ・リバレーションといったショルダーキーボードが発売され、ハービー・ハンコックやジョージ・デューク等の使用によりショルダーキーボードが一般的にも認知されるようになった。ショルダーキーボードを弾いている女性、韓国にて ショルキーはヤマハの登録商標である[1]。
商標
主なモデル
YAMAHA
CS01
KX1
CS01II
KX5
DX100
SHS-10
SHS-200
VKB-100
SHS-300
SHS-500
ローランド
SH-101
AXIS
AXIS-1
AX-1
AX-7
AX-Synth
Lucina AX-09
AX-Edge
河合楽器製作所 ※他のメーカーとは違い、これらの機種は裏蓋側にストラップピンがある。
SPECTRA KC10
SPECTRA KC20
MIDI KEY MDK61
MIDI KEY II MDK61-2
KORG
RK-100
RK-100S
707
POLY-800
POLY-800II
microKORG + SC-MK1
CASIO
AZ-1
CZ-101
CZ-230
CZ-1000
SA-75 + SI-100 ※ベンド、モジュレーション、MIDI出力なし。
moog
LIBERATION
Lync
LN1
LN4
LN1000
ALESIS
VORTEX
VORTEX Wireless
VORTEX Wireless 2
主立った演奏者と使用機種
国内
深町純 CS01
小室哲哉 KX1・KX5
浅倉大介 KX5
木根尚登 DX100
前田耕陽 KX5
坂本龍一 KX5
松浦雅也 AZ-1・LN4
岡田徹 VORTEX・VORTEX Wireless 2
上田現 KX5
阿部義晴 SHS-200
国分太一 KX5・AX-1
松居慶子 CS01・KX5
ミッキー吉野 RK-100
向谷実 LIBERATION・KX1・KX5
伊東たけし LN1
和泉宏隆 KX5
大高清美 AX-09
中村建治(ナニワエキスプレス) ケンジター(ローランドSYSTEM100Mのコントローラー181にホイールを内蔵したギターのネックをつけた自作機)・KX5・AX-1
西脇辰弥 AXIS-1・AX-Synth
桃井はるこ KX5・AX-1・AX-7・SHS-10・AX-Synth
上田愛美 AX-1・SHS-10
野沢秀行 AX-1
幹てつや SHS-10
木村貴志 LIBERATION・AX-1
難波弘之 Remote Prophet(Prophet-5コントロール専用ショルダーキーボード)・RK-100・AZ-1(アーム付の特注仕様)
厚見玲衣 RK-100
永川敏郎 RK-100の上部にSHS-10を張りつけ2段鍵盤のようにして使用。
三柴理 AXIS・AZ-1・LN4・LN1000
D.I.E. AX-1
今野登茂子 707
丹野義昭 KX5
鈴木大輔 AX-Synth
河合奈保子 SH-101
黒坂優香子 AX-09
オレオレオナ (Gacharic Spin) AX-09
AYANO (Cyntia) RK-100S
H ZETT M RK100S
ポセイドン・石川 AX-Edge
海外
ハービー・ハンコック クラヴィター・AXIS-1・AX-7・AX-Synth・AX-Edge
ジョージ・デューク クラヴィター・KX1・AX-7
チック・コリア KX5
ヤン・ハマー KX5・Jan Hammer SIGNATURE EDITION(Lync LN4の本人用カスタマイズモデル)
パトリース・ラッシェン KX5
ジェフ・ローバー KX1・AX-1
トム・シューマン(スパイロ・ジャイラ)LIBERATION
ハワード・ジョーンズ KX5
トーマス・ドルビー KX5