ショウブ
Acorus calamus
分類
ショウブ(菖蒲、学名: Acorus calamus)は、池、川などに生える多年生の草本で、単子葉植物の一種。APG体系ではショウブ目ショウブ科のショウブ属に属する[注釈 1][4]。ユーラシア大陸から北米大陸の温帯から暖帯に広く分布し、日本を含めて東アジアのものは変種 A. calamus var. angustatusとされる。薬草、漢方薬としても用いられている。アヤメ科のハナショウブと混同されることがあるが、本種は全く別の植物である[5]。 和名ショウブは、漢名の「菖蒲」に基づく[6]。古くは、アヤメグサ(アヤメ草)またアヤメといって[6]、日本最古の和歌集『万葉集』にも登場する[7]。日本でショウブを「菖蒲」と漢字で書き表されるが、中国で正しくは白菖と書き、「菖蒲」については小型の近縁種である「セキショウ」のことを指す漢名になっている[8][5]。 地方などにより別名を、オニゼキショウ(鬼石菖)、フキグサ(葺草)、カラムスコン、アヤメグサ、ソウブ、ノキアヤメ、ブルーフラッグ、カラムス、スイートフラッグなど、様々な呼び名がある[9]。 ユーラシア大陸および北米大陸に広く分布し、日本、朝鮮半島、中国、モンゴル、ロシアの極東・シベリア地域、マレーシア、インドシナ、インド、スリランカ、ヒマラヤのほか、北アメリカまで、北半球の暖帯から温帯に広く帰化する[8][6]。日本では北海道から九州までの水辺に自生する[5]。日本を含めて東アジアのものは変種 A. calamus var. angustatusとされる。池や溝のそばで群生する[6]。 水辺に群生し、草丈は50 - 100センチメートル (cm) になり、全体に芳香がある[8][7]。根茎はよく枝分かれして湿地の泥の中を長く横に這い、径10 - 15ミリメートル (mm) 、節から多数のひげ根が出る[8][5]。地中の根茎の先端から地上へ多数の葉をのばす[5]。葉は明るい緑色で、幅は10 - 20 mm[8]。葉の形はハナショウブに似ており、左右から扁平(へんぺい)で中央脈が高く目立ち、葉先が鋭くとがって、剣のような形をしており[7]、基部は左右に抱き合うように2列に並ぶ[5]。 花期は初夏の5 - 7月頃で、葉のように見える花茎の先に、目立たない黄緑色の棒のような円柱状の肉穂花序が斜め上に出て、細花が一面につき下から咲く[7]。根本の葉の間から延びる花茎は葉と同じ形をしており、肉穂花序の基部には苞が1枚つき、長さは5 pぐらい[6]、葉よりも短く低い位置に花をつけるので、葉の途中から斜めに穂が出たような姿になる[7]。苞の長さは20 - 40 cm、幅は5 - 8 mmある[8]。両性花で、花被片は6個で[6]、倒狭卵形、淡黄緑色をしており、長さは約2 mm[8]。花は小さいため、見た目は花らしくない姿をしている[5]。雄しべは6個で[6]、花被片とほぼ同じ長さの1 - 2 mm、開花時に黄色い葯のみ突き出て、花糸は白色をしている[8]。雌しべは1個で[6]、やや六角形で花被片よりも長く、長さは約2 mmある[8]。 中国では果実が知られていて、大きさ1.2 - 2.5 mmの長楕円形の液果をつける[8]。日本産のものは3倍体であるため果実はみられない[8]。染色体は変異があり2倍体、3倍体、4倍体、異数体がある[8]。 茎葉の全体から芳香があり、端午の節句にショウブ湯として用いられてきた[7]。
名称
分布・生育地
特徴
利用菖蒲湯
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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