シュヴァルツ超函数
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解析学におけるシュワルツ超函数(シュワルツちょうかんすう、: distribution; 分布)あるいは超函数(: generalized function; 広義の函数)は、函数の一般化となる数学的対象である。シュワルツ超函数の概念は、古典的な意味での導函数を持たない函数に対しても微分を可能とする。特に、任意の局所可積分函数は超函数の意味で微分可能である。シュワルツ超函数は偏微分方程式の弱解(広義の解)の定式化に広く用いられる。古典的な意味での解(真の解)が存在しないか構成が非常に困難であるような場合でも、その微分方程式の超函数解はしばしばより容易に求まる。シュワルツ超函数の概念は、多くの問題が自然に解や初期条件がディラック・デルタのような超函数となるような偏微分方程式として定式化される物理学工学においても重要である。

広義の函数としての超函数 (generalized function) は1935年セルゲイ・ソボレフによって導入されたが、その後1940年代になって一貫した超函数論を展開するローラン・シュヴァルツによって再導入される。

超函数(distribution)の拡張の一つとして、佐藤超函数があるとみなすことができる。
目次

1 基本的な考え方

2 テスト函数と超函数

2.1 テスト函数の空間

2.2 シュワルツ超函数

2.3 超函数としての函数


3 超函数に対する演算

3.1 超函数の微分

3.2 滑らかな函数を掛ける

3.3 滑らかな函数との合成


4 超函数の局所化

4.1 制限

4.2 超函数の台


5 緩増加超函数とフーリエ変換

6 畳み込み

6.1 テスト函数と超函数との畳み込み

6.2 コンパクト台付き超函数との畳み込み


7 連続函数の微分としての超函数

7.1 緩増加超函数の場合

7.2 コンパクト台付き超函数の場合

7.3 離散的な台を持つ超函数の場合

7.4 一般の超函数の場合


8 テスト函数として正則函数を用いること

9 乗法の問題

10 関連項目

11 参考文献

12 関連文献

基本的な考え方

基本的な考え方は、函数を適当な「テスト函数」(扱いやすくよい振舞いをする函数)の空間上の抽象線型汎函数と同一視することである。超函数に対する作用・演算は、それをテスト函数へ移行することによって理解することができる。

例えば、f: R → R を局所可積分函数、φ: R → R をコンパクトな台を持つ(すなわちある有界集合の外側で恒等的に 0 となる)滑らかな函数(つまり無限回微分可能な函数)とする。函数 φ が「テスト函数」である。このとき、 ⟨ f , φ ⟩ = ∫ R f φ d x {\displaystyle \left\langle f,\varphi \right\rangle =\int _{\mathbb {R} }f\varphi \,dx}

は φ に関して線型かつ連続に変化する実数である。それゆえに、函数 f を「テスト函数」全体の成すベクトル空間上の連続線型汎函数と看做すことができる。

同様に P が実数全体で定義される確率分布で φ がテスト函数であるとき、 ⟨ P , φ ⟩ = ∫ R φ d P {\displaystyle \left\langle P,\varphi \right\rangle =\int _{\mathbb {R} }\varphi \,dP}

は φ に連続かつ線型に依存する実数であるから、確率分布もまたテスト函数の空間上の連続線型汎函数と看做すことができる。そしてこの「テスト函数の空間上の連続線型汎函数」という概念がシュワルツ超函数の定義として用いられる。

このような超函数に実数を掛けたり、超函数同士を加えたりすることができるから、シュワルツ超函数の全体は実ベクトル空間を形成する。


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