シャープペンシル
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シャープペンシルシャープペンシルの先(芯を出した様子)

シャープペンシル(: mechanical pencil, propelling pencil, clutch pencil, lead pencil / 和製英語: sharp pencil)とは、細い黒鉛の芯を繰り出して用いる機械式筆記具である[1]。略称で「シャープ」、「シャーペン」とも呼ばれ、「シャープペン」の表記も一般に見られる[2][3]
概要
名称

「シャープペンシル」の語源は、1837年頃にアメリカで発売された世界最初の実用シャープペンシルの商標 Eversharp だと言われている[4]。Eversharpが販売されていたアメリカでは、日本でシャープペンシルという呼称が一般化する以前から「Eversharp Pencil(エバーシャープ・ペンシル)」という呼び名があった。明治時代に日本にシャープペンシルが入り「繰り出し鉛筆」と呼ばれていたものが、大正時代に「エバー・レディ・シャープ・ペンシル」という商標の商品が発売されて以降、シャープペンシルという呼称が一般化していった。「エバー・レディ・シャープ・ペンシル」は電機メーカーシャープの社名の語源になっている(詳細は歴史節参照)[5]

シャープペンシルは和製英語である[4]。アメリカ合衆国では mechanical pencil、イギリスでは propelling pencil と言い、また pencil を「黒鉛の芯を使う筆記具の総称」と一括りにし、シャープペンシルを pencil と言うこともある。なお、英語でsharp pencilと言うと、とがった鉛筆の意味となる。
形態

鉛筆とよく似た黒鉛主体の芯を用いるが、本体と芯が分離され、更に細い芯が利用され、内部に芯の補充や備蓄が可能であり、鉛筆の代替品として広く用いられる。その構造上、シャープペンシルは単体で芯の繰り出しができ、鉛筆のように芯の先端が極端に丸く(太く)鈍ったり、鉛筆削りを使ったりする必要がない。一方で芯ホルダーと呼ばれるものなど、鉛筆に近い(あるいは更に太い)芯径を持つものもあり、これらでは芯研器も利用される。

万年筆やボールペンを製造しているメーカーの多くは同じデザインでシャープペンシルを販売することもある。
歴史
古典的シャープペンシルモーダンのシャープペンシル

確認される最古のシャープペンシルは、1791年に沈没したHMSパンドラから見つかった[6]。実際の発明はこれより前に遡ると考えられる。

1822年イギリスジョン・アイザック・ホーキンスとサンプソン・モーダン(英語版)が繰出式のシャープペンシルを発明し、特許を出願した[7][8]。サンプソン・モーダン社のシャープペンシルは純銀や金によって作られ軸の後端には宝石や貴石が嵌め込まれ、そこに封蝋に印をつけるための家紋やイニシャルを彫り込むことができた[9]

1837年または1838年アメリカ合衆国のキーランが繰出式のシャープペンシルをエバーシャープの名で発売したといわれている[7][10]。エバーシャープ(英語版)を作ったキーランと呼ばれる著名なアメリカの発明家は後年にもおり、チャールズ・ルード・キーラン(英語版)が1910年代に同名のブランドでシャープペンシルを発売、0.046in径(約1.17mm)芯のものを開発している[11][12]

ユダヤ系クロアチア人のスラボリューブ・ペンカーラ(英語版)は、1906年にオートマチックペンシルと名づけたシャープペンシルを発明し[13]1907年には世界初の固体インクの万年筆を発明した[14]ことにより、シャープペンシルの父の一人と考えられている。

日本では、1870年代後半にアメリカ製やドイツ製のシャープペンシルが輸入されるようになり、これを手本としたものが東京の錺(金属細工)職人らによって手工業で作られ始める[15][8]。1900年代初めには機械が導入され、1920年代には軸が樹脂で作られるようになり、外国にも輸出された。早くは1886年に2件の特許が出願され(特許第299号、特許第433号)、その後数多くの特許が出願されている。当時使われていた機構はドロップ式(芯ホルダー)や押出式、繰出式(スクリュー式)であった。

1915年、錺職人であった早川徳次(のちのシャープ創業者)が、繰出鉛筆の金具を受注したことに始まり、自ら金属製繰出式シャープペンシルを発明、「早川式繰出鉛筆」[16]として実用新案を取得した。これ以前の繰出鉛筆はセルロイド製であり、壊れやすく実用的ではなかったが、早川式繰出鉛筆は美しく丈夫な金属軸であり、やがて輸出用にも人気を得た。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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