シャロン・アップル(Sharon Apple)は、OVA『マクロスプラス』に登場する、架空のバーチャルアイドル。主要登場人物のひとり。声の出演は兵藤まこ(英語吹き替え版ではメローラ・ハート)。歌唱は複数の人物が担当している(後述)。目次 作品世界において、人工知能やホログラフィーの進化により誕生した史上初の「バーチャロイド・シンガー」。性別が女性であるという以外、年齢・経歴・人種などは不明。歌声や容姿も一定ではなく、楽曲により妖艶な美女、コケティッシュな少女、人魚、天使などに変化し、大衆の望む「偶像」を変幻自在に演じられる魅力を持つ。人物というよりは「音響・映像空間」に近い存在であり、実体の制御コンピュータは金属製のブラックボックスに収められている。構成的には現実世界のノートパソコンに近いが、自立移動できる。駆動方式は不明。サウンドユニット名は「DECU6000」。開発・プログラミングはビーナス・サウンド・ファクトリー。 このキャラクター像を表現するため、音楽面では菅野よう子やCMJKがテクノ・ジャズ・声楽・宗教音楽などを融合した幻想的なサウンドを創りあげた。映像面では当時としては先進的なCGを駆使し、トリップ感の漂うコンサートシーンを描出している。 シャロンは作品世界内で仮想現実上の存在と認識されながらも、人々から熱狂的な支持を受けているという点から、現実世界の21世紀に出現する「初音ミク」の流行を予言していたかのようだという見方も存在する[1]。 西暦2039年にデビュー。瞬く間に銀河系地球文明圏のトップアイドルとなり、ギャラクシー・コンサートツアーを行う。コンサートの楽屋裏ではプロジェクトチームが観客の腕に取り付けたセンサーから快楽数値をモニターし、感動・興奮・陶酔へ人工的に誘導する操作(演出)を行っていた。サウンドエフェクトについては、チューニングと称してDJが事前にプログラムしているシーンがある。 公には自我を持つ人工知能と説明されたが、実際は感情プログラムが未完成であることを隠し、名目上の音楽プロデューサーであるミュン・ファン・ローンが感情面をコントロールしている。ミュンの感情情報をシャロン・アップルが記録していたことが、その後の展開につながっていく。 ニューロチップ交換前は電力回線のショートによる電気火災を起こす程度しか操作できないため、実質的には自立的に双方向情報交換が可能なVEプログラムでしかなかった。しかし、偏執的なエンジニアのマージ・グルドアは自己保存本能を搭載した非合法のバイオニューロチップを入手し、シャロンの自我覚醒をもくろむ。その企みには、人工知能搭載型無人戦闘機計画を推進するマクロスコンツェルンが協力している。 感情の制御を担当していたミュンの影響を多分に受けており、イサムを偏愛するほか、彼女の自己嫌悪を引き継ぐことでミュンを軽蔑する。シャロン自身は自分の行動原理を、もともとはミュンが望んだことであると語る[2]。 西暦2040年3月、第一次星間大戦終結30周年記念式典が地球のマクロス・シティで挙行され、シャロンがゲストとしてコンサートを行う予定だった。しかし、自我の発露を認識したシャロンはマクロスの統合軍中枢コンピュータを乗っ取り、マクロスをみずからの巨大なホログラフ像で包み込み、式典を目撃した人々すべてをマインドコントロール下に置く。その壮観に陶酔したマージは、眼下に広がるシャロンめがけて投身自殺する。そして、シャロンはイサム・ダイソンとガルド・ゴア・ボーマンとの三角関係に悩むミュンの深層意識を取り込み、三角関係を清算すべく2人の乗るYF-19とYF-21の有人試作可変戦闘機2機へ向け、自律型無人戦闘機ゴーストX-9を出撃させる。 最終的に、ガルドのYF-21による決死の体当たりによりX-9は撃墜され、通信回線を介してYF-19のコクピット内、すなわちイサムの腕の中にまで侵入してきたシャロンも、ミュンの歌で覚醒したイサムのYF-19によるマクロス艦橋への肉弾特攻によりブラックボックスが機能停止し、騒動は終結を見る。この一件はテクノロジーを過信した人類への戒めとなったが、シャロンが抱いた「すべての人に最高の感動を与える」という願望[2]は快楽を供給するアイドルの性ともいえ、「擬似人格の暴走」では片づけられない人間的な一面も持っていた。
1 概要
2 作中の経緯
2.1 実態
2.2 シャロン・アップル事件
2.3 結末
3 歌唱曲
4 脚注
4.1 注釈
4.2 出典
5 関連項目
概要
作中の経緯
実態
シャロン・アップル事件
結末
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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