シャノン(HMS Shannon)は、イギリス海軍の装甲帯巡洋艦(Belted cruiser)。同海軍初の装甲巡洋艦と称される[1][2]。 クリミア戦争の戦訓を踏まえて、フランス海軍が1859年に進水させた「ラ・グロワール」と、これに対抗してイギリス海軍が1860年に進水させた「ウォーリア」により、世界の海軍は装甲艦の時代に突入した。フランス海軍は、主力艦としての装甲艦と並行して、アルマ級
来歴
イギリス海軍でも、1867-68年度でオーディシャス級(英語版)、1868-69年度でスウィフトシュア級(英語版)と、遣外任務を想定した2等装甲艦が建造されてはいた。しかしゴッシェン海軍大臣は、結局のところ、これらも遣外任務に充当するには高価すぎると看做していた[3]。
1871年、イギリス海軍は、艦型調査委員会を設置し、蒸気機関と装甲の時代の到来に対応した艦艇設計の検討に入った。この検討の結果、新しい軍艦として必要な「強大な火力」「厚い装甲」「高速性能」「浅い吃水」を同じ艦で充足することは困難と結論されたことから、複数種類の艦で補完しあうコンセプトが採択された。装甲艦は重砲の搭載によって航洋性の低下が避けられないことから、これを補完するため、適度な火力と防御力を兼ね備えた海外警備用巡洋艦を建造することとなった[4]。これに応じて、1873-74年度計画で建造されたのが本艦である[3]。
設計艦の全般配置図
上記の経緯より、本艦は基本的に装甲艦に準じた設計となっており、L/B比も装甲艦並みの4.8であった。船型は平甲板型、艦首水面下には衝角をもつ[5]。防御甲板に加えて、艦全長の4分の3に渡って幅の狭い水線装甲を装着した。同部の装甲厚は152 - 229mmで、250 - 330mmの背材を装着した。また隔壁は203 - 229mm、甲板は38 - 76mmであったほか[2]、竣工直後の改修の際に、装甲厚229mmの司令塔が設置された[1]。
主機としては、レアード式の横置き型複式レシプロ蒸気機関[6](水平還動機関, HRCR)が採用された[1]。