この項目では、動物について説明しています。その他の用法については「シャチ (曖昧さ回避)」をご覧ください。
シャチ
シャチ Orcinus orca
保全状況評価[1]
DATA DEFICIENT
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
シャチ(鯱、学名: Orcinus orca)は、哺乳綱鯨偶蹄目マイルカ科シャチ属の海獣[2]である。 日本列島では伝説上の生物「鯱」にちなんだ「シャチ」という標準和名の他にも、「サカマタ」[注釈 1][2]と「タカマツ」[注釈 2][3][4]を筆頭に、「シャチホコ」「シャカマ」「タカ」「クジラトウシ」「クロトンボ」「オキノカンヌシ」など多様な別名が存在した[5]。 海洋における食物連鎖の頂点に立ち肉食性が強いことから、英語では「killer whale[注釈 3]」とも呼ばれるほか、種小名の「オルカ」、「グランパス」、「ブラックフィッシュ」などの呼び名も存在する。 アイヌ語での名称は「レプンカムイ[注釈 4]」のほかに、「アトゥイコロカムイ[注釈 5]」「カムイフンペ[注釈 6]」「イコイキカムイ[注釈 7]」などがある。樺太の方言では「レポルン(タ)カムイ[注釈 8]」「トマリコロカムイ[注釈 9]」「チオハヤク[注釈 10]」「カムイチ?[注釈 11]」とも呼ばれる。礼文地方では「イコイキフンペ[注釈 12]」「モハチャンク?[注釈 13]」「シハチャンク?[注釈 14]」「イモンカヌカルク?[注釈 15]」「カムイオッテナ[注釈 16]」といった名称があり、幌別地方では「トミンカ?カムイ[注釈 17]」「カムインカ?ク?[注釈 18]」「イソヤンケク?[注釈 19]」「カムイラメト?[注釈 20]」といった名称がある。これらのアイヌ語名のうち、「イコイキカムイ[注釈 21]」「イコイキフンペ[注釈 22]」「イソヤンケク?[注釈 23]」については、後述の「狩り」に由来する名称である[6]。 中国語では、「虎鯨」「殺手鯨」「殺人鯨」などの表記が存在する[7]。 シャチ属に属するのはシャチ1種のみである。 体の大きさでは小型のクジラに分類される。もちろん、体の大きさでクジラとイルカを分けるのは系統的ではなく、系統的には同じく小型のクジラであるゴンドウ類と共にイルカ系統の内部に位置し、最も近縁なカワゴンドウと共にマイルカ科シャチ亜科 マイルカ上科
名称
分類と系統
シャチ亜科
シャチ
ゴンドウ亜科(その他のゴンドウ)
マイルカ科のイルカ
ゴンドウとは近縁で、現在はゴンドウの一種とはされないが、歴史的にはゴンドウと呼ばれることもあった[9]。
尚、現在では一種とされるシャチであるが、複数の種に分割する見解もある(特徴を参照)。 マイルカ科の仲間では最大の種であり、平均ではオスの体長は5.8 - 6.7メートル、メスの体長は4.9 - 5.8メートル、オスの体重は3,628 - 5,442キログラム、メスの体重は1,361 - 3,628キログラム。最大級のオスでは体長は9.8メートル、体重は10トンに達する[10]。 背面は黒、腹面は白色で、両目の上方にアイパッチと呼ばれる白い模様がある。生後間もない個体では、白色部分が薄い茶色やオレンジ色を帯びている。この体色は、群れで行動するときに仲間同士で位置を確認したり、獲物に進行方向を誤認させたり、自身の体を大きく見せたりする効果があると言われている。大きな背びれを持ち、オスのものは最大で2メートルに達する。 背びれの根元にサドルパッチと呼ばれる灰色の模様があり、個々の模様や背びれの形状は一頭ずつ異なるため、これを個体識別の材料とすることができる。 長さ8 - 13センチメートル[11]の円錐状の鋭い歯が上下の顎に計44 - 48本並んでいる。
特徴