シフト勤務
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「遅番」はこの項目へ転送されています。日本のバンド「グループ魂」の準レギュラーメンバーの遅番については「少路勇介」をご覧ください。

シフト表の例(週単位)曜日日月火水木金土○勤△勤▽勤
WA○○○○○○-6--
WB○○▽▽▽--2-3
社員A--△△○▽▽122
社員B▽▽--△△○122
社員C○△○--○△32-
新人1○○○○○--5--
新人2--○○○○○5--
○:通常勤務(  時  分?  時  分)
△:早番(  時  分?  時  分)
▽:遅番(  時  分?  時  分)

シフト勤務(シフトきんむ、Shift work)、勤務シフトとは、勤務時間がある特定の1種類に固定されず、日ごと或いは一定の期間ごとに、複数の勤務時間を移動する形態の勤務のこと。単にシフトということもある。

人間には睡眠や休憩が不可欠であり、1人が一定期間に働ける時間には限界がある。例えば日本の労働基準法では、1週間について40時間を超えて労働させてはならず、原則として休憩時間を除き1日について8時間を超えて労働させてはならないとされている。一方で、警察、警備、病院、コンビニやインフラなどでは常時店舗・会社・施設等に人員を配置する必要があり、あるいはスーパーのレジなど繁忙時間に多くの人員を配置する必要がある。毎週決まった曜日にセールをするような店であればその曜日だけ人員を増やす必要がある。各人の労働日あるいは労働時間をずらすことでこの問題を解決する方法が取られることが多く、これを「シフト勤務」と呼んでいる。

一般の勤務と異なるので、各人の労働時間、一月や週単位の勤務日時を管理者・勤務者にわかりやすく明示するために、シフト表というものを使う場合がある。このシフト表を使うことにより、各曜日の日中や夜間にどの種類の業務を何人の人員で従事出来るかわかりやすく明示することが出来る。また、このようなシフト表の作成を支援するソフトウェアも多々見受けられる。
健康への影響12時間夜勤シフトに向かう児童(1908年、米国)

シフト勤務は様々な疾患リスクを上昇させる。シフト勤務睡眠障害(英語版)とは、不眠症、過眠症、またはその両方を特徴とする概日リズム睡眠障害であり、シフト勤務はこの疾患の主要な診断要素である[1]。さらに2型糖尿病リスクも増加し、とりわけ男性に多い。ローテーション勤務従事者は、そうでない人よりも脆弱である[2]

女性の夜勤シフト者においては、乳がん発症リスクが48%増加する[3][4]。これは概日リズムの変化のため、夜間分泌されるメラトニンの生産が阻害されることが原因とされている[4]

WHOによるIARC(国際がん研究機関)では、「サーカディアン・リズムを崩すシフト勤務」をグループ2A(ヒトに対する発癌性がおそらくあるもの)と2010年に報告している。主に前立腺がん乳がんのリスクを高める可能性があるとしている[5][6][7] 。シフト勤務はほかの種類のがん発症リスクを増加させる[8]

またシフト勤務は、群発頭痛[9]心臓発作[10]疲労ストレス性的不全[11]抑うつ[12]認知症肥満[1]、代謝障害、消化器障害、筋骨格障害、生殖器障害[3] の発生リスクを増加させる。

シフト勤務はまた慢性疾患を悪化させ、それには睡眠障害、消化器疾患、心臓病、高血圧、てんかん、精神障害、薬物乱用、喘息などがあり、さらにその他概日リズム改善により治療される健康状態も含まれる[3]。人工照明はホメオスタシスを阻害しうる[13] 。さらにシフト勤務は喫煙リスクを増加させる[3]。2014年の英誌「Occupational and Environmental Medicine」に発表された研究によれば、シフト勤務を10年続けた人と慢性的な認知機能障害の関連性が強いとのデータが得られたという[14]

シフト勤務の健康への影響はクロノタイプに依存し、これは労働者がどの日勤・夜勤に割り当てられるかという表である。個々のクロノタイプがシフトタイミングと反対になる場合(たとえば日勤から夜勤へ移動)、概日リズムが阻害されるリスクが高くなる[15]

異なるシフトスケジュールは、シフト勤務者の健康にさまざまな影響を与える。シフトパターンの設計は、勤務者の睡眠、食事、休憩の取り方に影響する。シフトパターンの中には、休息を制限したり、ストレスを増やしたり、勤務者の過労を助長したり、休息中断させたり、疲労を悪化させるものも存在する[16]

交代勤務で働く男性の前立腺がんになる危険性が、日勤のみ働く男性に比べて3.5倍、心筋梗塞になる危険性が日勤のみ働く男性に比べて2.8倍あるといわれている。又、交代勤務で働いている人達には喫煙者が多い傾向があり、健康上のリスクはかなり大きい。
予防

特に深夜にかかる交代制勤務の場合、労働者の健康のため次のような配慮をしている企業も存在する。ルーテンフランツ原則も参照。

深夜勤務の回数をなるべく減らす。

変則的な出勤、退社時刻の設定をなるべく避ける。やむをえない場合は合間に充分な休日を確保する。

勤務と勤務の間の自宅での休養時間を十分取れるように勤務割を工夫し、深夜・早朝の帰宅の便を確保する。

待機時間には充分な休養が取れるような設備を準備する。

万一の場合にも十分な対処ができるような管理・設備の応急処置体制・危機管理体制を確立する。

6ヶ月以内に一度、健康診断を行い、心身の病気の早期発見に努める。異常の所見が認められた者には、面接指導の上、勤務上の配慮を行う。

24時間勤務の後には最低でも24時間の休暇をおく。

正常に働けない場合は従業員の一定期間の登録抹消も検討する。

規制

シフト勤務が労働安全衛生に及ぼす害を軽減するために、多くの国は法的規制を設けている。世界的には国際労働機関の条約(夜業に関する条約 1990年 第171号条約)で夜業に関する労働条件が定められている(日本は未批准)。
欧州連合

欧州連合労働時間指令(2003/88/EC)においては労働時間の週48時間規制(これは残業を含む)が規定され、さらに24時間サイクルにおいて連続する11時間の休憩、1週間サイクルにおいて連続する24時間の強制休憩を定めている[17][18]。 EU指令では、「特別な危険、重度の肉体的、精神的緊張」を伴う夜間作業は、24時間において平均8時間までに制限している[17][18]。またEU指令では規制からの適応除外を認めており、特別規定によって運輸業、オフショアワーカー、漁船従事者、研修医などに適用される[18]
日本「深夜業」も参照

かつては一部[注 1] を除き、女性を深夜の時間帯に係る交代勤務に従事させることができなかったが(改正前の労働基準法第64条の3)、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(男女雇用機会均等法)等の改正を受けた1999年(平成11年)の労働基準法の改正法施行により、女性の深夜勤務が可能となり、多くの職種に女性の進出が進んでいる。

勤務形態は労働条件の最も基本的なものであるため、会社(使用者)側は就業規則にその内容や手続きを明らかにしなければならない。特に法定の1日8時間、週40時間を越える労働時間を超えて勤務体制を組む必要がある場合は、変形労働時間制を採用する、労使間で合意された三六協定を所轄労働基準監督署長に届けてその内容を遵守する、等の措置が必要である。
シフトプラン

勤務のことを「直」と呼ぶ場合が多く、勤務体制により次のように呼ばれる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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