シダレザクラ(枝垂桜、学名:Cerasus itosakura ‘Pendula’ Maxim[1](シノニム:Cerasus itosakura (Sieb.) Masam. & Suzuki f. itosakura ; Cerasus spachiana ‘itosakura‘;Cerasus spachiana ‘Pendula’[2] ; Prunus itosakura Sieb. ; Prunus pendula Maxim. ; Cerasus spachiana Lav. ex Otto)は、バラ科サクラ属の植物の一種で、広義では枝がやわらかく枝垂れるサクラの総称で、狭義では特定のエドヒガン系統の枝垂れ性の栽培品種[3]。 シダレザクラは広義では枝がやわらかく枝垂れるサクラの総称。野生種(species)のエドヒガンから生まれた栽培品種の狭義のシダレザクラ (Cerasus itosakura (もしくはspachiana) ‘Pendula’[2])やベニシダレ 樹高は8 m以上に育つ高木、花は一重咲きの小輪で淡紅色、東京基準の花期は3月中旬である。枝垂れる以外の特徴はエドヒガンと同じで個体により変異がある[2]。個体ごとに変異があるのは、シダレザクラには遺伝情報が違う複数のクローンがあるからであり、複数のクローンがある原因は、接ぎ木や挿し木のほかにも他の個体と交雑した種子でも増殖され、その後に各個体の形態が似ていたことから別々の栽培品種として区別されず、一つのシダレザクラという栽培品種として認識されたことによるものと考えられている[8]。 既に平安時代には「しだり櫻」や「糸櫻」などが存在したことが当時の文献に記録されており、これは狭義のシダレザクラの祖先であったと考えられる。また、広義のシダレザクラであるカスミザクラの品種 (form)のキリフリザクラやオオヤマザクラの品種のシダレオオヤマザクラは野生での自生が確認されているが、狭義のシダレザクラには野生での自生木は発見されていない。さらに全国の狭義のシダレザクラには複数のクローンがあるとはいえそれぞれが遺伝的に近縁であり、日本各地に狭義のシダレザクラの古木が存在することから、狭義のシダレザクラは平安時代には既に種子により増殖されて栽培化されていて、それらの樹々が全国に広まったと考えられている[9]。
広義のシダレザクラ
狭義のシダレザクラ
同左
ベニシダレ(三春滝桜の子孫樹)
ベニシダレ(同左)
ヤエベニシダレ
同左
ウジョウシダレ
2020年に日本花の会より「極めて優秀[7]」な新品種として認定されたカミヤマシダレザクラの幼木
狭義のシダレザクラ
広義のシダレザクラのギャラリー
乙姫桜(福島県白河市)
吉田のしだれ桜
慈雲寺のイトザクラ
紅枝垂地蔵桜
六義園の夜の枝垂桜
シダレザクラの実
出典^ a b 勝木俊雄 2017, p. 97.
^ a b c d “枝垂桜