シグルイ
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シグルイ
ジャンル
時代劇
漫画
原作・原案など南條範夫
作画山口貴由
出版社秋田書店
掲載誌チャンピオンRED
レーベルチャンピオンREDコミックス
秋田文庫
発表号2003年8月号 - 2010年9月号
巻数全15巻
全7巻(秋田文庫版)
話数全84話
アニメ
原作南條範夫
監督浜崎博嗣
シリーズ構成水上清資
脚本水上清資
キャラクターデザイン筱雅律
音楽吉田潔
アニメーション制作マッドハウス
製作シグルイ製作委員会
放送局WOWOW
放送期間2007年7月19日 - 10月12日
話数全12話
その他R-15指定
テンプレート - ノート
プロジェクト漫画アニメ
ポータル漫画アニメ

『シグルイ』は、原作:南條範夫・作画:山口貴由による日本時代劇漫画である。題字は平田弘史による。秋田書店の月刊漫画雑誌『チャンピオンRED』に、2003年8月号から2010年9月号まで連載されていた。単行本はチャンピオンREDコミックスが全15巻、2013年から秋田文庫版全7巻が刊行された。

題名の「シグルイ」は、武士道の真髄を説いたと言われる書物『葉隠』の一節、「武士道は死狂ひなり。一人の殺害を数十人して仕かぬるもの」(武士道は死に狂いである。一人を殺すのに数十人がかりでかなわないこともある)に由来する。

アニメ化もされ、WOWOWスクランブル枠で放送された。
概要

本作は、南條範夫時代小説駿河城御前試合』の第一話「無明逆流れ」を中心に展開されているが、山口貴由による奔放な脚色がなされており[注 1]、ほとんど別物に近い作品となっている[注 2]

ストーリーの途中に、『駿河城御前試合』の他短編の物語を挿話としたり、他短編の主要人物が「無明逆流れ」の登場人物と関連を持ったりするような構成を取っている。また人物が共通する『武魂絵巻』のエピソードも織り交ぜられている。

単行本あらすじでは本作品を「惨酷無惨時代劇」と紹介している。劇画調のリアルな絵柄で、身体欠損や臓物がこぼれ落ちる過激な描写が多い。

山口は連載開始当初、第一試合以外も描くと宣言していたが、第一試合決着で完結となった。この分はシグルイの『無明逆流れ編』とされている。後年、山口は別作品『衛府の七忍』にて、本作品の登場人物をリファインさせたキャラクターを登場させている。

公式完全解説書として『シグルイ奥義秘伝書』がある。だが連載途中・完結前に刊行されたため、内容を網羅していない。
原作について

南條の『駿河城御前試合』は、駿府藩主・徳川忠長の御前で催された十一番勝負を描いた連作短編である。原作『駿河城御前試合』は長く絶版となっていたが、『シグルイ』の発表後、復刊ドットコムでの復刊リクエスト投票が成って、2005年10月6日に徳間文庫から復刊された。復刊された徳間文庫版の表紙には『シグルイ』第1話の画が採用されている。

原作小説の漫画版は、平田弘史が1966年に小説のエピソードを抜粋した『駿府凄絶大仕合』(芸文コミックス、後にレジェンドコミックシリーズより復刊)を手がけている。ただし平田版では「無明逆流れ」の話は収録されていない。「無明逆流れ」の漫画版としては、『シグルイ』以外にも、平田の弟である臣新蔵(現とみ新蔵)が、南條範夫原作の「戦国無惨伝シリーズ」の中で漫画化している(無明逆流れを参照)。また、森秀樹の作画により、『腕 -駿河城御前試合-』が描かれており、第1話「無明逆流れ」が『戦国武将列伝』(リイド社)の2011年2月号に掲載された。

1963年には「無明逆流れ」が『対決』の題名で映画化されている[1]
あらすじについて

寛永6年9月24日、駿府城内で御前試合が行われることとなった。御前試合は、慣例として木剣を使用することになっているが、周囲が諌めたにもかかわらず、駿河大納言・徳川忠長の命により、今回は真剣を用いることが決定され、剣士達による凄惨な殺し合いが幕を開ける。その第一試合、隻腕の剣士・藤木源之助の前に現れた相手は、盲目・跛足の剣士、伊良子清玄だった。まともな試合ができるかどうか危ぶむ周囲の心配をよそに、伊良子は奇妙な構えを取る。刀を杖のように地面に突き刺して足の指で挟み、体を横に大きくのけ反らせるように捻るという構えに群衆が唖然とする中、対する藤木はまったく動じることなく刀を抜き放ち大きく構える。両剣士には浅からぬ因縁があった。

7年前のある夏の日。「濃尾無双」と謳われた剣豪・岩本虎眼が掛川に開いた「虎眼流」の道場に、伊良子が道場破りとして訪れる。伊良子は相手を務めた藤木を骨子術によって破るが、次に相対した師範の牛股権左衛門に追い詰められ、降参し入門を希望する。以降、入門を認められた伊良子は、牛股・藤木とともに虎眼流の「一虎双龍」と呼ばれることになる。腕を上げた伊良子は道場随一の剣士となり、虎眼流の後継者と目されていた。しかし、虎眼の情婦であるいくとの密通を虎眼に気づかれ、呼び出された伊良子は、虎眼の「流れ星」によって両目を斬られ、いくと共に放逐される。

3年後。掛川は忠長の領地となる。隆盛を極めていた虎眼流であったが、門弟が闇討ちされ、道場に首を晒されるという事件が発生する。高弟たちは犯人の捜索をするが、その中で高弟たちも同じ手口で殺害される。犯人は虎眼流への復讐を進める伊良子と判明するが、数日後に伊良子の策により分断された虎眼流の面々は刺客の襲撃を受ける。藤木と牛股は刺客を返り討ちにするが、虎眼は秘剣「無明逆流れ」を編み出した伊良子に斬られ、濃尾無双の伝説はここに幕を閉じた。

仇討を決意する藤木と牛股は逆流れを破るべく研鑽を続け、三重と共に師の無念を晴らそうとする。家老・孕石備前守の協力を得て、伊良子と藤木の果し合いの場が設けられるが、藤木は秘剣「無明逆流れ」に敗れて片腕を切り落とされ、牛股もまた伊良子に斬られる。意に沿わず生き延びた藤木だが、徳川忠長の命により自死も許されず、御前試合での再戦となった。

御前試合の場で、藤木は振り上げた刀を試合を見守るいくの眼前へ投げることで、「無明逆流れ」に空を斬らせるとともに、脇差を抜いて伊良子の懐に飛び込み、その胴を両断した。死闘を演じながらも互いを理解し合った藤木と伊良子であったが、忠長は伊良子を狼藉者とし、藤木に首を斬らせ晒すことを命ずる。己の意に反して伊良子の斬首を実行した藤木が自陣に戻って目撃したのは、自死を選んだ三重の遺体であった。
登場人物について

人物名下の「声 - 」はテレビアニメ版における声の出演者。
虎眼流関係者
藤木源之助(ふじき げんのすけ)
声 -
浪川大輔本編の主人公。道場では牛股師範に次ぐ腕前を誇る、虎眼流の師範代。実直な青年で、年のころは原作によれば御前試合時点で27 - 28歳。勘も鋭く、わずかな閃きから「流れ星」の骨子となる技法を編み出した。素手の実力も相当なもの。才を持つ伊良子を討つため凄まじいまでの努力を重ね、遂には自らも怪物と化す執念の剣鬼。幼少時から非常に寡黙であり、両親からは障害があるものと軽んじられていたが、強い意志と矜持、そして並外れた膂力を持ち、年相応の情熱も秘めた若者である。剣の道を追求する姿勢はストイックで、「痛くなければ覚えない」と他の門弟にも容赦は無く、それは相手の身分や年齢を考慮することもない苛烈なものである。過去に道場破りに来た伊良子に敗北したことに固執しており、再戦すればただでは済まないと牛股から禁じられていた。元は百姓の子だったが、没落武士の子を殺め、両親に殺されかけた際に虎眼に拾われ、士の身分になった。そのため虎眼へ忠義は異常なものがある。心から三重を慕い、武士として「三重様=お家を守る」という忠義もあるが、ときに両立せず苦悩する。己を殺して士を貫く行動をとるとき、彼は鼻血を流す。さらに三重からは傀儡とみられる。虎眼流を相続した後、伊良子との果たし合い(仇討)に一度は敗北し左腕も剣名も失うが、鍛錬の果て、元から並々ならぬもののあった腕力をさらに磨き上げた結果、改め役に「腕一本分の働きは十分にする」とまで言わしめるほどの筋力を携えて駿河城御前試合の場で伊良子と再戦。憎しみを超えた感情を抱きながらも、ある奇策を用いて、宿命に決着を付ける。しかしその果てに得た物はあまりにも無惨な結末だった。作者の山口は自身と藤木が同調していた旨を語っており、自身の心境と藤木の活動が互いに影響しあったという[2]。技:虎眼流の技全て、鍔迫り。虎にたとえられ、龍として描写される。最終的な武器は、虎殺七丁念仏と小刀の二本差。
伊良子清玄(いらこ せいげん)
声 - 佐々木望藤木の対となるもう1人の主人公。原作によれば御前試合時点で30歳余り。周囲の人間を利用し、高い身分に昇り詰めようとする野心家。天賦の才で虎眼流の秘技を軽々と身につけ、藤木と並び跡目候補の1人と目されていたが、虎眼の愛妾いくとの密通が露見し、仕置きを受けて盲目となり、追放された。その後は検校のもとに身を寄せ、虎眼流への復讐を行う。独自の剣術「無明逆流れ」を編み出し、虎眼流の高弟達を血祭りに上げていく。母が夜鷹(下級の売春婦)という下層の生まれのため、己の出自に対するコンプレックスが強く、異常な出世欲の元となっている。「伊良子清玄」は元々の名前ではなく、かつて江戸で弟子入りしていた医師の名前を盗んだものである。なお虎眼流内では、江戸出身で染物屋の勘当息子という嘘の来歴を語っていた模様。過去に虎眼流の高弟達が自身の知る身分だけの侍とは違うと気づき、仲間意識を抱いたが、藤木のある一言を誤解して深い恨みを抱く[注 3]。その一方で藤木の実力は誰よりも高く評価しており、主君である忠長が飼育していた狒々を「猿回しの猿」と評し、比較対象であった藤木を「虎の中の虎」とさえ述べるなど、歪んだ友情を抱いている。仕官のち仇討にて藤木に勝利、剣名を上げ出世街道を進むが、駿河城御前試合にて藤木と再戦。いくの見えない援護を受けながら無明逆流れで藤木に挑むが、藤木の奇策で初太刀をかわされ敗れる。技:無明逆流れ、流れ星(両目を斬られた代償に盗んだもの)、骨子術、その他虎眼流の技全て。瞳亡き龍として描写される。最終的な武器は、天下人の剣「一(いちのじ)」。
岩本虎眼(いわもと こがん)
声 - 加藤精三(老境時) / 矢尾一樹(壮年時)岩本家当主であり虎眼流の開祖。「濃尾無双」と謳われた剣の達人。「流れ」や「流れ星」などの技を独自に編み出し、右手の指が1本多いという多指症を駆使した精妙な剣さばきを得意とする。


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