シェールガス
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オイルシェールを熱分解することで発生するガスについては「オイルシェールガス」をご覧ください。
シェールガスの賦存(黒色部分)。シェールガスを含む頁岩層 (Gas-rich shale) に水平にパイプを入れ、高水圧で人工的に割れ目をつくり、ガスを採取する。米エネルギー情報局 (EIA) による主なシェールガス層の分布図。

シェールガス(英語: shale gas)は、頁岩(シェール)から採取される天然ガス(天然気)。元は太古の海にいたプランクトンや藻などであり、それらが堆積したものが数千万年から数億年という長い時間をかけて変化しガスになったもので、化石燃料の一種である。

従来のガス田ではない場所から生産されることから、非在来型[1]天然ガス資源と呼ばれる。頁岩気(けつがんき)ともいう。

アメリカ合衆国では1990年代から新しい天然ガス資源として重要視されるようになった。また、カナダヨーロッパアジアオーストラリアの潜在的シェールガス資源も注目され、2020年までに北米の天然ガス生産量のおよそ半分はシェールガスになると予想する研究者もいる[2]。別の研究者は、シェールガス開発により世界エネルギー供給量が大きく拡大すると予想している[3]ライス大学ベイカー研究所(英語版)の研究では、アメリカとカナダにおけるシェールガスの生産量の増加によってロシアペルシャ湾岸諸国からヨーロッパ各国へのガス輸出価格が抑制されると結論付けた[4]2009年の米中シェールガス・イニシアティブにおいてアメリカのオバマ大統領は、シェールガス開発は温室効果ガス排出量を減らすことができるとの見解を示した[5]。しかしその後シェールガスの温室効果ガス排出量が、従来の天然ガスや石油よりも大きくなるとの指摘が学会から上がるようになった[6]
特徴

シェールガスを含む頁岩は、泥岩の一種で硬く薄片状にはがれる性質をもち、粒子が細かく流体を通す隙間がほとんどないので、自然の状態では天然ガスの商用資源とはなりえない。また、貯留層が砂岩である在来型の天然ガスと異なり、泥岩に貯留することから、コールベッドメタン (CBM)、タイトガスサンド、メタンハイドレートとともに非在来型の天然ガス資源のひとつとされている。シェールガスの埋蔵エリアを資源プレイ[# 1]と呼ぶこともある[7]。資源プレイでは、ガスが発見されなかった場合の地理学的なリスクは低いが、ガスが発見され商用に成功した場合でも一般的なガス田よりも坑井あたりの産出量が少ないため期待利益も同様に低い。

頁岩は浸透率が低いので、商用量のガスを生産するためには人工的にガス採取用のフラクチャー(割れ目)をつくる必要がある。過去、シェールガスは頁岩層に自然にできた割れ目から採取されていたが、2000年代に入ってから水圧破砕法によって坑井に人工的に大きな割れ目をつくってガスを採取する技術が確立し、更に頁岩層に接している坑井の表面積を最大にするために水平坑井掘削技術(英語版)という技法で10,000フィート (3,000 m)もの長さの横穴を掘ることが可能となった。これらの技術進歩の結果シェールガス生産量が飛躍的に増加し、シェールガスブームシェールガス革命などと呼ばれるようになった。

商業的数量のガスをもつシェール層は通常有機物に富んでおり(0.5 % から 25 %)[8]、石油根源岩でもある。
技術
水平坑井掘削技術

採掘の対象となる頁岩層は、たいてい2000メートルから3000メートルの深さに水平に分布しており、従来型ガス田と異なり流動性が著しく劣るため、頁岩層に合わせて坑井を水平に掘削する必要がある。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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