シェーグレン症候群
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シェーグレン症候群のデータ

ICD-10M35.0
統計
世界の患者数
日本の患者数10万?50万人[1]
関連学会等
日本 ⇒日本シェーグレン症候群研究会
世界
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シェーグレン症候群(: Sjogren's syndrome)とは、涙腺の涙分泌や、唾液腺の唾液分泌などが障害される自己免疫疾患の一種。
解説

膠原病に合併する二次性シェーグレン症候群と合併症の無い原発性シェーグレン症候群に大別される[2]。40歳から60歳の中年女性に好発し、男女比は1対14である[1]。シェーグレンは、スウェーデンの眼科医の名前ヘンリク・シェーグレン(英語版)に由来する。アメリカでの発音は「ショーグレンズ」が近い。
原因

抗SS-A/Ro抗体・抗SS-B/La抗体(ともに非ヒストン核タンパクに対する抗体)といった自己抗体が存在することから自己免疫応答が関わると考えられるが、その直接的な原因は不明である。遺伝的要素、環境要素、性ホルモンの影響なども関わると考えられている。
原因の諸説

1997年徳島大学歯学部の林良夫らのグループが、モデルマウスによる実験の結果、唾液腺から採取した細胞膜を構成する「αフォドリン」と呼ばれるタンパク質に異常があることを発見。人とも共通する原因であることを「サイエンス」誌上に発表した[3]。また、2008年には女性ホルモン低下により「RbAp」というタンパク質をつくる遺伝子が活性化し、RbApが過剰に働くとシェーグレン症候群に似た症状が出るのを確かめた。RbApは涙腺などに細胞死を引き起こし、それにより炎症反応が惹起されるという循環が解明された。林教授らは「更年期の女性が発症しやすいメカニズムがようやく分かった」とし、このタンパク質を薬などで抑えることができれば新たな治療法の開発につながる可能性があるとしている[4]

2012年、鶴見大学歯学部の研究グループは、ダイオキシンの一種であるTCDDEBウイルスを活性化することでシェーグレン症候群の発症に関与する可能性を報告した[5]

症状

本症候群は、腺細胞からの分泌物の低下が基礎となり、様々な症状が現れる。

主な症状は症状で、2種類あるの分泌様式の基礎分泌と反射性分泌の双方に障害を与え、ドライアイなどをきたす。

口腔症状はドライマウス(口腔乾燥症)で、自己免疫現象により自らの唾液腺が破壊され唾液の分泌が減少することにより起こる。唾液には抗菌作用を持つラクトフェリンリゾチーム分泌型IgAといった物質が含まれる。またカルシウムリンフッ素といったミネラルによってを守る。よって唾液分泌の減少は虫歯酸蝕症の増加、その他の自覚症状としては、味覚変化、口内炎の好発や乾燥が喉まで至り食べ物が喉を通らなかったり、声のかすれもある。また他覚的な症状としては舌乳頭の萎縮で舌が平坦になることが特徴である。

他に関節筋肉腎臓甲状腺神経皮膚などで様々な症状をきたす。眼、口以外の症状(腺外症状)としては以下のものがみられる。

皮膚症状

皮膚乾燥症状にともなう掻痒

皮膚血管炎、血管炎症候群

レイノー現象

環状紅斑


関節、筋

関節炎が生じることがあるが、関節リウマチのような破壊性のものではなく、全身性エリテマトーデスに似ている。

筋炎が生じることがあり、多発性筋炎に似た近位筋優位の炎症性筋炎である。




間質性肺炎が生じることがあり、特に本症ではリンパ球性間質性肺炎(LIP)という特徴のある間質性肺炎を来たす。有症状となる頻度は高くないが、CTなどで軽度の異常陰影がみられることはよくある。間質性肺炎合併時の5年生存率は84%程度とされる[1]


心臓

心外膜炎が生じることがあるが有症状となることはまれである。しかし心臓超音波検査で心嚢液が多くみられるなどの異常所見はよくある。


消化管

嚥下困難はよくみられ、たいていは口腔内乾燥が原因であるが、全身性強皮症に似た消化管蠕動異常が原因であることもまれにある。


肝臓

肝機能障害が起こることがあるほか、原発性胆汁性胆管炎門脈圧亢進症を合併することもある。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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